女だからって舐めないで

佐藤なつ

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模擬戦の嵐

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学院の演習場に、ざわめきが響いていた。
 今日はついに模擬戦の本番。
 二人一組で協力して魔術を駆使し、即席の障害戦を突破するのだ。

 観客席には教師や生徒たちが並び、私とレオンが中央に立った。

「いけるよ、君となら」
 レオンが自信に満ちた笑みを浮かべる。
「……集中するだけよ」
 胸の奥で、なぜかざわつく気配を感じながら返した。



 開始の合図とともに、炎の矢が飛んできた。
「来るぞ!」
「任せて!」

 私は魔力障壁を張り、レオンが反撃の雷撃を放つ。
 息の合った動きに、周囲がどよめいた。

(くっ……やっぱり、彼は優秀)
 素直にそう思ってしまう。

 けれど、その瞬間だった。

 地面が割れ、巨大な石の魔獣がせり上がる。
 模擬戦用とはいえ、学院が本気で仕込んだ難関。

「っ……!」
 魔力の消耗が激しく、障壁が揺らぐ。
 石の拳が振り下ろされ──



 ドォンッ!

 私を覆うように、氷の壁が立ち上がった。
 冷たい光を放ちながら、衝撃を完全に受け止める。

「……お嬢様ったら、危なっかしいんだから♡」

 振り向けば、そこにはサフィール先生。
 杖を軽く振りながら、涼しい顔をして立っていた。

「せ、先生!? これ、生徒だけでやる試験じゃ──」
「えぇ? 見てられなかったのよ♡」



 観客席がざわめく中、レオンが唇を噛む。
「先生、これは俺たちの試験です!」
「そうねぇ。でも、私の婚約者が怪我するわけにはいかないでしょう?」

 さらりと放たれた言葉に、冷汗がダラダラ出るのに、胸が熱くなる。
 でも同時に、レオンの鋭い視線が突き刺さる。

「……俺だって守れます」
「まぁ、頼もしいこと♡ でも──一番先に駆けつけたのは私よ」

 二人の間に火花が散る。
 私はただ、顔を真っ赤にして立ち尽くすしかなかった。

(も、もうやめてよ……! こんなに大勢の前で……!)



 当然、試験は不合格になった。
 ただし、今回は先生が割り込んできたと言うことを鑑みて、時間外に追試を受けさしてもらえることになった。
余計なことをされて腹立たしいのになぜか
 レオンの真剣な瞳も、先生の余裕の笑みもどちらも強烈に胸に残ってしまって頭から離れない。

(どうしてこんなに……心が揺れるの……?)

 模擬戦の余韻に包まれながら、私はまだ答えを出せずにいた。
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