神殺しの怪物と六人の約束

ヤマノ　トオル/習慣化の小説家

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ヘイスレイブ奪還編

第105話　ほんの少しの再会

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デクノボウとウミボウズが一斉に動き出す。

ホーリーは素早く動き、大鎌でウミボウズを真っ二つにした。

液体となり床に広がったウミボウズだったが、すぐに巨人の姿へと形を変え、ホーリーへと襲いかかる。

ホーリー「裂いても裂いてもすぐに再生する。物理は効かないということだろうか」

ウミボウズの強烈なパンチをグルグルと回転し回避するホーリー。
空振りに終わったパンチは壁面を粉砕した。

ホーリー「当たったら骨折じゃ済まない。しかしこちらの攻撃は当たらない、圧倒的不利」

オダルジョーはデクノボウと対峙していた。

糸や樹木で身体を固定しようと試みるがデクノボウは全てを粉砕して歩き出す。

オダルジョー「パワーだけならS級か」

オダルジョーの風術により真っ二つとなったデクノボウもアメボウズと同様にすぐに再生した。

オダルジョー「時間稼ぎにはうってつけの召喚魔法だね、大技の準備時間を稼いでるの？それともカナメルの救援待ち？」

ナミチュ「さて、どうでしょう」

ナミチュは多量の魔力を練り上げながら答えた。

ホーリー「過信しているわけではないが、ここで私たちを仕留めるのは無理があると思う。いや、これは過信している者の発言だろうか」

ホーリーは大鎌を投擲した。
大鎌は高速回転をしながらアメボウズを切り裂き、そのままナミチュの元へと向う。

ナミチュ「やはり一筋縄ではいきませんわね」

ナミチュが防御魔法を唱えようとした時。

「エンハツ」

爆炎がホーリーの大鎌を吹き飛ばした。

ナミチュ「大遅刻ですわよ、カナメルさん」

カナメル「お前の鳩が遅いんだろ」

ナミチュの隣にいたのはカナメルだった。

久しぶりの再会にも関わらず、カナメルとナミチュは顔を見合わせず、敵をしっかりと見据えていた。
今この状況が圧倒的劣勢であることを二人は分かっていた。

オダルジョー「久しぶりだね、カナメル」

カナメル「あーあ、お前達が絡んでるなら、そりゃヘイスレイブも立て直しが効かないわけだ」

ホーリー「そんなサイズ感だっただろうか？カナメル。また身長が縮んだ、いや、私の身長が伸びたのか、いや、こんな数ヶ月で身長に変動があるわけがない、これは目の錯覚である」

カナメル「相変わらずだな」

オダルジョーとホーリーは巨人の攻撃を華麗にかわしながらカナメルと会話を続ける。

その光景にオガリョは苛立ちを隠せない様子である。

オガリョ「何をしているんだ！！カナメルが来ちまったじゃねぇか！！」

オダルジョー「カナメルの相手はあんたがするんでしょ？闇の力を手に入れたんだから、大丈夫でしょ」

オガリョ「ああ！！！畜生、やってやる、やってやるよ！！！」

オガリョはカナメルを見下ろした。

カナメル「お前が俺に？勝てると思ってんの？」

オガリョ「ああ、思い返せば昔から、お前をこの手でぶち殺したいと思っていた。良い機会だ、今ここで殺してやる。しっかりと見ていろ！アンチェア！」

オガリョは黒い炎を撒き散らすと部屋中が黒煙に包まれた。

オガリョ「お前の戦い方は分かっている、もう既に周りには炎の魔法陣が張り巡らされているんだろ？わざわざお前の術中にハマったりはしないさ」

カナメル「それはどうかな、もしかするとお前の足元には既に魔法陣が形成されていたりして」

暗闇の中でカナメルは玉座へ向けて声を発する。

オガリョ「どこに形成しようと問題ない、何故なら」

黒煙がオガリョの中へと吸い込まれていく。

オガリョ「戦う場所はここじゃないからだ」

全ての黒煙が吸い込まれた時、オガリョとカナメルの姿もそこにはなかった。

残されたナミチュは大きなため息をついた。

ナミチュ「はぁ、、、結局、私があなた方をどうにかするしかなさそうですわね。まぁ、最初からそのつもりでしたけれど」

ホーリーはアメボウズとの戦闘を中止し、デクノボウを切り刻み始めた。
オダルジョーも同じようにデクノボウとの戦闘を止め、アメボウズへと風術を唱える。

サイクロンがアメボウズを粒状の水に変え、その後に炎術にて全てを蒸発させた。

ホーリーは粉々に切り裂いた岩を水術による多量の濁流と共に外へと流してしまった。

ナミチュ「ふぅ、これもダメでしたか」

ホーリー「私の攻撃は水の方には当たらない、だからあえて私へと仕向けた。こういう計算高い女にロクなやつはいないのよ、私、知ってるの。。ブツブツ、、」

オダルジョー「カナメルも来たことだし、そろそろ決着をつけようか」

ナミチュ「カナメルさんを待っていたかのような言い方ですね？」

オダルジョー「ふぁ、、そう、待ってたの」

ナミチュ「何故かは答えてくれなさそうなので聞きませんが良いことではないのでしょう、あなた方を仕留める理由がひとつ増えました」

オダルジョー「別に教えても良いけど、まぁ良いや。そういえば大技の準備は出来たかい？」

ナミチュ「ご丁寧にどうも、それではご覚悟を」

ナミチュは強力な沼魔法を展開した。

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