神殺しの怪物と六人の約束

ヤマノ トオル/習慣化の小説家

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分裂のトルコネ編

第130話 創造魔術の天才

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ツグルとリキッドが行動を共にし、グレイスを目指しているという情報を共有し、リリ達は再度トルコネの闘技場へとやってきた。

審査員席の陰から様子を伺う。

中央には氷塊の中で静止しているトゥールと、グレイス王国攻撃隊長リョーガの姿があった。

モモ「トゥールさんが氷漬けに!」

ダイス「あのリョーガとかいう奴、とんでもねぇ強さだな」

リリ「いや、違うんだなぁこれが」

リョーガは不思議そうに氷塊を触っている様子だった。

リリ「あの氷魔法はリキッドのものだよ」

ダイス「トゥールさんとリキッドって人がここで戦ったのか?あれ、でもリキッドって人は今現在ツグルと共に行動していて、、、ん?なんで戦う必要があったんだ?」

モモ「トゥールさんが私達を気絶させて、、、んーと、、、」 

モモとダイスは困惑しているようだった。

リリ「多分だけど、トゥールは何かしらの事情があって私達を気絶させた。そして途中でリキッドがやってきてトゥールと戦って勝った。その後ツグルとリキッドは二人でグレイスを目指したってところかな?」

モモ「ちょっと待って、セリアはどこにいるの?」

ダイス「ツグルと一緒にいるんじゃないのか?」

リリ「いないね。グレイス王国内は探知範囲外なんだよねぇ、ツグルとリキッドがグレイス王国を目指しているところを見ると、セリアはグレイス城にいると見るのが妥当だよね」

モモ「誰がどうやってセリアを?」

リリ「それもひっくるめて、聞いてみた方が早いんじゃないかなぁと思って、ここに来たわけ」

ダイス「聞くって、誰にだよ」

リリ「全てを知ってそうな人がいるじゃない?あそこに」

リリは攻撃隊長リョーガを指差した。

ダイス「おいおい、また戦うのかよ」

モモ「三体一なら余裕ですね」

リリ「いや、二人はここに隠れてて」

モモ「私達も戦えますよ!」

リリ「分かってるよ、でもねぇ、お姉さん少し本気出しちゃおうかなと思って、だからね?」

ダイス「まぁまぁ、そういうことならしゃーないっすね、てことでここで待つ。分かったか?モモ!」

モモ「はいはーい」

リリ「んじゃ、審査員席からの観覧、楽しんでね~」

リリはそう言いながら闘技場へと飛び出した。

リョーガ「?」

リリの存在に気付いたリョーガはため息をついた。

リョーガ「、、、、またあなたですか」

リリ「よっ!攻撃隊長さん。ちょいと聞きたいことがあってねぇ」

リョーガ「聞きたいことがあるのはこっちです。どうしてあなたが生きているのか、どうしてトゥールさんは凍ってしまっているのか。これはトゥールさんの裏切りと見て良いですか?」

リリ「そんなこと知らないよ、トゥールに裏切られたのはこっちなんだから。トゥールはいつからそっちに寝返ったの?」

リョーガ「ここ最近ですよ、無の神が連れてきたんです。いや~嬉しかったなぁ。。。俺の憧れのトゥールさんが来てくれたんですから。俺は王都陥落のあの日、グレイス城内にいた、そしてあなた方六人の驚異的な強さを目の当たりにして心が震えたんです。その中でもトゥールさんの高速の剣技、痺れたなぁ~」

