神殺しの怪物と六人の約束

ヤマノ トオル/習慣化の小説家

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成長のスラム街編

第51話 ナミチュの伝書鳩

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次の日

トゥール「皆!!おはよう!!」

トゥールが爽やかな笑顔で戻ってきた。

眠っていたセリアは目を覚ました。

セリア「おはようございます」

あたりを見渡すと何やら魔術の指南をしているフルネスとモモの隣で、カードゲームに勤しむタチキ、キャノン、ズミ。
イビキをかいて眠るダイスがいた。

トゥール「あれ、ムーとタクティスとカナメル達は?」

ズミ「ムーはどっかに行ったよ、カナメル達は昨日飯探しに行ってそのまま戻ってきてないね、タクティスは~」

フルネス「タクティスはまだ瓦礫の撤去作業を手伝っている、もうすでに反乱軍の方々からは人気者だ」

トゥール「そうだったのかぁ~、まぁ良いか。とりあえず今後のことについて話したいと思ったんだ」

トゥールは床に胡座をかいた。

トゥール「昨日反乱軍のリーダーのネギッチャと話したんだ、とりあえずまぁ、このスラム街に滞在しても良いってことになった。俺たちとしても今後の為に力を蓄えるのはもちろん、リリとタカの指輪を外すことが当面の目標だからな、拠点が必要だったから好都合だ」

ズミ「ほう、確かに寝泊まりできる場所があれば良いね、はい、また俺の勝ち」

タチキ「うぉーーーーい、マジかよ!!!お前イカサマしてんだろ!?あーん!?」

キャノン「ち、やってらんねーよ!」

大盛り上がりの三人を他所に、トゥールは話を続ける。

トゥール「何とかリリとコンタクトを取りたいんだけど、ムーはどこにいるんだろうなぁ」

ムー「ここにいるよ」

ゆらゆらと部屋に入ってきたムーの表情は暗い。

トゥール「どうした?」

ムー「リリにスラム街に来るよう暗号を送ったが返事がない、ヘイスレイブではスカポンの鏡面術によって映像で会話が出来たが、今はそれが出来ない。魔力による暗号通信があれば問題ないと思っていたがそれが何故か伝わらない。僕の可愛い蝙蝠も所在不明だ」

トゥール「んー何でだろう?」

ムー「フォールドーンの何かしらの新兵器による妨害かな?」

フルネス「大いにあり得る話だ、ここまでゴッドタワーに近付いたことがないから確信はないが」

トゥール「まぁ、しゃーないね。でもグレイスから遠く離れたここなら闇の魔力もそんなに届いてないんじゃないかな?どう?セリア」

セリア「そうですね、ほとんど感じません」

トゥール「じゃあ、まぁ大丈夫か。あのリリに何かあるわけがないしな」

ムー「その通りだね、あのクソ女はそう簡単にはやられないさ。一応僕の方でコンタクトを取る方法を模索してみる」

トゥール「頼んだ、とりあえずリリのことはムーに任せるとして、あとはタカのことなんだけど、反乱軍の情報の中にフードの男がゴッドタワーの巨壁に入っていくのを見たっていうのがあったんだ。流石に帝国と戦争をするわけにはいかないから確かめる方法がないんだけど」

ムー「無の神がゼウスと組んでいるっていう話は濃厚だからな」

トゥール「うん、それについての調査は俺の方で進めておくよ。反乱軍の方でも協力してくれるって」

ズミ「随分と協力的だな、反乱軍ってのは。でもそんな上手い話があるのかぁ?俺たちは部外者だぜ、はい、俺の勝ち」

タチキ「、、、、、」

キャノン「分かった、キングのみを狙って突き進めば勝機があるぞ、タチキ、やるぞ!もう一戦」

タチキ「おうよ!兄弟!ズミを血祭りにあげてやる」

ズミ「受けてたとう」

カードゲームをやりながらも話に参加するズミ。

トゥール「流石ズミだなぁ、んーと、実はスラム街に住まうことと情報の提供のお返しとして、一定期間反乱軍の瓦礫撤去作業と戦力強化と食料調達を頼まれてしまってね、勝手にオッケーしました!!」

