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悪魔な旦那様と暮らしてます。

その15 サマー・バケーション1★

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「師匠、お魚食べたいです」
「何を唐突に」
「だって、お魚食べたくて食べたくて」

 アチラに帰れずにもう4か月が経とうとしている。
 ホームシックって程じゃないけど、そろそろ食べ物が異常に恋しくなってきた。
 お米は竜王城のお陰で長米ながらも手に入るようになったけど、魚はもう本当に全く食べていないのだ。

 この辺境の地域は水源に乏しく、自然に流れる川の一つもない。
 ほとんどの家が井戸で水を賄っている。

 これは辺境だけじゃなくて、王都に行ってもお魚は元々食べる習慣がないのか見たことがない。
 竜王城が一体どんな地域にあるのかは未だに良く分からないけど、私が見た所は不毛の山脈とジャングルだけだった。

 肉ばっかだと飽きるんだよ。

「……なんでお前は魚の味なんて知ってるんだ?」

 あ、ヤバい。藪蛇だった。

「あ、え、えっと夢で見ました」
「おま、夢って……」
「あれは絶対正夢です。味がしっかりしてました」

 夢で見たのは本当。味がしたのも本当。

「ご飯と一緒に食べたらきっとすっごくおいしいと思いました」
「……お前の味覚はやたら良くて怖いほどだな。食ったこともないものまで食い合わせを当てるのか」

 変な方向で感心しているアーロンを揺さぶってお願いする。

「師匠、海、行きませんか?」
「何を好んでこの暑い時期に湿気っぽい海辺にでなきゃならないんだ」
「海でイチャイチャ楽しいと思いませんか?」
「…………」
「人気のないビーチならいっそ服着なくてもいいし……」
「……3日待て。」

 やった!
 アーロンに飛びついてキスしながら、私は内心ウキウキと魚料理に舌なめずりしていた。


「アエリア、場所が決まったぞ、30分で準備しろ。エリー、ブリジッタに頼んで簡単なピクニックパックを作ってもらってくれ。日中は全員連れて行くぞ」

 今日は授業もない休息日。朝からお城に行っていたアーロンが、帰ってくるなり宣言した。
 前もって3日って言ってたからある程度期待はしてたけど、ほんとに行けると思うと心が沸き立つ。

「アーロン様とアエリア様はお帰りにならないんですか?」
「俺たちは向こうに宿を取る。数日で戻るつもりだ」

 そう言いながらアーロンがエリーさんに耳打ちする。

「アーノルドも拾ってくるからエリーは残るか? アエリアの面倒を見てくれるなら歓迎するぞ」

 エリーさんがちょっと赤くなりながら頷いた。

「良し、残りのメンバーにも伝えてきてくれ」

 そう言って私に歩み寄ってくる。

「師匠、私何か特に持っていくものありますか?」
「エリーが準備するものだけで十分だ。ああ、ついでだから今回は精霊界を通っていくか」
「え? そんなこと出来るんですか?」
「俺とお前なら可能だな。残りの連中は先に送り届けて向こうの準備を先にしてもらおう」

 と言うことで結局私はまたも手ぶらでアーロンとお出かけになった。
 拾ってきたアーノルドさんと一緒に、スチュワードさん、エリーさん、マイアさん、そしてブリジッタさんがアーロンと一緒に先に消えた。
 皆を送り届け終わったアーロンが戻ってきて今度は私を抱き上げる。

「師匠、また何かやばい場所なんですか?」
「あ? 違う、一旦向こうに入ると水の上だからだ。お前、泳ぎっぱなしは嫌だろう?」
「え? でもそれだったら泳げる服装にすれば良かったですね」
「泳げる服装とはどんなのだ?」

 あ、しまった。水着はないよね、こっち。

「えっと、もう少し薄着にしておくとか……」

 そう言って自分の服装を見下ろせばすでにワンピース一枚だ。

「それは今から裸で行きたいってことか?」

 ニヤリと笑ったアーロンが私のワンピースの裾に手をかけてめくりだす。

「ち、違います! 何かもっと袖の短いシャツとか、短いパンツとかなら楽かなって思っただけです!」
「ああ、確かに平民の子供にはそんな格好をしてる者がいるな。だが幾ら平民でもそれは男子用じゃないのか?」
「そ、そうですけど。って師匠、裾戻してください。あ、後ろのリボンをほどいちゃ駄目!」
「ちょうどいいだろ、今日はここも誰もいないぞ。お前が初めてここに来た頃のようにな」

 ちょっと嬉しそうにアーロンがそう言って余計私の服を脱がしにかかる。
 そう言われれば私だってちょっと惹かれない訳じゃないけど、グズグズしてたらお昼に間に合わなくなるんじゃなかろうか?

