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おかえり
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気が付くと、あたりは真っ暗になっていた。
縁側に座っていたノラの姿を再び思い出し、じわりと涙が込み上げて来る。
「ノラ……」
ぽつりと呟いた瞬間、『ガタガタ』っと玄関を開けようとする音が響く。
そして、戸締りされていると気付いたらしく、ガンガンと玄関の引き戸のガラス窓を叩かれた。
一瞬、訳が分からなくて呆然としていると
「海?居ないの?」
と、ノラの声がしたのだ。
慌てて玄関を開けると
「締め出すなんて酷いなぁ~」
って苦笑いしている。
「なんで?」
「なんで?って、メモ見てないの?」
そう言いながら、家の中に入って来た。
しかも、なにやらデカいバックを肩から下げている。
「え?家に帰ったんだよな?」
「そう。荷物を取りにね」
と微笑んだ。
「……お前」
へなへな~っと座り込む俺に
「もしかして、出て行ったかと思ったの?」
そう言うと、そっと俺の目元に触れて
「泣いた跡がある」
と、ぽつりと呟いた。
「ごめんね。俺、家の遺産問題に巻き込まれて、人間不信になっていたんだ。何もかもが嫌になった俺を、何も言わずに助けてくれて、その上、面倒を見てくれてありがとう」
そう言うと、そっと俺の身体を抱き締めた。
「残りの人生、俺に海の面倒を見させて」
と呟いた。
「ノラ……」
驚いてノラの顔を見上げると、ノラはふわりと笑顔を浮かべて
「理」
と呟く。
「え?」
「俺の名前。佐々木理って言います」
そう言われて、俺は俺を抱き締めているノラ……こと佐々木理の胸に顔を埋めた。
「海、この先の人生を、一緒にここで過ごしても良いですか?」
そう言われて、驚いて彼の顔を見上げた唇にキスを落とされた。
「え?な!えぇ!」
叫んだ俺を強く抱き締めて
「ダメって言われても、離さないけどね」
って微笑んだ。
「お前!キャラ変わりすぎ!!!」
俺の叫び声が部屋の中に響いた。
縁側に座っていたノラの姿を再び思い出し、じわりと涙が込み上げて来る。
「ノラ……」
ぽつりと呟いた瞬間、『ガタガタ』っと玄関を開けようとする音が響く。
そして、戸締りされていると気付いたらしく、ガンガンと玄関の引き戸のガラス窓を叩かれた。
一瞬、訳が分からなくて呆然としていると
「海?居ないの?」
と、ノラの声がしたのだ。
慌てて玄関を開けると
「締め出すなんて酷いなぁ~」
って苦笑いしている。
「なんで?」
「なんで?って、メモ見てないの?」
そう言いながら、家の中に入って来た。
しかも、なにやらデカいバックを肩から下げている。
「え?家に帰ったんだよな?」
「そう。荷物を取りにね」
と微笑んだ。
「……お前」
へなへな~っと座り込む俺に
「もしかして、出て行ったかと思ったの?」
そう言うと、そっと俺の目元に触れて
「泣いた跡がある」
と、ぽつりと呟いた。
「ごめんね。俺、家の遺産問題に巻き込まれて、人間不信になっていたんだ。何もかもが嫌になった俺を、何も言わずに助けてくれて、その上、面倒を見てくれてありがとう」
そう言うと、そっと俺の身体を抱き締めた。
「残りの人生、俺に海の面倒を見させて」
と呟いた。
「ノラ……」
驚いてノラの顔を見上げると、ノラはふわりと笑顔を浮かべて
「理」
と呟く。
「え?」
「俺の名前。佐々木理って言います」
そう言われて、俺は俺を抱き締めているノラ……こと佐々木理の胸に顔を埋めた。
「海、この先の人生を、一緒にここで過ごしても良いですか?」
そう言われて、驚いて彼の顔を見上げた唇にキスを落とされた。
「え?な!えぇ!」
叫んだ俺を強く抱き締めて
「ダメって言われても、離さないけどね」
って微笑んだ。
「お前!キャラ変わりすぎ!!!」
俺の叫び声が部屋の中に響いた。
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