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決して恋では無い!②

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ん?ちょっと待てよ?
ふと気付いたが、俺は花嫁って言われていたよな?
……という事はだ。
もし……いや、万が一も無い!決して、断じて無いが、まかり間違って俺とアイツが両思いになったとしたら……。
その……いわゆる夜の営み的な「あ~ん♡」は、どっちが上でどっちが下?
あの絶世の美貌がベッドの上で真っ裸で
『多朗、僕がこっちでも良いよ』
とか言って、四つん這いで待ってたとして……。
妄想をして、危うく元気になりかけた多朗ちゃんを、因数分解とかを思い出して意識を散らす。
(いかんいかん! いくら美人でも、シルヴァは男なんだよ)
そう考えて首を横に振っていると、馬車で目の前に座っているシルヴァと目が合ってにっこり微笑えまれた。
その時、ふとシルヴァの身体付きが目に入る。
待てよ、俺。よく見てみろ! あの腕の筋肉を!
腕があれだけ鍛えられてるんだとしたら、胸筋はもちろん、あらゆる部位の筋肉を鍛えて居るはずだ!
細マッチョに騙されるな!
花嫁って言われてるんだから
『多朗。優しくしますから、僕に全てを任せて……』
なんて言って、天蓋付きのフカフカベッドに押し倒されて、筋肉隆々の身体に組み敷かれて俺の尻ピーーンチ!
「やっぱり無理!!」
思わず叫んだ俺に、シルヴァがビックリした顔をして俺を見た。
「ど……どうしたの?  多朗?」
瞬きをする睫毛は、T〇レボリューションが浴びてる風が起こりそうな程に長い。
「いや、ごめん。ちょっと取り乱した」
慌ててシルヴァから視線を逸らし、深呼吸した時だった。
フワリと甘い香りがして、思わず香りの方に視線を向けると
「ふふふ……多朗、なんで此処が少し勃ってるの?」
俺の隣に座り、服の上からシルヴァがちょっと元気になった多朗君を良い子良い子している。
「しかも、僕の顔を見つめながらそんな顔されたら、僕も我慢出来なくなっちゃうよ」
甘く耳元で囁かれ、しかも多朗君を良い子良い子されて身体に力が入らない。
「可愛い……、もしかして初めて?」
耳元にキスをされながら、聞いた事の無いシルヴァの甘い声に溶かされて行く。
シルヴァの細くて長い綺麗な指が、背伸びをしているかのように反り返る多朗君を布の上から擦っている。
「ふふふ……多朗、もうこんなに硬くなってる」
首筋にキスを落とされ
「あっ……」
と唇から甘い声が漏れる。
「多朗、可愛い声。もっと、聞かせて」
少し掠れた、欲情したシルヴァの甘い声。
そっと唇にシルヴァの人差し指が触れ
「多朗……愛してるよ」
そう囁き、唇がゆっくりと重なり……そうになって我に返る。
「シルヴァ! ハウス!」
思わずシルヴァの唇に手を当てて叫んでいた。
「は……はうす?」
驚いた顔をして固まるシルヴァに
「お……お前は、どーしてどさくさに紛れてそうやって」
と顔を引き剥がすと
「好きならキスしたいし、触れたいと思うのは当然の事じゃないか」
って、煌びやかな笑顔で言われた。
「好きって、俺達は出会ってまだ数日だぞ!」
「多朗はそうだろうけど、僕は12年間恋焦がれて来たんだ」
真剣な瞳で言われ、サファイアの瞳が切なそうに揺れる。
こんな風に見つめられたら、俺が意地悪してるみたいじゃないか……。
「なぁ、シルヴァ。お前が勇者に恋焦がれていたのも分かったし、出会える日を夢見ていたのも分かった。でも、こんな奴でガッカリしたんなら素直にだな……」
「ガッカリ? そんな訳無いじゃないか! 多朗はこんなにも魅力的で、こんなにも愛おしいのに!」
両手を捕まれ、真剣に言われて目眩が起こる。
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