女だからって舐めないで

佐藤なつ

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疑惑の影

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学院全体に、重たい空気が漂っていた。
 外敵に備えて結界は強化されたはずなのに、魔術具の一部が破壊されていたのだ。
 しかも、内部の人間にしか触れられない場所で。

「……内部に、協力者がいる」
 先生の声は低く、笑みを浮かべながらも目だけが冷たかった。
「裏切り者が、この学院にね」



 食堂でその噂を耳にした生徒たちは色めき立つ。
「同級生の誰かが……?」
「教師の中にも怪しい人がいるんじゃ……」
 視線が交差し、互いを疑い始める。

 私の胸にも不安が広がった。
(誰が敵で、誰が味方なの……?)



 その夜。
 レオンは私を呼び止め、真剣な顔で告げた。

「リディア、俺を信じてくれ。
 たとえ何があっても……お前を裏切ることはない」

 その言葉は温かく、胸に沁みた。
 だけど同時に、別の声が蘇る。

「お嬢様♡ わたしはあなたの守護者。血脈の宿命に抗ってでも守る」

 先生の笑みと、レオンの真摯な眼差し。
 心の天秤は揺れ、答えを出せないままだった。



 深夜。
 廊下の影に潜む気配を感じて振り返ると、仮面の影が一瞬だけ姿を現した。
 その背後には……学院の制服を着た人影。

(まさか……!)

 思わず声を上げかけた瞬間、影は闇に溶けて消えた。
 残されたのは、冷たい胸騒ぎだけ。



「敵は、もう中にいる……」
 自室の窓から夜空を見上げ、拳を握る。
 信じたいのに信じきれない気持ち。
 それでも私は、立ち向かわなくてはいけない。

(この学院を、守らなきゃ……!)
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