フルネス「、、、致し方ないな、他に方法がないのだから、でも相談くらいしてほしいものだ」

トゥール「ごめんよ、とりあえず皆、頼んだよ!」

トゥールは逃げるように部屋を出て行った。

~~~~~~~~~~

スラム街の外、サバンナ
小さな小動物とサボテンを持ち帰る三人がいた。

カナメル「まさか、街の食料が時間で配給とはな」

マツ「それくらい貧しいということですね、遠征でフォールドーンの土地を踏んだことはありましたが、知らなかったです」

ドラ「プリン、、なかったかぁ、、」

ピィ~~~~

そこへ一羽の鳩が降り立つ。
口には文書が挟まれていた。

カナメル「これは、、、ナミチュからだ」

マツ「ナミチュ!生きてたんだ!良かった」

ナミチュはカナメルの副官である。
ヘイスレイブ城籠城戦の時にいち早く異変に気づき、城へ一人引き返したのだった。
カナメルとは行き違いになったままである。

ナミチュ[カナメルさんへ、今どこにいますか?国が大変なことになっています。城が落ちたあの日、私が目にしたのは漆黒の騎士に胸を貫かれるマキニウム王の姿でした。そこにカナメルさんの姿は無く、私は身を隠しました。それから数日、王が不在になった場合、キューティ領の領主であるアンチェアさんが王として国を治めることが決まっていたはずですが、国会の際にアンチェアさんの姿はなく、代わりにアクザイア領の領主であるオガリョが王になるという話でまとまりました。オガリョは私利私欲で国を我が物にしようとしています、清廉潔白でお強いアンチェアさんが王を辞退するとは思えません、何か良からぬことが起きているのは確かです。私はヘイスレイブにて調査を続けます。カナメルさんも早くヘイスレイブに戻ってきてください

P.S. 事件が解決したら、ヘイスレイブの地下宝物庫から一級品の魔装備をもらいます。良いですよね?」

カナメル「、、、、、、最後のは何なんだ?」

マツ「ナミチュらしいですね、、、」

ドラ「国が大変なことになってますね、どうします?カナメルさん」

カナメル「本来四天王はその王の剣として動き、王が不在となった場合は新たな王が新たな四天王を集める流れになってるんだ。だからもう俺には関係ないっちゃ関係ない話なんだけど」

マツ「そんなこと言って、どうせヘイスレイブに戻って国を救うんですよね?」

カナメル「そうしたいのは山々だけど、ここからヘイスレイブまで歩いて何ヶ月かかると思ってるんだ?それに今はフォールドーンの物語を進めるべきだと思う」

ドラ「どういうことですか?」

カナメル「ヘイスレイブはすぐに動いたりはしないさ、王として君臨するのはそう簡単じゃないって話だ。準備や会議が山のようにある、小心者のオガリョが迅速に対応出来るとは思えない、それにナミチュがいればある程度は何とかやるさ。それよりもフォールドーンだ、ヘイスレイブが落ちて無の神が現れた、無の神と手を組んでいるとしたら、もうフォールドーンに敵はいないことになる。そうなればゼウスはすぐにでも動き出すだろう。大きな町も簡単に蹂躙されるだろう。俺たちは無の神を倒すどころじゃなくなる、この大陸はフォールドーンの手に堕ちる」

マツ「確かに、今はセリアさんがこちらにいるので世界を救うような壮大な話だと勝手に思っていましたし、強い方々がいるので軽視していましたが、事態は思っているよりも悪いのかもしれませんね」

ドラ「そうだとしたら、強くならねば」

カナメル「どうした、急に」

ドラ「フォールドーンなのか無の神なのか分かりませんが、戦わなきゃダメなんですよね?じゃあ、強くならねば」

マツ「そうだね、そうだよね!!私、瞬雷の使い方をトゥールさんに伝授してもらいたいんだ。あの人の高速での移動は雷の魔力に似ているから」

ドラ「そうかもね、修行だ!修行!!えーと私は、、、」

カナメル「ドラはムーに話をしてみると良いよ、特殊な身体に精通しているのはあの人しかいないから」

各々が強くなる為に動き出していた。
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