「師匠、こんなことしてたら遅くなっちゃいます!」
「いや、移動なんか転移を使えばあっという間だ。精霊界を通ったって距離は関係なくなるから時間はかからない」

 グダグダ言いながらもすでにワンピースは脱がされて、私の身体を下着の上から撫で回してたアーロンがちょっと私の顔を見て意地悪に笑った。

「折角誰もいないんだから思いっきり声を出せよ」

 そう言って私を抱えたままなぜか階段を降りて応接室に入っていく。

「え? 師匠?」
「あの頃いつもお前を見ては自分を抑えるのに苦労してたんだ。一度くらいここでさせろ」

 そう言ったかと思えば、ソファーに私を落として自分の服をさっさと脱いでしまう。何も今更ここでしなくても、と思いつつも、ちょっとだけ私もあの頃を思い出してドキドキしてしまった。
 私がぼうっとあの頃のことを考えている間に、すっかり裸になったアーロンが、私を再度膝に抱えながら後から抱きしめてくる。アーロンの逞しい腕が絡みついてきて身体が跳ねた。

「あの時、お前は思いっきり俺に肘鉄食わせて逃げ出したんだよな」
「そ、そうでしたっけ?」

 あの時と同様、耳元で囁かれて、だけど今はそれだけで身体の中心が熱くなっちゃうのが分かる。
 それを隠しながらすっとぼける私を、あの時同様後ろから抱え込んだアーロンが、ゆるゆると私の胸をもみ始めた。切ない快感が広がるけど、いくら人がいないって思ってもこんな所じゃ恥ずかしくて声を出せない。
 この部屋はそうでなくても片側が大きなガラス張りの扉になってるから、外から射し込む光で何もかも丸見えなのだ。

「し、師匠、お願いですからベッドに行きましょう? ここ外から丸見えで恥ずかしい」
「見てるやつなんかいるわけないだろ」

 文句を言ってるのに、アーロンはまるっきり相手にせずに私の下着を剥ぎ取って首の付け根に後ろから歯を立て始める。残った首輪がアーロンの顔でずり上がって変な感じ。お尻の下にしっかりアーロンの熱く立ち上がった物を感じながら、ゾクゾクと快感が背中を駆け上がって来るんだけど、やっぱり扉の外が気になってしまって集中できない。

「お願い、ししょぉ……上いきたい……」

 私が荒い息遣いになりながらも、なんとなくアーロンの身体に隠れるように身体の位置をずらしたのを見て、アーロンが面白そうにクスクス笑って私を後から抱え上げた。
 へっと思う間もなく、そのまま私の身体を丸見えにして窓辺に歩いてく。

 なんで私が嫌だってことをこの人はしたがるんだ!?

「ほらみろ、誰もいないだろ。だから安心してそこによりかかれ」

 ひどい、アーロン私をガラス張りの扉の真ん前に下ろして立たせて、後ろから身体を押し付けてきた!

 窓ガラスのちょっと冷たい表面に乳房を押し付けられて跳ねる体を、アーロンの火照った身体が後から挟見込んで押し付けられる。挟み込まれて逃げ場を失った私の体をアーロンがゆっくりと弄りだした。窓に押し付けるように、私の胸を絞り出しながら自分の腰をゆるく押し付けてくる。

