神殺しの怪物と六人の約束

ヤマノ トオル/習慣化の小説家

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決戦のグレイス城編

第211話 はいはい、任務完了〜!!

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モモはリキッドの言葉が気になり空を見上げていた。

すると空間転送魔法は解け、綺麗な夜空が姿を現した。

モモ「凄い!!綺麗!!」

パタパタパタパタ

夜空に浮遊する見慣れた機械兵器を見て、モモは手を振った。

モモ「きっとリリさんだ!!リリさん生きてたんだ!!」

モモは嬉しくなって両手を大きく振って飛び跳ねた。

~~~~~~~~~~~~~~

逃げ場のない船の上でダイスは苦戦を強いられていた。

木属性魔法によってあらゆる角度から攻撃を仕掛けてもリョーガはそれを槍で華麗に粉砕してしまう。

辛うじてその槍の猛攻を避けてはいるものの、気が付けば傷だらけになっていた。

ダイス「はぁ、、はぁ、、、、くそ、、」

リョーガ「逃げてばかりでは俺は倒せませんよ」

圧倒的な戦力差にダイスは怯えていた。

ダイス「くそ!!、、、」

ダイスは走り出した、疲労も相まって注意力が散漫になっていた。
リョーガの槍がダイスの大腿骨を貫いた。

ダイス「ぐぁぁあ!!!!!!!ああぁ、、、」

リョーガ「痛いでしょう?大腿骨が真っ二つだ、もう立つことすら難しい」

ダイス「く、、、くそ、、、、」

ダイスは苦悶の表情を浮かべながらリョーガを睨みつけた。

リョーガ「その苦しみから解放してあげましょう」

リョーガは迷いなくダイスの心臓を貫いた。

カキーン!

金属と金属がぶつかるかのように、槍はダイスの皮膚を通らなかった。

リョーガ「硬化魔法も使えるんですね、大したものです」

ダイス「、、、、モモ」

ダイスは自分の身体が鋼鉄の如く硬化していることに気が付いた。
もちろんこれはダイスの魔法ではない、モモが何かしらの方法でダイスの身体を硬化したのだろう。

桃色の靄が心臓のあたりに浮かんでいる。

リョーガ「ならば良いでしょう、私の最大の攻撃で木っ端微塵にしましょうか」

リョーガは距離を取り、血の槍に力を込める。

リョーガの槍の投擲は流石に跳ね返せないだろう。
とはいえ身体は限界を超え、逃げることすら出来ない。
意識が遠のくのを感じながらダイスは半ば諦めかけていた。

パタパタパタパタ

聞き慣れた機械音が聞こえる。

死が近づき、幻聴が聞こえ始めているのだろうか。

ダイス「リリさん、、、生きてるのかなぁ」

リョーガ「最後の最後に他人の心配ですか?」

空間が歪んでいく、ダイスの体力の限界により自空間が崩壊しつつあるのだ。

ダイス「!!!」

ダイスはピンと来た。

今聞こえているのは幻聴ではなく、自空間の崩壊に伴って現実世界の音が聞こえているのではないだろうか?

ということはリリが助けに来たのではないだろうか?

もう手段を選んでいる暇はない。

この仮説が例え妄想だとしても実行するしかない。

ダイス「お前にも聞こえるか?」

リョーガ「死神の足音ですか?」

リョーガはニヤけながら答えた。

ダイス「ああ、そうかもしれないな。どっちにしろもう終わりだな、終わるのが俺なのかお前なのかってだけで」

リョーガ「終わるのは君だけですよ」

ダイスが指を鳴らすとブラックパール号は変形を繰り返し大樹となった。
そしてリョーガを空高く打ち上げた。

船から押し出され、ダイスはそのまま水の中へと落ちていく。

リョーガ「距離を取れば安全だと思いましたか!?俺の槍の射程を甘く見ないことです!!」

ダイスは海底に沈む樹海の中で、そっと目を閉じた。

~~~~~~~~~~~~

空を見上げていると、突然轟音と共に大量の水が流れ出した。

モモ「うわ!!!何!?」

よく見ると、そこにグッタリと横たわるダイスがいた。

モモ「ダイス!!!」

モモはダイスの元へと駆け寄ったが、空に紅く光る禍々しい殺気を感じて顔を上げた。

槍を構えるリョーガが空中からこちらを狙っているようだ。

モモはすぐに防護壁を展開して両手を標的へと向けた。

モモ「私が守る!!」

リョーガ「フルネスさんは負けたのですか。ではその尻拭いをさせて頂きましょう」

血の槍には十分に魔力が充填されている。

防護壁諸共全てを消し去ることが出来るとリョーガは確信していた。

しかし、標的を狙っている者はもう一人いた。

「創造魔法の良いところはさ、味方の動きに合わせて柔軟に戦略を変えれるところだよね~。君はもう立派な魔法使いだよ」

パタパタパタパタ

リョーガは今になって機械音に気が付いた。

ふと横を見た瞬間、全てを消し去る銃弾がリョーガを貫通した。
リョーガは感情を抱く間もなく、夜空に消滅した。

リリ「はいはい、任務完了~!!」

リリはそのままヘリコプターをナイトロードに着陸させ、ダイスとモモの元へと向かった。

モモ「リリさん!!ありがとうございます!!」

リリ「遅くなってごめんね~ところでダイス君は大丈夫かな?」

虫の息のダイスを見てリリはすぐに応急キットを取り出した。

リリ「応急処置しか出来ないけど、何もしないよりはマシでしょ」

モモ「ありがとうございます」

リリ「んじゃモモちゃんはここでダイス君を見てて、私はまだやることがあるっぽいから」

リリはそれっぽく敬礼をしてフラッといなくなった。









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