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分裂のトルコネ編
第113話 お姉さんに任せなさい
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トルコネ付近の岩山に身を隠した一同。
リリ「ざっと三十人はいるね」
ツグル「どう攻める?」
リリ「ん~、多分イケるね」
ダイス「どうイケるんすか?」
リリ「お姉さんに任せなさいってこと」
ダイス「よし!じゃあ正面から行くぞ~」
ダイスは意気揚々と歩き出した。
ツグル「本気で言っているのか?」
リリ「大丈夫だよ、私だけじゃなさそうだから」
ツグルは首を傾げながらもダイスとリリの後ろを歩いた。
トルコネの中へと入ると半壊しかけている建物が並んでいた。
かつて訪れた時とは全く違う街並みに、セリアは悲しみを隠せなかった。
モモ「楽しそうな人で溢れてたのにね」
セリア「、、、うん。私がこの街に来なければ」
ダイス「さっさと無の神をぶっ飛ばして、また闘技大会開催しようぜ!」
モモ「そうだね!!今はあの時よりも強くなってるし、開催する頃には私はきっと優勝候補だなぁ」
ダイス「俺もその頃にはムッキムキになってるかもなぁ」
モモ「それはない」
ダイス「ですよねぇ」
先を歩くリリへとツグルは疑問を口にする。
ツグル「敵はどこにいるんだ?」
リリ「闘技場の中にいるね」
ツグル「奴等はここで何をしているんだ?」
リリ「なーにしてるんだろうねぇ」
リリは真っ直ぐに闘技場内へと入っていった。
歩き続け、広い闘技広場へと出ると。
「動くな!!!」
数十名の兵士が、フォールドーン帝国製の銃を構えて言い放った。
その背格好はグレイスの鎧に身を包んでいる。
「手を上げろ!!!」
ダイス「ひっ!!!」
ダイスとセリアを手を挙げた。
ツグルは短剣に手を伸ばしたがリリに静止される。
モモは密かに硬化をしていた。
リリ「手を上げろね、はいはーい」
その手にはハンドガンが握られている。
「いつの間に!?武器を下ろせ!!」
リリ「手を挙げさせたり、銃を下ろさせたり、忙しいねぇ」
リリの余裕の表情に、兵士達は動揺し出した。
すると騒ぎを聞きつけた、若い風貌の男が奥の方から歩いてきた。
若い男「何をしている?」
モモはその男に見覚えがあった。
モモ「あなたはグレイス王国攻撃隊長のリョーガさんですよね?」
リョーガ「そうとも呼ばれていますね」
モモ「前攻撃隊長ダイタンさんの息子で、十年前の王都陥落の数日前に謎の死を遂げたダイタンさんの後任として、まだ九歳だったリョーガさんが攻撃隊長として選ばれた。その異例の若さに、城下街は騒ついた。でもリョーガさんは就任式典のみ姿を現し、その後は長い遠征に出たという噂がある。でも謎が多すぎる、そして今、目の前にその本人がいる」
リョーガは不敵な笑みを浮かべながら。
リョーガ「真実など知る必要がない。唯一真実を知るフルネスさんも死んでしまったのですから」
モモはメイスに手をかけた。
リョーガ「何をしている?撃て」
リョーガの号令で兵達は引き金をひいた。
カチャ!!
