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守る理由
しおりを挟む夜の事件があった翌日の午後。
訓練場での稽古に取り組む。
少し寝不足だけど興奮している気持ちのほうが勝って、がむしゃらに取り組む。
木剣を握ったレオンに打ち込まれ、私は必死で受け止める。
腕が痺れて、足がよろめいた。
「まだ力みすぎだ。もっと肩を抜け」
レオンの言葉は厳しいけれど、眼差しは真剣で優しい。
「俺は……君に、無茶をしてほしくないんだ」
その声音に、胸がざわついた。
(レオン……どうしてそんな目で私を見るの……?)
⸻
夕暮れ。
訓練を終えて廊下を歩くと、背後から扇子の音が聞こえた。
「ふふ♡ あの坊や、ますます熱心ね」
先生が微笑みながら隣に並ぶ。
「レオンはただ、私を守ろうとして……」
そこまで言って言葉を飲む。
「あなたを守りたいのは、彼だけじゃないわ」
そう言って先生は足を止め、私の方を見つめた。
いつもの軽口とは違う、深い色の瞳で。
⸻
「リディア。わたしがあなたに執着する理由、知りたい?」
心臓が大きく跳ねた。
問い返そうとしたけれど、言葉が出ない。
先生は少しだけ扇子を下げ、真剣な声で囁いた。
「わたしの家も“血脈”を受け継いでいる。
ただし王家を守るために存在した、“守護者”の血よ」
「……守護者……?」
「そう。代々、王家の直系を護り、導くために生まれた者たち。
あなたと出会ったのは偶然じゃない。必然だったのよ」
⸻
胸が苦しくなる。
守護者。
つまり先生の好意も、全部その血に刻まれた義務なのだろうか。
「じゃあ……先生は、義務で私を守ってるってこと……?」
問いかけに、先生は少し笑った。
「最初はね。けれど今は違う。
だって……わたし、あなた自身に惹かれてしまったんだもの♡」
からかうような声色なのに、その眼差しは本気だった。
⸻
その瞬間、背後からレオンの声が響いた。
「リディア!」
振り返ると、真剣な顔でこちらを見つめている。
彼は先生と私の距離を見て、わずかに眉をひそめた。
私は言葉を失い、ただ二人の間で立ち尽くす。
(先生は守護者……でも、それだけじゃないって言った。
レオンは、私を守りたいって……)
胸の奥で二つの想いが交錯し、息が苦しくなった。
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