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ダーシェ領 2
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「な、なんだこれ!動けねぇ!」
綺麗に敷き詰められた石畳をぼこぼこに破壊して急に出てきた植物に拘束されたギースが、自分に絡まっているツタのような植物から逃れようとするが、ビクともしない。
「ま……魔女……」
アウローラを化け物を見るような目で眺めながら身を震わせている。
魔女。獣野郎。化け物。
それはかつて国中の至る所で吐き捨てられてきた言葉だ。
『人ならざる者』達が何時しか黒い森の奥深くに消えてゆきその姿を見なくなっていったのか、最早誰にもわからない。
だが、人との交流が確かにあった証に、産まれてくる子供に常人とは違う能力を持つ者が現れ出したのだ。
それは外見的な特徴だったり内面的な能力だったりとその血を受け継いだ種族により様々だが、いわゆるただの人間とは違っていた。
そして、長い間『人ならざる者』達が現れなくなると、人々の意識が変わり出す。
『自分達とは違う』から『恐ろしい者たち』へと変わり、迫害の対象へと変わっていった。
獣の特徴がある者は奴隷へ、魔力があり魔法が使える者は魔女・悪魔として処刑へ。
身体的に少しでも変わったところがあれば、密告や取り締まりにより牢に入れられ、それは酷い扱いを受けていたという。
そうして、街や故郷から追い出されたり逃げ出したりした者たちが安息の地を求め辿り着いた先が、黒い森の近くにあるこのダーシェ領だった。
1人、また1人と集まり、小さな集落から大きな村になるまでそう時間はかからなかった。
だが、いつまた人々に追われるか分からない。
そのため、彼らは人の中でも一番偉い人と対峙できる上に最も強い者を『長』として選ぶことにした。
そうして選ばれたのは、吸血族の子孫だった。
始まりの長は人の王と盟約を結び、ダーシェ領は不可侵の領地となり、今ではエドア国の中でもなくてはならない大事な財源の一つとなった。
しかし長年植え付けられた人々の意識はそう簡単には変わらない。
特にアウローラのように『魔力を使う』となると、更に恐怖の対象となる。
腰を抜かしてガタガタと震えている男達を、アウローラは冷めた目で見下ろしながら心の奥が冷えていくのを感じた。
『あぁ、またこうなるのか』と。
それは苦い記憶を思い出させる顔だった。
かつて友だと思っていた彼女に向けられた恐怖に満ちた目。
苦い記憶を噛み潰すように、ギリッと奥歯を噛みしめた時。
「はーい、ちょっとごめんよ」
その場に合わぬ底抜けに明るい声がして、白髪に丸眼鏡をかけた小柄な人物が人の壁をかき分けて現れた。
綺麗に敷き詰められた石畳をぼこぼこに破壊して急に出てきた植物に拘束されたギースが、自分に絡まっているツタのような植物から逃れようとするが、ビクともしない。
「ま……魔女……」
アウローラを化け物を見るような目で眺めながら身を震わせている。
魔女。獣野郎。化け物。
それはかつて国中の至る所で吐き捨てられてきた言葉だ。
『人ならざる者』達が何時しか黒い森の奥深くに消えてゆきその姿を見なくなっていったのか、最早誰にもわからない。
だが、人との交流が確かにあった証に、産まれてくる子供に常人とは違う能力を持つ者が現れ出したのだ。
それは外見的な特徴だったり内面的な能力だったりとその血を受け継いだ種族により様々だが、いわゆるただの人間とは違っていた。
そして、長い間『人ならざる者』達が現れなくなると、人々の意識が変わり出す。
『自分達とは違う』から『恐ろしい者たち』へと変わり、迫害の対象へと変わっていった。
獣の特徴がある者は奴隷へ、魔力があり魔法が使える者は魔女・悪魔として処刑へ。
身体的に少しでも変わったところがあれば、密告や取り締まりにより牢に入れられ、それは酷い扱いを受けていたという。
そうして、街や故郷から追い出されたり逃げ出したりした者たちが安息の地を求め辿り着いた先が、黒い森の近くにあるこのダーシェ領だった。
1人、また1人と集まり、小さな集落から大きな村になるまでそう時間はかからなかった。
だが、いつまた人々に追われるか分からない。
そのため、彼らは人の中でも一番偉い人と対峙できる上に最も強い者を『長』として選ぶことにした。
そうして選ばれたのは、吸血族の子孫だった。
始まりの長は人の王と盟約を結び、ダーシェ領は不可侵の領地となり、今ではエドア国の中でもなくてはならない大事な財源の一つとなった。
しかし長年植え付けられた人々の意識はそう簡単には変わらない。
特にアウローラのように『魔力を使う』となると、更に恐怖の対象となる。
腰を抜かしてガタガタと震えている男達を、アウローラは冷めた目で見下ろしながら心の奥が冷えていくのを感じた。
『あぁ、またこうなるのか』と。
それは苦い記憶を思い出させる顔だった。
かつて友だと思っていた彼女に向けられた恐怖に満ちた目。
苦い記憶を噛み潰すように、ギリッと奥歯を噛みしめた時。
「はーい、ちょっとごめんよ」
その場に合わぬ底抜けに明るい声がして、白髪に丸眼鏡をかけた小柄な人物が人の壁をかき分けて現れた。
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