しかし、何度引き金をひいても銃弾は発射されない。
兵士「リョーガ隊長!!弾が出ません!」
リョーガ「なんだと?」
モモはメイスを手に駆け出そうとした。
しかし、リリがそれを静止した。
リリ「銃っていうのはさぁ、魔力が無くても扱えて、引き金を引くだけで高い殺傷能力があるから、戦争にはよく使われるんだけど。機械は万能じゃないってことを理解しなくちゃいけないんだよね」
リョーガ「何をした?」
リリ「ガンジャム」
リョーガ「はい?」
リリ「そうだよね、この大陸には存在しない魔法か」
リリは何やら指で数を数えている。
リリ「はいはい、、、標的、、把握、、弾道調整、、完了、、、」
リョーガ「動くな。俺は今すぐにでもあなた方を八つ裂きに出来ますよ?」
リリ「そうかもね、でももういいよ、動く必要なんてないんだから」
リリは上空目掛けて引き金を引いた。
兵士「うわぁ!!!」
兵士が次々に頭を撃ち抜かれて倒れていく。
リョーガ「銃弾を操っているんですか?」
リリ「銃弾の速度知ってるよね?操れるわけないでしょ。最初に全てプログラミングしてあるだけ」
気が付けば兵士は全てこめかみを撃ち抜かれて倒れていた。
リリ「君は強そうだから、少し捻っといたよ」
リョーガはすぐさま後方へと飛び退いた。
銃弾は上空から一直線にリョーガのいた場所に落ちてきた。
地面に当たってもなお、高速回転をすることで突き進もうとしている。
リリが指先を僅かに動かした。
それと同時にもう一発、空へと発砲した。
地面で留まっていた弾丸は突然リョーガへと軌道を変え、心臓目掛けて飛んでいく。
上空へ放った弾は規則的な弧を描いて、リョーガの背後へと回り込んだ。
リョーガ「やはり操れるんですね」
リリ「んー、操り続けるのは無理だけど、一瞬軌道を変えることくらいは出来るよ。だから嘘はついていない。さぁ、どうする?」
飛び退いたリョーガは空中で自由を奪われている。
しかし、その表情には余裕の色が窺える。
リョーガ「俺はまだまだ、強くなれそうです」
リョーガの手には指輪がはめられている。
その指輪が光り出した。
リョーガ「守備隊長ダブルホーンの盾!!」
呼び声と共に、二つの大きな盾が姿を現した。
盾に当たった銃弾は高速回転を続け、貫通しようと真っ直ぐに進み続ける。
リリ「武器を呼び出せるのね、だから丸腰だったのかぁ、あちゃ~てっきり脳筋魔術師かと」
リリは自分の頭をペシっと叩いた。
カランカラン
弾は遂に回転を止め、地に落ちた。
両者睨み合いを続ける中、リリが口を開いた。
リリ「あんたの負けは確定してるよ、あいつも来てるんだから」
リョーガ「あいつ?」
闘技場の客席の柵に、一人の男が姿を現した。
トゥール「あとは俺に任せてくれ」
モモ「トゥールさん!!」
ダイス「こりゃ勝ち確ですわ」
ツグルも喜びを隠せない。
しかし、セリアは浮かない表情をしている。
ツグル「セリア、どうした?」
セリア「うん、、、トゥールさん、どうしちゃったんだろう?」
ツグル「ん?」
ツグルはトゥールをよく観察した。
その表情は冷淡で、眉間に皺が寄っている。
いつもの爽やかな笑顔はどこにもない。
ツグル「確かに、なんか変だな」
セリア「表情もだけど、魔力が、、、」
セリアは言いづらそうに言葉を続けた。
セリア「闇に覆われてる」
リリ「ざっと三十人はいるね」
ツグル「どう攻める?」
リリ「ん~、多分イケるね」
ダイス「どうイケるんすか?」
リリ「お姉さんに任せなさいってこと」
ダイス「よし!じゃあ正面から行くぞ~」
ダイスは意気揚々と歩き出した。
ツグル「本気で言っているのか?」
リリ「大丈夫だよ、私だけじゃなさそうだから」
ツグルは首を傾げながらもダイスとリリの後ろを歩いた。
トルコネの中へと入ると半壊しかけている建物が並んでいた。
かつて訪れた時とは全く違う街並みに、セリアは悲しみを隠せなかった。
モモ「楽しそうな人で溢れてたのにね」
セリア「、、、うん。私がこの街に来なければ」
ダイス「さっさと無の神をぶっ飛ばして、また闘技大会開催しようぜ!」
モモ「そうだね!!今はあの時よりも強くなってるし、開催する頃には私はきっと優勝候補だなぁ」
ダイス「俺もその頃にはムッキムキになってるかもなぁ」
モモ「それはない」
ダイス「ですよねぇ」
先を歩くリリへとツグルは疑問を口にする。
ツグル「敵はどこにいるんだ?」
リリ「闘技場の中にいるね」
ツグル「奴等はここで何をしているんだ?」
リリ「なーにしてるんだろうねぇ」
リリは真っ直ぐに闘技場内へと入っていった。
歩き続け、広い闘技広場へと出ると。
「動くな!!!」
数十名の兵士が、フォールドーン帝国製の銃を構えて言い放った。
その背格好はグレイスの鎧に身を包んでいる。
「手を上げろ!!!」
ダイス「ひっ!!!」
ダイスとセリアを手を挙げた。
ツグルは短剣に手を伸ばしたがリリに静止される。
モモは密かに硬化をしていた。
リリ「手を上げろね、はいはーい」
その手にはハンドガンが握られている。
「いつの間に!?武器を下ろせ!!」
リリ「手を挙げさせたり、銃を下ろさせたり、忙しいねぇ」
リリの余裕の表情に、兵士達は動揺し出した。
すると騒ぎを聞きつけた、若い風貌の男が奥の方から歩いてきた。
若い男「何をしている?」
モモはその男に見覚えがあった。
モモ「あなたはグレイス王国攻撃隊長のリョーガさんですよね?」
リョーガ「そうとも呼ばれていますね」
モモ「前攻撃隊長ダイタンさんの息子で、十年前の王都陥落の数日前に謎の死を遂げたダイタンさんの後任として、まだ九歳だったリョーガさんが攻撃隊長として選ばれた。その異例の若さに、城下街は騒ついた。でもリョーガさんは就任式典のみ姿を現し、その後は長い遠征に出たという噂がある。でも謎が多すぎる、そして今、目の前にその本人がいる」
リョーガは不敵な笑みを浮かべながら。
リョーガ「真実など知る必要がない。唯一真実を知るフルネスさんも死んでしまったのですから」
モモはメイスに手をかけた。
リョーガ「何をしている?撃て」
リョーガの号令で兵達は引き金をひいた。
カチャ!!
