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楽なこと

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「楽な方に逃げるな」

僕はある人にそう言われた。心に悲しさがあって、いきようのないもどかしさがあった。

だから、楽な方に考えるってどういう事か、考えてみたんだ。

人は自分が目に見えて、苦労を強いられていると、楽な人を見て、それをアイツは楽なことをしている。と考える。

しかし、その人は本当に楽なことをしているのだろうか?

相手が何をしているかどうかなんて分からない。身体中が傷だらけだったらどうだろう?目に見えないそれには、気付くことはないだろう。

そういう事を考えると、楽なことをしているのは、その人なんじゃないかって思うんだ。

二極で考えると、人を優しくすることと、人に意地悪をすること。

それはどっちの方が簡単なのだろうか?

多くの人は意地悪の方に逃げている。

悪口と褒め言葉、それだって、利益がなければ、人は相手を褒めたりしないだろう。

悪口の方が簡単に言えて、誰かを褒めたりするのは難しい。

多くの人は、他人の足を引っ張るように動く。

成功している人間に勝ちたいと思うなら、自分も成功者になるより、相手の足を引っ張る方がはやいと考えるだろう。

何かを悪く考える方が簡単なのだ。

人は、その悪い考えというものに逃げ込んで簡単な方へと進む。

だからといって、それが悪いものであるかも分からない。

多くの人の失敗があって、食べれるもの、危険を知ったり、色々なことが学べる。

その臆病さは必要であるのだ。

ただ、楽な方に考えると言ったあの人はどうだろうか?

置かれた状況を無視して、他人を責めて発散することで、楽になろうとしている。

きっと、何かものに当たれば、自分の溜まったそのストレスをないものと思っているのだ。

何かを一括りにして、それを悪いものと考える思想もそう。

S言葉とD言葉。

その中には、例外も含まれている。

それはS言葉は「しかし」、D言葉は「だからこそ」だ。

「しかし」については、相手のことや、自分のことなどを否定しているし、「だからこそ」については、肯定的な意味合いである。

これを無しにして、S言葉はいいもので、D言葉は悪いものだと何故言えるのだろうか?

何かに所属するものが、1人悪いことをすれば、全体の責任になるという思想もおかしさがある。

全ての人間に共通することではないからだ。人それぞれの考え方があり、1人に他の全ての人間がつまっているなんてことは有り得ない。

個々、それぞれ違う人間であることを忘れてはいけないと思うんだ。

そして、統計学というものがある。

僕はそれが嫌いだ。それを見れば多くのことが分かるという。しかし、多くの人が嘘をついたら、その統計は嘘になるだろう。

統計が、偏った場所でしか行われなければ、その統計は信用に値しない。

更には、ほぼ、必ずと言っていいほど、例外というものがある。

基本的には、その例外は、無しにされる。その例外をなしにして、何が正しいのだろうか?

さぁ、楽な方に逃げるなというのなら、絶対的なものだと信用されているものすらも、それは、楽な方でしかなく、人は楽ではない方へと考えようとすると、必ず、誰も頼らず生きていくことが必要となる。

それは不可能なことだ。

人間1人で、誰の力も借りず、何かを独力で出そうとしても、何もできない。

「楽な方に逃げるな」という考えを改めるべきだろう。

僕はそう思った。

しかし、ふと気付いた。自分もこれを考える事によって、楽な方へと逃げていることに。

彼がどういう心理で僕に対して、そう言ったのかは分からない。

だけど、それについて深く考えても仕方なかった。

社会は、いつも楽な方へと考えている。昔に比べれば、楽になったことなんて沢山ある。

だからこそ、僕は楽な方へと考えることを肯定しようと思う。

全てではなく、僕が寄り良いと思う、楽なものを。

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