リリ「そっか、じゃあ私の戦い方も見られちゃってるわけだ」

リョーガ「うーん、見たはずなんですけど、覚えてないっすね」

リリ「そっか、なら良かったよ。ところでさ、セリアがどこにいるのか、君なら知っているよね?」

リョーガ「さて、知りませんね」

リリ「流石に簡単には教えてくれないか」

リリは魔力を目に込めた。

リョーガ「もしかして、俺と殺し合う気ですか?正直、あなたになら勝てる気がしますよ」

リョーガは生意気に笑っている。

リリ「舐められたものだなぁ、まぁでも確かに、六人の中じゃあ一番弱いかもね、女の子ですし」

リョーガ「女だからって手加減はしないタイプなので、そこのところは期待しないでくださいよ?」

リリ「大丈夫、全力を出さなきゃ、多分君死んじゃうだろうから」

リリは魔法を展開した。

すると、客席に機関銃や大砲が一瞬でズラリと並べられた。
その全てがリョーガに標準を合わせている。

リョーガ「!?」

リョーガはすぐに防護壁を展開した。
その中で指輪に魔力を込め、詠唱を始めている。

リリの指示により、客席の機械達は一斉射撃を開始する。

とてつもない銃弾と砲弾を浴び、一瞬で防護壁は溶けた。

リョーガ「この程度では俺は倒せませんよ」

いつの間にかリョーガは大型の鎧を身に纏っていた。
その鎧は銃弾や砲弾を受けても傷つくことはなく、まるでダメージを受けていないようである。
リョーガは悠然と歩き出した。

リョーガ「これはかつての守備隊長、ハベルの鎧です。全ての攻撃を弾き返したと言われる鉄壁の御仁の鎧。そしてこれが、、、、」

リョーガの指輪が光り、空中に大きな斧が生成された。

リョーガ「かつての攻撃隊長、アルバートの斧。どんな敵も叩き割り、一騎当千の活躍を見せた猛将の斧です」

リリ「武具ってのはね、使う人によってその強さは桁違いに変わるんだよ」

リョーガ「その通りです、だから俺は全ての武具を扱えるように日々血の滲むような特訓をしてきた」

リリ「へぇ~、じゃあ見せてもらおうか」

リョーガ「良いでしょう」

リョーガが一歩踏み出すと、足元のトラップが起動し、電磁爆発が起こった。

リリは片手にプロペラを生成し、空へと移動する。

リョーガ「何?、、、身体が動かない」

リリ「その鎧、相当重いんだろうね。でも機関銃の射撃が止まらないから、その鎧を脱ぐことも出来ない。そしてたった今、電磁爆発によって筋肉が悲鳴を上げているって状態、とりあえずここまでは理解出来てるかな?」

リリは鉄塔を瞬時に作り上げ、その上からリョーガを見下ろした。

リリ「もう少し角度をつけないと、モモとダイスが危ないか。ちょいと失礼」

リリが指を鳴らすと、壁は磁石のように磁力を帯び、リョーガは引きずられるように壁へと張り付いた。

リリ「よし、準備完了!そんじゃ、一発ぶち込んでみますかぁ~これで貫通しなかったら、どーしよっかなぁ」

リリは大型のスナイパーライフルを生成した。

ダイス「あれは、、フォールドーンで見たやつだ」

モモ「ダイス隠れて!一応防護壁を張るよ!」

ダイス「お、おう!!頼んだ」

モモとダイスはそのとてつもない威力を目の当たりにしているが故に、自分達の身を守ろうと身を寄せた。

リリ「ちょっと待ってねぇ、弾道の微調整、、、銃弾はもちろん、クレーター弾で」

そのスナイパーライフルにはスナック・ラジーヌという文字が刻まれている。

リリ「今のところこのライフルが貫けなかったものはないんだよね。ああ、ゼウスは、、、一応腕は貫通してたから貫いたってことにはなるのかな?」

リリはスコープを覗き込んだ。

リョーガ「、、、これは、、、、、マズイ」

スナイパーライフルの先端の圧縮された魔力を見て、リョーガは転移石を起動した。

リリ「逃がさないよ、これが私の、、、最高傑作!!」

リリが引き金を引こうとしたその時、リョーガは闇となって消えた。

リリ「なーんだ、逃げるのか」

リリが手を上げると、機関銃は動きを止め、消えた。
続いて散りばめられていたらしき電磁爆弾や磁石壁、スナイパーライフルも姿を消した。

リリ「ごめーん、逃しちゃった。けどあの様子じゃ、セリアがグレイス城にいるのは確定っぽいね」

リリはプロペラで下降しながらモモとダイスに声をかけた。

鉄塔は何事もなかったかのように姿を消した。

モモ「リリパイセン、、、、超カッコよかったっす。。。おら、一生ついて行くっす!!」

ダイス「もしかして、もしかしてだけど!!リリさんって俺の戦い方の最終形態なんじゃね?伝授!!伝授求む!!」

リリ「まぁ、一応六人のうちの一人ですからねぇ。弱くはないよ」

リリは照れ臭そうに背伸びをした。
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