しかし、何度引き金をひいても銃弾は発射されない。
兵士「リョーガ隊長!!弾が出ません!」
リョーガ「なんだと?」
モモはメイスを手に駆け出そうとした。
しかし、リリがそれを静止した。
リリ「銃っていうのはさぁ、魔力が無くても扱えて、引き金を引くだけで高い殺傷能力があるから、戦争にはよく使われるんだけど。機械は万能じゃないってことを理解しなくちゃいけないんだよね」
リョーガ「何をした?」
リリ「ガンジャム」
リョーガ「はい?」
リリ「そうだよね、この大陸には存在しない魔法か」
リリは何やら指で数を数えている。
リリ「はいはい、、、標的、、把握、、弾道調整、、完了、、、」
リョーガ「動くな。俺は今すぐにでもあなた方を八つ裂きに出来ますよ?」
リリ「そうかもね、でももういいよ、動く必要なんてないんだから」
リリは上空目掛けて引き金を引いた。
兵士「うわぁ!!!」
兵士が次々に頭を撃ち抜かれて倒れていく。
リョーガ「銃弾を操っているんですか?」
リリ「銃弾の速度知ってるよね?操れるわけないでしょ。最初に全てプログラミングしてあるだけ」
気が付けば兵士は全てこめかみを撃ち抜かれて倒れていた。
リリ「君は強そうだから、少し捻っといたよ」
リョーガはすぐさま後方へと飛び退いた。
銃弾は上空から一直線にリョーガのいた場所に落ちてきた。
地面に当たってもなお、高速回転をすることで突き進もうとしている。
リリが指先を僅かに動かした。
それと同時にもう一発、空へと発砲した。
地面で留まっていた弾丸は突然リョーガへと軌道を変え、心臓目掛けて飛んでいく。
上空へ放った弾は規則的な弧を描いて、リョーガの背後へと回り込んだ。
リョーガ「やはり操れるんですね」
リリ「んー、操り続けるのは無理だけど、一瞬軌道を変えることくらいは出来るよ。だから嘘はついていない。さぁ、どうする?」
飛び退いたリョーガは空中で自由を奪われている。
しかし、その表情には余裕の色が窺える。
リョーガ「俺はまだまだ、強くなれそうです」
リョーガの手には指輪がはめられている。
その指輪が光り出した。
リョーガ「守備隊長ダブルホーンの盾!!」
呼び声と共に、二つの大きな盾が姿を現した。
盾に当たった銃弾は高速回転を続け、貫通しようと真っ直ぐに進み続ける。
リリ「武器を呼び出せるのね、だから丸腰だったのかぁ、あちゃ~てっきり脳筋魔術師かと」
リリは自分の頭をペシっと叩いた。
カランカラン
弾は遂に回転を止め、地に落ちた。
両者睨み合いを続ける中、リリが口を開いた。
リリ「あんたの負けは確定してるよ、あいつも来てるんだから」
リョーガ「あいつ?」
闘技場の客席の柵に、一人の男が姿を現した。
トゥール「あとは俺に任せてくれ」
モモ「トゥールさん!!」
ダイス「こりゃ勝ち確ですわ」
ツグルも喜びを隠せない。
しかし、セリアは浮かない表情をしている。
ツグル「セリア、どうした?」
セリア「うん、、、トゥールさん、どうしちゃったんだろう?」
ツグル「ん?」
ツグルはトゥールをよく観察した。
その表情は冷淡で、眉間に皺が寄っている。
いつもの爽やかな笑顔はどこにもない。
ツグル「確かに、なんか変だな」
セリア「表情もだけど、魔力が、、、」
セリアは言いづらそうに言葉を続けた。
セリア「闇に覆われてる」
応援ありがとうございます!
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