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第3章 氷河期と就職戦線
その1 就職戦線異状事態
しおりを挟むさて、ユキちゃん
いよいよ氷河期の本格的始動じゃ。
以前にお話しした内容は覚えておるかの?
うん! 氷河期世代は就職が厳しかったんだよね。
うむ、その通りじゃ。
具体的にどれくらい厳しかったの?
大卒相当の統計になるが、厚生労働省が1997年から2018年まで、4月1日時点の就職率のデータを出しておるぞい
それを見てみようか、加工して未就職率にしておるぞ。
※厚生労働省「大学等卒業者の就職状況調査」より作者作成
はえー、かなり差があるね
そうじゃ、氷河期は大体5%以上が就職できておらん。
最悪の2000年(1998-1999年に就職活動した世代)は何と9.5%じゃ!
この年は特に厳しかったと言えるぞい。
作者のことね!
浪人さえしてなければ……
直近の2018年4月(2017年に就職活動)の未就職率はは1.8%じゃ、ほぼ全て就職出来ておる。
それと比較すると、5倍以上の割合が就職できておらん。
あれ? 9%って、その程度?
もーっと20%とか30%とかが就職出来てないと思った。
だって、外国とかはそうじゃん
そうじゃな、ヨーロッパでは若者の失業率が20%を超えている国も数多くある。
なーんだ、余裕じゃん!
そうでもないぞ、失業率のカウント方法は国によって違うし、この就職率のデータは統計の取り方が違うんじゃ。
どんな風に?
重要なのは、就職したい! と主張している人で就職出来ない人の割合という所じゃな。
専業主婦希望や大学院進学は最初からカウントされておらん。
僕はニートになりたかったよ……
そっか、働きたいのに働けない人の割合なのね
働きたいのじゃない、働かないと生きていけなかったのです……
また、ネットで衝撃的な数字とされている当時の大卒就職率50%とかがあるじゃろ。
あー、見た事ある。
あれはな、
就職率=就職者数÷卒業者数
で計算しているのじゃ。
じゃから、進学した人やそもそも就職しようとしていない人まで母数に含んでおる。
えっ!? 大学院とか永久就職した人も母数に含まれているの!?
そうじゃ、じゃからその『就職率』だと『高卒の就職率30%』とかいう数字が出て来るのじゃ。
当然じゃな、50%近い卒業者は大学進学しておるからな。
へー『就職率』という言葉の前では定義の確認が必要なのね。
そして厚生労働省が発表した上のグラフの基となった『就職率』とは、就職希望していて就職した人じゃ。
ちなみにこの就職とは非正規雇用も含んでおる。
なので、このグラフの未就職率は完全失業率に近いと言えるの。
完全失業率って?
働くのを希望している人で、バイトを含め全く働けていない人の割合じゃ。
ちょっとバイトすると完全失業ではなくなってしまうんじゃ。
はえー、働きたいのに仕事がない人なんだ。
ちなみに、ここ50年で、この日本全体での全年齢平均完全失業率が最も高い数値はいくつだと思う?
えっと……
ヒントを言えば、それは就職氷河期と同時期の2002年に記録しているぞい。
うーん、10%くらい?
そんなに高かったら、日本は壊滅じゃ!
えっ!?
正解は2002年の完全失業率5.4%がピークじゃ!
それじゃあ、あのグラフの人はそれよりずっと悪い状態だったの!?
そうじゃ、そして新卒で就職できなかった人は、そのままフリーターとなるか無職になるかを余儀なくされたんじゃ。
これが氷河期世代と言われる所以じゃじゃ。
日本じゃ新卒で就職できないと、その後の就職が不利だからねー
うむ、次の話ではこの就職戦線が異常だった時の全体と若者の失業率について語るぞい。
応援ありがとうございます!
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