227 / 229
世界の終わり編
第227話 託されし者達
しおりを挟む地上付近で、ツグルの身体をアイスロードに乗ったリキッドが受け止めた。
リキッド「やはり最後に大切なのは、勢い、だっただろ?」
ツグル「うん、間違いない」
グレイス城屋上にある空中庭園に皆集まり、ツグルを讃えていた。
多少の損壊はあるものの、リキッドやカナメルのおかげでグレイス城は崩れることなくそこにあった。
ようやく地に足をつけたツグルの元に、真っ先に飛び込んで来たのはセリアだった。
セリア「!!、、、、」
セリアは涙を流しながら笑っている。
ツグル「ただいま」
ツグルはセリアを強く抱きしめた。
「おかえり!!!」
続いてモモとダイスがツグルに飛びかかった。
ツグル「皆!!、、、生きていてくれて、ありがとう」
ダイス「こっちのセリフだぁ!!!ばかやろー!!!」
モモ「本当に、、皆無事で良かったよぉおお!!!」
四人は号泣しながら、各々を称えていた。
少し離れた場所でネギッチャはその光景を眺めていた。
ネギッチャ「お前は行かなくても良いのか?」
そう問いかけられたカナメルは鼻で笑って答えた。
カナメル「別に。まぁ今は流石に入れないよね」
ネギッチャ「そうだな」
ネギッチャはタバコに火をつけた。
ネギッチャ「ツグルとは後々語り合うとするか、もちろんお前とも」
カナメル「あんたと語ることなんてないよ」
ネギッチャ「まぁそう言うなよ。俺はフォールドーンに戻る、前皇帝のせいで国がめちゃくちゃでやることが山積みだからな」
ネギッチャはゼウスを睨みつけた。
カナメル「ふーん、まぁお元気で」
ネギッチャ「何か用があればいつでも来い、歓迎する」
カナメル「用があればね」
ブルンブルン!!!
ネギッチャはバイクと共に去っていった。
ゼウスは何も言わず、その場から立ち去ろうとした。
そこへムーがやってきた。
ムー「ブルーフォレスト、僕の故郷に行くつもりか?」
ゼウス「そのつもりだ、もうこの大陸に興味がないからな」
ムー「ふん、せいぜい死なないように気をつけるが良い」
ゼウス「そうさせてもらおう、少しは生きながらえたいと思えたからな」
ゼウスはカナメルをジッと見つめた。
カナメル「どうせ生きるなら、人に迷惑をかけないようにして欲しいね」
ゼウス「生意気な小僧だ」
ゼウスは雷鳴と共にその場から一瞬で姿を消した。
気が付けばカナメルの身体から赤のオーラは消えていた。
ムー「おいカナメル、てめぇは赤のオーラを二度と使わない方が良い」
カナメル「何で?」
ムー「時系列がバグる可能性があるからだ」
カナメル「どういうこと?」
ムー「分かっていないようだから言っておく、それは無限の魔力なんてものじゃねぇ。時空を超えてどこかから魔力を引っ張ってきているだけだ」
カナメル「そんなことが可能なのか?」
ムー「その謎を解明してやりてぇところだが、僕には時間がない」
ムーは透過する身体でユラユラと浮いている。
カナメル「そうみたいだね」
ムー「この世界の大魔術師の座は一旦てめぇに託してやる」
カナメル「有り難く頂いておくよ」
そこへツグルがやってきた。
ツグル「カナメル、俺はやったぞ」
カナメル「おつかれ」
ツグル「、、、、、」
カナメル「、、、、、」
ツグル「色々と助かった」
カナメル「お前は怪物から英雄となった。その英雄様の手助けをしたってことだからこちらこそ光栄だよ」
ツグル「何言ってんだか」
カナメル「ハグはやめてくれよ?流石に」
ツグル「するかよ」
「よくやった!!!ツグル!!!」
微妙な空気を断ち切るように強引に肩を組んだのは傷だらけのトゥールだった。
三人で肩を組む形になり、カナメルはトゥールの腕を振り払った。
カナメル「そういうのは二人でやってくれってことで」
ツグル「トゥール!!傷だらけじゃん!!」
トゥール「治癒限界?ってやつで黄色のオーラが途中で消えちゃったんだよ、でもまぁどうせこの身体もそろそろ消えるからどうでも良いか!!」
ツグル「そうか、トゥールもムーもリキッドも、、六人は消えちゃうのか」
リキッド「おそらくな、ミッションコンプリートだ」
いつの間にかツグルの元に六人が集まっていた。
リリ「色々あったけど、なんだかんだ楽しかったねぇ~」
タカ「一族の悲願は果たされなかったが、この世界の脅威は去った」
タクティス「平和が訪れて良かった。家族に会いたいが、それは叶わないのだろうな」
六人の身体は徐々に透明になっていく。