 こんな所でこんなことされてすごく恥ずかしいのに、変にいつもより頭に血が上ってくる。

「アーロン、やぁ、……ねぇ、ここ…やぁ」
「嘘つけ。身体の反応、抑えられなくなってるだろ」

 そ、その通りだけど……

 アーロンの手の動きに合わせて、自分の身体が窓ガラスの上を滑る。それがまた変に気持ちよくて……

「そのまま窓枠に手をつけ」
「え? んあっ!」

 いうか言わないかのうちにアーロンが私の中に挿ってきた。
 いつももっと色々いじり倒すのに、今日はやけに早急に私を求める。

「いつも、欲しかったんだ、アエリア。お前が、欲しかった」

 耳元で囁くアーロンの途切れ途切れの声が、私の身体の中心をを震わせて足ががくんと落ち込んだ。それを掬い上げるように、後からアーロンが腰を叩きつける。

「んぁぁ……!」

 声が出ないほどの快感が一気に頭の天辺まで突き抜けた。

「アエリア、ずっとお前が欲しかった。お前の身体に触りたくて、抱きたくて、挿れたくて」

 アーロンが一言ごとに下から突き上げる。
 その度にまるで快感に串刺しにされてるような錯覚を覚えた。

「やっとお前に受け入れられて、死ぬほど抱いて、それでも足りない、もっと欲しい、お前が、欲しい」
「んっ、んっ、ア、アーロン、あぁぁっ!」

 ひと突きごとに押しあげられて、身体が震え始める……

「くそ、まだ嫌だ、もっと、もっと奥まで、俺を入れ、ろ!」

 とうとうアーロンがメチャクチャに突きあげ始めた。私はもう、アーロンに奥を揺さぶられるままに身体を揺らし、アーロンの身体に半分吊り下げられるようにして奥の奥でアーロンを受け入れ続ける。
 快感が真っ白に頭の中を焼き尽くし、外を見てるのに何も見えてない。口は半開きのままでも息をしている気がしない。気は失ってないのに、なんか別の世界に入っちゃったみたい……

「アエリア、出すぞ」

 最後に奥の奥でアーロンの物が膨れ上がって、ジンっと中が熱くなって。

 あ、すごい、私気絶してない……
 
 そう思ったのが最後だった。

 ────!
 ───ア!
 ──リア!
「アエリア! いい加減起きてくれ!」

 アーロンの泣きそうな声がやっと遠くから聞こえてきた。

「ア……ロン?」

 ちゃんと開けてたのに全然見えてなかった私の目の焦点が合うと、目の前に半泣きの師匠が私を抱き抱えて見下ろしてた。
 いつの間にか、私はアーロンに抱えられてソファーに移ってたらしい。それに気づかなかったってのも凄いけど。
 気を失った覚えはない。ないのだが。私は目を向いたまま動かなくなっていたそうだ。

 そりゃそうだ。だって私、どっか行っちゃってたもん。

「全く、脅かすな!」
「脅かすなって、師匠がやり過ぎるからじゃないですか!」

 やっと少し落ち着いた私をその腕に抱えながら、アーロンが悪態をつくのを下から睨みあげて文句を言っとく。心配して出た言葉なのは分かってるけどね。

「悪かった、なんかここに来たらあの頃のことが色々蘇ってきて抑えきれなかった……」

 私の肩に額を押し付けてそんなこと言われちゃったらもう怒れないじゃないか!

 仕方ないので私もアーロンの肩に顔を埋めてみる。

「……心配したんですか?」
「当たり前だ。お前、目を見開いて口の端から涎たらして痙攣してたんだぞ!」
「ええええ!!??」

 うわ、それはかなり酷い!
 そんなのアーロンに見られるなんて幾ら何でも酷すぎる!
 恥ずかしくて今にも走って逃げ出そうと足掻く私をアーロンが容赦なく羽交い締めにする。

「グエッ! し、師匠! キツ過ぎ!」
「お前が悪い! 俺を心配させたくせに今逃げ出そうとしただろう?」
「そ、それは、そんな姿見られたのがいたたまれなくて……」
「バカ者。だからって逃げ出そうなんてするな」

 そう言いつつも少しだけ力を緩めてくれた。顔をあげて間近で私を覗き込んでくる。

「身体はもう大丈夫か? どっか痺れてたりしないか」

 そんな心配をするくらいならあそこまでしないで欲しい。すごく気持ち良かったけど、あれは行っちゃいけない場所だった気がする。なんかいっぱいお花が咲いてたし。

「も、もう平気ですからそろそろ行きましょう、お昼に遅れちゃう」

 現金な物で、身体が元通りになって来たら途端お腹が空いてきた。

 くぅ~っと小さく鳴った私のお腹の音を聞いたアーロンは呆れた顔で私を見返してから、ため息と共にがっくりと頭を垂れた。
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