219 / 229
世界の終わり編
第219話 同胞のために
しおりを挟むトゥール「タカ!!ゼウス!!お前達二人の力が必要だ!!城の屋上、空中庭園に来てくれ!!、、頼む」
電子機器を通してトゥールの声が響き渡る。
中央庭園でタカとゼウスは激闘を繰り広げ、ゼウスは焼けた草花の上に大の字になっていた。
ゼウス「、、、、、あの規模の隕石が降ってきたらこの星は終わりだな」
ゼウスは笑っていた。
ゼウス「その前にお前に殺されるのか」
タカ「、、、、、」
トドメをさせば一族の悲願が果たされる。
激闘の末、タカは勝利したのだ。
しかしタカは躊躇っていた。
自分の身体が霧散していること、空からの隕石、トゥールの呼び声。
今すべきことはゼウスを倒すことではないということは分かっている。
タカは拳を握りしめた。
タカ「お前は俺が必ず殺す、だが今は共に来い」
タカはゼウスを片手で持ち上げた。
タカ「面倒だ」
そう呟きながら、タカは空中庭園を目指して飛び上がった。
~~~~~~~~~~
タカはゼウスを担いで空中庭園に着地した。
タカ「どうなっている?」
トゥール「お、来たな」
ムー「無の神の身体が死んで僕達の身体は消滅しかけている、魂となって空へと逃げた無の神が隕石を落とし始めた。理解出来ているか?」
タカ「ああ」
リリ「この状況をその説明でよく理解出来るね」
タカ「あの隕石を破壊すれば良いんだな?」
タクティス「出来るのか?そんなことが」
タカ「、、、、、」
タカはジッと空を見つめた、その後に薄れゆく自分の両手を眺めていた。
タカ「おそらく無理だろう」
ムー「あの隕石を破壊するのは無理だ。だが風穴を空ける方法ならある」
ムーはタカの目をしっかりと見つめ、ハッキリと言う。
ムー「ゼウスにてめぇの力を託し、フルパワーの神の裁きをあの隕石に撃ち込む」
タカ「!!!!」
タカは目を見開き、言葉を失っている様子だ。
リリ「ちょ、、、それはいくら何でも」
見兼ねたリリがムーを説得しようと前に出た。
リキッド「タカの力とこの世界の存続を天秤にかけるだけだ、選択の余地はないと思うが?」
リキッドは迷いなく言い放った。
トゥール「ダメだ」
トゥールがリリを押し退け、ムーとリキッドの前に立ちはだかった。
トゥール「タカの願いを無視することは出来ない。それに、誰かが犠牲にならなければならない作戦はいくらムーの案だとしても却下する。違う案を考えよう」
ムー「いや、これしかねぇ。これですら成功率は低い、何故なら隕石に風穴を開けた後、ツグルかセリアを空に飛ばして無の神の幽体にトドメを刺す必要があるからだ」
セリアはツグルを抱きしめ、しくしくと泣いている。
一連の話を聞いていたゼウスが口を開けた。
ゼウス「俺が完全体とやらになったとして、お前達に手を貸す保証はないとは考えないのか?」
トゥール「いや、死ぬよりはマシだろ。そりゃ手を貸すだろうけどさ、、、」
リリが首を振りながらゼウスを指差した。
リリ「でもあんた死を恐れていないタイプでしょ?別にこの世界がどうなっても良いって感じ」
ゼウス「その通りだ」
ムー「いや、てめぇは僕達に手を貸す。何故ならてめぇは僕と同類だからだ」
ゼウス「その根拠は?」
ムー「てめぇは新たな力を手に入れることをやめられない。完全体になり、もし仮に僕達を裏切ったとしたらてめぇも一緒に死ぬだけだぞ?朗報だ、完全体になれば化け物だらけの海を越えられるはずだ」
ゼウス「ほう、確かに半分の戦闘民族の力のみでこのパワーだ。全てを吸収した時の力は計り知れないだろうな」
ムー「僕はブルーフォレストという大陸出身だ、魔法の原点とされる閉鎖国家でね、教団が支配するその世界では未だ明かされていない秘密が山程隠されている。なんてったって魔法の原点となる大陸だ、僕も近々行くつもりだが、てめぇが先に行っても良い。生きていたらのハナシだがな」
ゼウス「ふん、交渉しているつもりか」
ムー「まぁ、交渉なんてしなくても完全体となったてめぇは試し撃ちで神の裁きを放ちたくなるさ」
ゼウス「良いだろう、有益な情報の対価としては安いものだ」
ゼウスはタカを見た。
ゼウス「それで、その力を俺に渡すってことで良いのか?」
トゥール「いや、渡さない」
タカの民族は同族を殺すことでその力を引き継ぐことが出来る。
半数の民族を吸収したタカとゼウス。
あとはゼウスがタカを殺すことでゼウスは完全体となる。
トゥールが収まりそうになった空気を変えようとした時、タカが口を開いた。
タカ「くれてやる」
目を瞑りながらタカは静かに呟いた。
リリ「タカ、、、、」
タクティス「本当に良いのか?」
トゥール「、、、、、」
一同は静まり返る。
少しの沈黙の後、タカは目を開いた。
タカ「俺を殺せ」
ゼウス「ああ、分かった」
ゼウスは咳き込みながらゆっくりと立ち上がった。
トゥール「いや、やっぱり考え直そう。何か他に方法があるはずだ」
慌てて割って入ったトゥールだったが、ムーの紫のオーラを見て表情が和らぐ。
ムー「タカはこの先も必要な最大戦力だ、失って良いわけねぇだろ」
リキッド「ほう、殺さなくても良いのか。ならそれでいこう」
どうやらリキッドは本気でタカを殺すつもりだったらしい。
トゥール「ふぅ~、、、皆どうかしてるかと思ったよ。殺さなくても良いんだな?」
タクティス「良かった、、、、」
安堵するトゥールとタクティス。
ムー「僕はマイケルの自空間でただただ時間を食っていたわけじゃねぇ、マイケルからの情報を元に魔法を開発していたわけだ。仮にタカがゼウスに負けた時、僕はゼウスから力を奪ってタカに移植する予定だった。まぁ、タカは絶対に認めねぇだろうから、こういう形で試せるんなら本望だね」
リリ「でも私達は魔力の格の欠片をツグルに渡しちゃったじゃない?今じゃ私はハンドガンですら創れそうにないよ」
ムー「この魔法は紫のオーラを主体として扱う。魔法を扱う繊細さは必要ないってわけだ。まぁそこら辺は説明してもおそらく無意味だな」
リキッド「時間がない、さっさと始めよう」
ムー「そうだな、大魔導師ムー様のショウタイムの始まりだ」
0
あなたにおすすめの小説
裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね
竹井ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。
元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、
王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。
代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。
父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。
カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。
その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。
ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。
「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」
そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。
もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。
主婦が役立たず? どう思うかは勝手だけど、こっちも勝手にやらせて貰うから
渡里あずま
ファンタジー
安藤舞は、専業主婦である。ちなみに現在、三十二歳だ。
朝、夫と幼稚園児の子供を見送り、さて掃除と洗濯をしようとしたところで――気づけば、石造りの知らない部屋で座り込んでいた。そして映画で見たような古めかしいコスプレをした、外国人集団に囲まれていた。
「我々が召喚したかったのは、そちらの世界での『学者』や『医者』だ。それを『主婦』だと!? そんなごく潰しが、聖女になどなれるものか! 役立たずなどいらんっ」
「いや、理不尽!」
初対面の見た目だけ美青年に暴言を吐かれ、舞はそのまま無一文で追い出されてしまう。腹を立てながらも、舞は何としても元の世界に戻ることを決意する。
「主婦が役立たず? どう思うかは勝手だけど、こっちも勝手にやらせて貰うから」
※※※
専業主婦の舞が、主婦力・大人力を駆使して元の世界に戻ろうとする話です(ざまぁあり)
※重複投稿作品※
表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。
愚者による愚行と愚策の結果……《完結》
アーエル
ファンタジー
その愚者は無知だった。
それが転落の始まり……ではなかった。
本当の愚者は誰だったのか。
誰を相手にしていたのか。
後悔は……してもし足りない。
全13話
☆他社でも公開します
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
合成師
あに
ファンタジー
里見瑠夏32歳は仕事をクビになって、やけ酒を飲んでいた。ビールが切れるとコンビニに買いに行く、帰り道でゴブリンを倒して覚醒に気付くとギルドで登録し、夢の探索者になる。自分の合成師というレアジョブは生産職だろうと初心者ダンジョンに向かう。
そのうち合成師の本領発揮し、うまいこと立ち回ったり、パーティーメンバーなどとともに成長していく物語だ。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる
竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。
評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。
身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。
オッサン齢50過ぎにしてダンジョンデビューする【なろう100万PV、カクヨム20万PV突破】
山親爺大将
ファンタジー
剣崎鉄也、4年前にダンジョンが現れた現代日本で暮らす53歳のおっさんだ。
失われた20年世代で職を転々とし今は介護職に就いている。
そんな彼が交通事故にあった。
ファンタジーの世界ならここで転生出来るのだろうが、現実はそんなに甘く無い。
「どうしたものかな」
入院先の個室のベッドの上で、俺は途方に暮れていた。
今回の事故で腕に怪我をしてしまい、元の仕事には戻れなかった。
たまたま保険で個室代も出るというので個室にしてもらったけど、たいして蓄えもなく、退院したらすぐにでも働かないとならない。
そんな俺は交通事故で死を覚悟した時にひとつ強烈に後悔をした事があった。
『こんな事ならダンジョンに潜っておけばよかった』
である。
50過ぎのオッサンが何を言ってると思うかもしれないが、その年代はちょうど中学生くらいにファンタジーが流行り、高校生くらいにRPGやライトノベルが流行った世代である。
ファンタジー系ヲタクの先駆者のような年代だ。
俺もそちら側の人間だった。
年齢で完全に諦めていたが、今回のことで自分がどれくらい未練があったか理解した。
「冒険者、いや、探索者っていうんだっけ、やってみるか」
これは体力も衰え、知力も怪しくなってきて、ついでに運にも見放されたオッサンが無い知恵絞ってなんとか探索者としてやっていく物語である。
注意事項
50過ぎのオッサンが子供ほどに歳の離れた女の子に惚れたり、悶々としたりするシーンが出てきます。
あらかじめご了承の上読み進めてください。
注意事項2 作者はメンタル豆腐なので、耐えられないと思った感想の場合はブロック、削除等をして見ないという行動を起こします。お気を悪くする方もおるかと思います。予め謝罪しておきます。
注意事項3 お話と表紙はなんの関係もありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる