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決戦のグレイス城編
第212話 タカvsゼウス。そしてカナメル
しおりを挟む赤のオーラが発現したカナメルは魔力を惜しまずに使用し、ゼウスと対等に渡り合っているように見えた。
しかし、硬い皮膚を貫く技は朱雀を吸収した炎帝ディアナしかないカナメルに対し、ゼウスの攻撃は全てが致命傷になる。
一時も気を抜くことが許されない状況が続いていた。
カナメル「このままだと、あんたの魔力切れは待ったなしだね」
ゼウス「今までの人生で魔力切れとやらを起こしたことがないものでな、この機会に味わってみたいものだ」
カナメル「羨ましいね、じゃあ今日がその魔力切れ初体験になるかもね」
とは言ったものの、この不安定な赤のオーラとやらがいつまで続いてくれるのかカナメルにも分からない。
安心は出来ない、魔力切れを狙った逃げ切りよりも赤のオーラが発現しているうちに仕留めることが出来ればその方が良い。
だが雷属性を身体に付与したゼウスに隙はない。
ふと異様な存在感を感じ扉の方を見ると、そこにはゼウスと同じ魔術刻印をもつ戦闘民族の姿があった。
タカ「ゼウス、決着をつけようか」
ゼウス「ほう、あの時の若造か。俺に敗北し、白い扉に逃げ込んだようだが生きていたのだな」
タカ「最後には俺が勝つ。同胞達の力、返してもらう」
ゼウス「この力はもう俺のものだ」
タカ「言葉で解決出来るとは思っていない、負けた方が奪われる。それが俺たち戦闘民族の掟だからな」
ゼウス「じゃあお前達の掟に従うとしようか」
タカ「悪いがそこのお前、こいつは俺の獲物だ。離れていてくれ」
赤のオーラの発現時間内にゼウスを倒し切りたいカナメルは言葉に詰まった。
カナメル「、、、、俺は自分以外に賭けることが嫌いでね。正直に言うと今の俺の勝率は50%くらいなんだけど、あんたの勝率はいくらなんだ?」
タカ「100%だ」
タカは即答した。
その目には微塵も迷いがない。
タカはカナメルを一瞥することもなく、真っ直ぐにゼウスを見ていた。
カナメル「だったらあんたに賭けるよ、でも保険として俺はここを離れない。仮にあんたが負けた時、俺がゼウスにとどめを刺さなきゃいけないからね」
タカ「好きにすれば良い、だが巻き込まれて死んでも知らないぞ」
カナメル「動きを予測して避けるのは得意でね、心配しなくても良いよ」
カナメルは二人から離れ、物陰に倒れているサチヨの元へと向かった。
これから戦場となるこの場所に転がっていては消滅しかねない、せめて亡骸だけでも形あるまま残してあげようと思ったのだ。
サチヨ「むにゃむにゃ、、、」
すると、突然ですがサチヨの口が動き出した。
カナメル「、、、、、なんだ、生きていたのか。あれだけの雷撃を受けて死なないなんてタフだね」
カナメルは心底ホッとした。
少し離れた場所で激しい打ち合いが始まった。
カナメル「流石に入る隙はないか」
超人達の戦いを眺め、カナメルは呟いた。
それでも赤のオーラはまだ燃えていた。
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