女だからって舐めないで

佐藤なつ

文字の大きさ
33 / 48

仮面との邂逅

しおりを挟む
 不安が漂う日々。そこかしこで異変が起きる。
その日、学院中庭で魔術具の暴走が起きた。
 突然、制御を失った防御結界が爆発し、石畳が砕ける。
 生徒たちが悲鳴を上げて逃げ惑う中、私は咄嗟に魔力を展開した。

「【風障壁】!」
 突風の壁が迫る瓦礫を弾き飛ばす。
 胸の奥で熱く脈打つ血脈の力に、自分でも驚いた。



「リディア!」
 駆け寄ってきたレオンが剣を構える。
 その隣には、いつの間にか先生の姿もあった。

「……やっぱり、仕組まれてるわね」
 先生は扇子で口元を隠しながら、鋭く辺りを見渡した。
 次の瞬間、空気を切り裂く声が響く。

「さすがは王家の血脈……力は順調に目覚めているようだな」



 中庭の瓦礫の上に、仮面の影が立っていた。
 銀色の仮面に、深紅の外套。
 その背後には……学院の制服を纏った上級生の姿。

「裏切り者……!」
 思わず叫んだ。

 生徒のひとりが青ざめた顔で俯く。
 震える唇から漏れたのは──
「ぼ、僕は……家族を人質に取られて……!」



 その瞬間、仮面の男が冷酷に手をかざした。
「用済みだ」
 黒い鎖のような魔力が、裏切りの生徒に絡みつく。

「やめてっ!」
 私は無我夢中で魔力を叩きつけた。
 眩い光が鎖を弾き飛ばし、彼を守る。

 仮面の男の目が細められた。
「……やはり、力を覚醒させるには追い詰めるのが一番だ」



 次の瞬間、轟音とともに衝突した。
 私の風の魔術と、仮面の男の闇の魔術。
 衝撃波で石畳が裂け、空気が震える。

「リディア!」
 レオンが私を庇うように前へ出る。
 だが先生は一歩も退かず、扇子を閉じて低く呟いた。

「ここから先は──わたしの仕事よ」



 闇に揺らめく仮面と、守るように立つ二人。
 胸の奥で、熱と恐怖が入り混じった。

(これが……私の宿命の敵……!)
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

俺様上司に今宵も激しく求められる。

美凪ましろ
恋愛
 鉄面皮。無表情。一ミリも笑わない男。  蒔田一臣、あたしのひとつうえの上司。  ことあるごとに厳しくあたしを指導する、目の上のたんこぶみたいな男――だったはずが。 「おまえの顔、えっろい」  神様仏様どうしてあたしはこの男に今宵も激しく愛しこまれているのでしょう。  ――2000年代初頭、IT系企業で懸命に働く新卒女子×厳しめの俺様男子との恋物語。 **2026.01.02start~2026.01.17end**

恋と首輪

山猫
恋愛
日本屈指の名門・城聖高校には、生徒たちが逆らえない“首輪制度”が存在する。 絶対的支配者・東雲財閥の御曹司、東雲 蓮の「選んだ者」は、卒業まで彼の命令に従わなければならない――。 地味で目立たぬ存在だった月宮みゆは、なぜかその“首輪”に選ばれてしまう。 冷酷非情と思っていた蓮の、誰にも見せない孤独と優しさに触れた時、みゆの心は静かに揺れはじめる。 「おめでとう、今日から君は俺の所有物だ。」 イケメン財閥御曹司 東雲 蓮 × 「私はあなたが嫌いです。」 訳あり平凡女子 月宮 みゆ 愛とか恋なんて馬鹿らしい。 愚かな感情だ。 訳ありのふたりが、偽りだらけの学園で紡ぐカーストラブ。

ヤンデレ王子を闇落ちから救ったら愛執まみれの独占欲に囚われました

大江戸ウメコ
恋愛
幼い頃に精霊の祝福である未来視の力が開花し、「夫である第二王子ナハルドに殺される」という己の運命を知った伯爵令嬢ツィーラ。この悲惨な未来を変えるべく、ツィーラは彼を避けようとしたが、ひょんなことから婚約者に選ばれてしまった! ならば、ナハルドが将来闇落ちしないよう、側で彼を支えることを決意する。そんな努力の甲斐あって、ツィーラへの好意を隠さず伝えてくるほど、ナハルドとの関係は良好になった。だけど、彼の並々ならぬ執着心のすべてを、ツィーラはまだ知らなくて――

月の後宮~孤高の皇帝の寵姫~

真木
恋愛
新皇帝セルヴィウスが即位の日に閨に引きずり込んだのは、まだ十三歳の皇妹セシルだった。大好きだった兄皇帝の突然の行為に混乱し、心を閉ざすセシル。それから十年後、セシルの心が見えないまま、セルヴィウスはある決断をすることになるのだが……。

春の雨はあたたかいー家出JKがオッサンの嫁になって女子大生になるまでのお話

登夢
恋愛
春の雨の夜に出会った訳あり家出JKと真面目な独身サラリーマンの1年間の同居生活を綴ったラブストーリーです。私は家出JKで春の雨の日の夜に駅前にいたところオッサンに拾われて家に連れ帰ってもらった。家出の訳を聞いたオッサンは、自分と同じに境遇に同情して私を同居させてくれた。同居の代わりに私は家事を引き受けることにしたが、真面目なオッサンは私を抱こうとしなかった。18歳になったときオッサンにプロポーズされる。

助けた騎士団になつかれました。

藤 実花
恋愛
冥府を支配する国、アルハガウンの王女シルベーヌは、地上の大国ラシュカとの約束で王の妃になるためにやって来た。 しかし、シルベーヌを見た王は、彼女を『醜女』と呼び、結婚を保留して古い離宮へ行けと言う。 一方ある事情を抱えたシルベーヌは、鮮やかで美しい地上に残りたいと思う願いのため、異議を唱えず離宮へと旅立つが……。 ☆本編完結しました。ありがとうございました!☆ 番外編①~2020.03.11 終了

後宮の死体は語りかける

炭田おと
恋愛
 辺境の小部族である嶺依(りょうい)は、偶然参内したときに、元康帝(げんこうてい)の謎かけを解いたことで、元康帝と、皇子俊煕(しゅんき)から目をかけられるようになる。  その後、後宮の宮殿の壁から、死体が発見されたので、嶺依と俊煕は協力して、女性がなぜ殺されたのか、調査をはじめる。  壁に埋められた女性は、何者なのか。  二人はそれを探るため、妃嬪達の闇に踏み込んでいく。  55話で完結します。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

処理中です...