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決戦のグレイス城編
第210話 貴方はとても綺麗だ
しおりを挟むリキッド「さて、俺も行くとするか。君はまだここにいるのか?」
モモ「はい、友達が戻ってくるかもしれないので」
リキッド「そうか」
モモは未だに祈りを捧げている。
リキッド「ピンチになったら空に助けを求めるんだ」
モモ「はい、、、、え、空?」
空を見上げたモモだったが、転送魔法がかけられている擬似的な夜空が広がっているだけだった。
リキッド「分かったかい?お嬢さん」
モモ「は、はい」
リキッドは扉の先へと進んだ。
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煌びやかな舞踏場にリキッドは足を踏み入れた。
トゥールは各々が助けられる人を助けろ、なんて言葉を言うと思うがその作戦は効率が悪い。
リキッドが考える最も効率の良い安全策は脅威の排除である。
そして脅威を排除する準備は前回このグレイス城に来た時に終えている。
心残りだったフルネスへの祈りを捧げ終えた今、やらなければいけないことはあと一つ。
その標的が目の前にいた。
リキッド「こんなに早く見つけられるとは思わなかった」
リキッドが声をかけた先にいるのは大きな魔女帽を被った女性だ。
BB「あら、また会ったわねお兄さん。でも今回はどうやら目的が違うように見えるけれど?」
リキッド「その通りだ、今回は貴方が俺のターゲットさ」
BB「イケメンのお兄さんから狙われるなんて私もまだまだ捨てたものじゃないわね」
BBはふふっと悪戯に笑った。
リキッド「貴方は脅威になると前回会った時から分かっていた。だから俺はあの時に先手を打たせてもらった」
BBはその時のことを思い返し、不可解な行動が一つあったことを思い出した。
BB「あなたは魔法を発動して氷塊を砕いた、それは戦う意志がないことを示したのかと思ったのだけれど。今思えば少し違和感のある行動だわ」
リキッドは表情を変えずに答えた。
リキッド「その通り、夜は一層冷え込んだはずだ。普段よりも」
BBの身体が内側から凍りついていく。
BBは転移魔法を発動しようとしたがもう遅かった。
BB「そう、、、あの時の細雪はずっと私の身体の中に滞在していたのね。でもまぁ天寿を全うするよりも、この姿のまま凍りつく方が綺麗な最期かしら?」
リキッド「ええ、貴方はとても綺麗だ」
BB「ふふっ、こんな人生には悲しい最期が待っていると思っていたのだけれど、、、私には勿体ない最期だわ。ありがとう」
BBは最後に笑った。
そのまま大きな氷像となり、一つの命が最期を迎えた。
グレイス城を覆っていた空間転送魔法が解けた。
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