ムー「平和?なに寝ぼけたこと言ってやがる。聖属性が消えたことで海や空からモンスターが接近するだろう、想いの残滓の地の扉は開いたままだ、いつまた脅威がやってくるか読めたものじゃない。その時にはもう僕達はいない」
トゥール「そうだ、でも大丈夫さ。この世界の人間は強い!!」
ツグル「俺が何とかする」
トゥール「お、言ったな?また重いものを背負うつもりか」
ツグル「今まで背負ってたものに比べたら随分と軽いよ」
トゥール「はっはっは!!それもそうか」
トゥールはツグルの頭に手を置いた。
トゥール「俺達が愛し、守った、この世界を頼んだぞ。ツグル」
ツグル「うん、今度は俺がこの世界を守る」
トゥール「約束だ」
遂に六人の身体は見えなくなった。
トゥール「ありがとう皆、楽しかったよ」
その声を最後に、六人は消えた。
ツグル「ありがとう、、、、ありがとう!!、、、」
ツグルは胸から言葉にならない感情が込み上げ、ただひたすらにありがとうと呟いていた。
0
あなたにおすすめの小説
裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね
竹井ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。
元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、
王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。
代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。
父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。
カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。
その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。
ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。
「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」
そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。
もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。
オッサン齢50過ぎにしてダンジョンデビューする【なろう100万PV、カクヨム20万PV突破】
山親爺大将
ファンタジー
剣崎鉄也、4年前にダンジョンが現れた現代日本で暮らす53歳のおっさんだ。
失われた20年世代で職を転々とし今は介護職に就いている。
そんな彼が交通事故にあった。
ファンタジーの世界ならここで転生出来るのだろうが、現実はそんなに甘く無い。
「どうしたものかな」
入院先の個室のベッドの上で、俺は途方に暮れていた。
今回の事故で腕に怪我をしてしまい、元の仕事には戻れなかった。
たまたま保険で個室代も出るというので個室にしてもらったけど、たいして蓄えもなく、退院したらすぐにでも働かないとならない。
そんな俺は交通事故で死を覚悟した時にひとつ強烈に後悔をした事があった。
『こんな事ならダンジョンに潜っておけばよかった』
である。
50過ぎのオッサンが何を言ってると思うかもしれないが、その年代はちょうど中学生くらいにファンタジーが流行り、高校生くらいにRPGやライトノベルが流行った世代である。
ファンタジー系ヲタクの先駆者のような年代だ。
俺もそちら側の人間だった。
年齢で完全に諦めていたが、今回のことで自分がどれくらい未練があったか理解した。
「冒険者、いや、探索者っていうんだっけ、やってみるか」
これは体力も衰え、知力も怪しくなってきて、ついでに運にも見放されたオッサンが無い知恵絞ってなんとか探索者としてやっていく物語である。
注意事項
50過ぎのオッサンが子供ほどに歳の離れた女の子に惚れたり、悶々としたりするシーンが出てきます。
あらかじめご了承の上読み進めてください。
注意事項2 作者はメンタル豆腐なので、耐えられないと思った感想の場合はブロック、削除等をして見ないという行動を起こします。お気を悪くする方もおるかと思います。予め謝罪しておきます。
注意事項3 お話と表紙はなんの関係もありません。
自力で帰還した錬金術師の爛れた日常
