神隠し

國灯闇一

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緑の神社

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「ねね! 今度の休み、神社に行こう!」

 大学の友人、楠菜紫織くすなしおりの言葉がきっかけだった。
 高速で三時間。タイムスリップしたような古い家並みの通りを抜けたところに、目的の神社はあった。
 鳥居を通って、広く幅の取られた石段いしだんを上っていく。石段の脇には、深い緑の葉をつけた木々が影を作ってくれる。

 楠菜と波戸毅はとたもつは、へばっている俺を置いてどんどん上っていた。楠菜が言うには、神社に長い階段は付き物らしいが、わざわざ上る必要があるだろうか。直接拝殿へ行けるような迂回路を作ったらいいのにと、愚痴りたくなる。
 目の前を横切る小さな羽虫とか干からびたミミズに群がる蟻とか、所々で自然が主張してくる。俺にとって長居したくない場所だった。

 石段を上り終えた頃には、軟弱な体力の大半を使い果たしていた。ひらけた視界が聖域を映す。十字に配された白い石畳が道を示し、十字から外れた場所には日本庭園にあるような白い小石が敷き詰められている。生気の宿る木々に囲まれた白い土地を真っすぐ突き進めば、幾多の時を経た面影を残す、神格的建造物が待ち構えていた。
 神仏に縁のない俺だが、この場所に点在する様々な物が、秘められた力を持っているように思えてくる。波戸も大きな拝殿を見上げ、口をあんぐりとさせていた。

「2人ともこっちー!」
 楠菜は知らないうちに俺たちから離れていた。俺と波戸は楠菜がいる売店に近づく。
「何か買うのか?」
 普通に尋ねたつもりだったのだが、楠菜はなぜか不満げな顔をする。
「聞いてなかったのー? あたしがせっかくこの神社の豆知識をレクチャーしてあげたのに」
「運転中にあんな眠たくなるような話を覚えてると思うな」
 不躾ぶしつけな小言にため息をつくと、楠菜は凛々りりしい面持ちになる。

「分かった。色々端折はしょるから私にならって参拝すること! いいわね?」
「はいはい」
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