ちょす氏
ファンタジー
「この先は分からないな」
帰れると言っても、時間まで同じかどうかわからない。
さて。
「とりあえず──妹と家族は救わないと」
あと金持ちになって、ニート三昧だな。
こっちは地球と環境が違いすぎるし。
やりたい事が多いな。
「さ、お別れの時間だ」
これは、異世界で全てを手に入れた男の爛れた日常の物語である。
※物語に出てくる組織、人物など全てフィクションです。
※主人公の癖が若干終わっているのは師匠のせいです。
ゆっくり投稿です。
万物争覇のコンバート 〜回帰後の人生をシステムでやり直す〜
黒城白爵
ファンタジー
異次元から現れたモンスターが地球に侵攻してくるようになって早数十年。
魔力に目覚めた人類である覚醒者とモンスターの戦いによって、人類の生息圏は年々減少していた。
そんな中、瀕死の重体を負い、今にもモンスターに殺されようとしていた外神クロヤは、これまでの人生を悔いていた。
自らが持つ異能の真価を知るのが遅かったこと、異能を積極的に使おうとしなかったこと……そして、一部の高位覚醒者達の横暴を野放しにしてしまったことを。
後悔を胸に秘めたまま、モンスターの攻撃によってクロヤは死んだ。
そのはずだったが、目を覚ますとクロヤは自分が覚醒者となった日に戻ってきていた。
自らの異能が構築した新たな力〈システム〉と共に……。
【アイテム分解】しかできないと追放された僕、実は物質の概念を書き換える最強スキルホルダーだった
黒崎隼人
ファンタジー
貴族の次男アッシュは、ゴミを素材に戻すだけのハズレスキル【アイテム分解】を授かり、家と国から追放される。しかし、そのスキルの本質は、物質や魔法、果ては世界の理すら書き換える神の力【概念再構築】だった!
辺境で出会った、心優しき元女騎士エルフや、好奇心旺盛な天才獣人少女。過去に傷を持つ彼女たちと共に、アッシュは忘れられた土地を理想の楽園へと創り変えていく。
一方、アッシュを追放した王国は謎の厄災に蝕まれ、滅亡の危機に瀕していた。彼を見捨てた幼馴染の聖女が助けを求めてきた時、アッシュが下す決断とは――。
追放から始まる、爽快な逆転建国ファンタジー、ここに開幕!
【完結】異世界で魔道具チートでのんびり商売生活
シマセイ
ファンタジー
大学生・誠也は工事現場の穴に落ちて異世界へ。 物体に魔力を付与できるチートスキルを見つけ、 能力を隠しつつ魔道具を作って商業ギルドで商売開始。 のんびりスローライフを目指す毎日が幕を開ける!
ラストアタック!〜御者のオッサン、棚ぼたで最強になる〜
KeyBow
ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞奨励賞受賞
ディノッゾ、36歳。職業、馬車の御者。
諸国を旅するのを生き甲斐としながらも、その実態は、酒と女が好きで、いつかは楽して暮らしたいと願う、どこにでもいる平凡なオッサンだ。
そんな男が、ある日、傲慢なSランクパーティーが挑むドラゴンの討伐に、くじ引きによって理不尽な捨て駒として巻き込まれる。
捨て駒として先行させられたディノッゾの馬車。竜との遭遇地点として聞かされていた場所より、遥か手前でそれは起こった。天を覆う巨大な影―――ドラゴンの襲撃。馬車は木っ端微塵に砕け散り、ディノッゾは、同乗していたメイドの少女リリアと共に、死の淵へと叩き落された―――はずだった。
腕には、守るべきメイドの少女。
眼下には、Sランクパーティーさえも圧倒する、伝説のドラゴン。
―――それは、ただの不運な落下のはずだった。
崩れ落ちる崖から転落する際、杖代わりにしていただけの槍が、本当に、ただ偶然にも、ドラゴンのたった一つの弱点である『逆鱗』を貫いた。
その、あまりにも幸運な事故こそが、竜の命を絶つ『最後の一撃(ラストアタック)』となったことを、彼はまだ知らない。
死の淵から生還した彼が手に入れたのは、神の如き規格外の力と、彼を「師」と慕う、新たな仲間たちだった。
だが、その力の代償は、あまりにも大きい。
彼が何よりも愛していた“酒と女と気楽な旅”――
つまり平和で自堕落な生活そのものだった。
これは、英雄になるつもりのなかった「ただのオッサン」が、
守るべき者たちのため、そして亡き友との誓いのために、
いつしか、世界を救う伝説へと祭り上げられていく物語。
―――その勘違いと優しさが、やがて世界を揺るがす。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる