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13 企んでないだろうな?
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俺は栄養ドリンクを箱買いするべくショップへと向かった……。
のだが。
「何でお前が居るんだよ」
それはこっちが言いたいセリフである。
ショップにて、何故かジャックと遭遇してしまった。
第一ショップではアラン王子が会いやすかったはずなのだが、ここまで当てが外れるとどうやら俺がゲームでやっていた時と確率が違うらしい。
まあぶっちゃけアラン王子とも会いたくはないが、前に好感度下げまくってしまった分を取り返したいと思っていたのだが。
よりによって特に好感度を上げる必要もない、ましてや俺の事を嫌いまくっていて攻略不可能なこいつにでくわすとは。
「ルナはいねーのか?」
「残念だけれど居ないわよ」
ジャックがチッと舌打ちする。
舌打ちしたいのはこっちだよ。
もうこいつはスルーして栄養ドリンク買ってさっさと帰ろ。
俺は一番量が多い24本入りの栄養ドリンクの箱を持つ。
「よいしょっと」
「お前、それ持って帰るのかよ?」
ジャックが物珍しそうに見てくる。
まあお嬢様が栄養ドリンク箱買いしてたら確かに物珍しいかもしれないが、これは俺にとって死活問題なのだ。
しかし、俺は箱を持ち上げてからとある事実に気付く。
筋力が、男の時より無い。
箱を持ってまだ数分なのに、もう腕がぷるぷるしてきた。
男の頃でも別に筋力があった方ではないが、ここまで貧弱ではなかったと思いたい。
すると、ジャックがヒョイと俺が持ってる箱を取り上げた。
「え? ちょっと、返してよ」
「うるせー、家が近いんだから、これくらい持ってやってもいいと思っただけだ!
勘違いすんな、お前の為じゃないからな!」
まさかこんなところでツンデレが発動するとは。
しかし俺は勘違いなどするつもりもない。
「ああ、確かにそれを運ぶ口実で家に来てルナに会おうって作戦ね!」
俺はすぐ様納得した。
「うっせぇ! 人の親切をなんだと思ってやがる!」
「でも素直に助かるわ、ありがとう」
「はぁ!? べ、別に礼を言われるまでもねーし!?」
何故だろう。
黒髪ツインテ美少女がツンデレだと萌えるのに、イケメンが言うと全く萌えない。
寧ろ軽く殺意が芽生える。
親切をなんだと思ってやがるなんて言うからこっちは素直に礼を言っただけなのにそれすら否定するとか何が正解なんだよ。
「ほら! とっとと帰るぞ!」
「まだ会計済ませてないんだけど」
「それを早く言え!」
こうして買い物を無事に終えて何故だかジャックと二人で帰る事になったのだが、正直気まずい。
何を話せばいいのか分からずお互い無言のまま無常にも時間だけが過ぎていく。
「……お前、ルナに何かしてねーだろーな?」
まだ訊いてくるのか、それ。
ライラの信用無さすぎるにも程があるだろ。
「何もしてないわよ。心配なら毎日家に来て見張ればいいんじゃない?」
「な、毎日なんて行ける訳ねーだろ馬鹿野郎」
「どうして? 幼馴染なら毎日来ても変ではないんじゃない?」
俺には幼馴染などいた事がないから分からないが、毎日来ても特におかしくないと思う。そんなラブコメを見た事もあるし。
「はぁ!? 用も無いのに毎日行ったらうざいだろ、流石に」
「そう? でもルナはそんな事思わないと思うけど」
俺としては絶対攻略不可能なお前とルナがくっついてくれるのが一番ありがたい。
なので不本意ながらにも全力で応援してやろう。
「そ、そりゃあ表向きにはルナがそんな事言わないのは分かってるけどよ……。
それに、最近ルナの周りに他の男がチラホラ居て、もしかしたらルナは他に誰か好きな人がいるかもって思うと、俺、邪魔したくないし……」
なんと、こんな時にツンデレ特有のたまに弱気になって意外な一面もあるんだアピールをされるとは。
いや、断じて俺にアピールはしていないだろうけど。
それに、ルナが一体誰を攻略しているのかいまいちまだ掴めてないんだよな……。
一度何処かで確認できたらいいのだが。
「分かった。それじゃあ私がさり気なくルナの気になっている人を訊きだしつつ、ジャックの事をアピールするわ」
「は!?」
ジャックは相当驚いたのか、眼を丸くして栄養ドリンクの入った箱を落としそうになる。
「危ないわね、そんなにびっくりすること?」
「いや、びっくりも何も、何でお前がそこまでするんだよ!?
また何か企んでるだろ!?」
どうやら俺の善意は全く信じて貰えていない様だ。まあそうだと思ったけど。
「何も企んでないわよ。まあ私の事なんて信用してないでしょうし、別にいらない応援ならやらないけど」
俺がそう言うと、ジャックは何だかまるで大人のマネをしようとコーヒー飲んだ後苦いのを必死に我慢してる子供の様な顔をしながら、悔しそうに呟く。
「……お前本当に何も企んでないだろうな?」
「だから企んでないって。
それに私としてはルナとジャックが付き合ってくれた方が良いと思ってるし」
「……それは何故?」
何故と訊かれても、お前を攻略出来る気がしないとは言えないし。
「それは……他の男達よりもジャックが一番ルナに似合う男だと思うから」
大分脚色しているが、おおむね合っているであろう言葉を投げかける。
すると、ジャックは少し顔を赤らめた。
似合うと言われたのが嬉しかったのだろう。
「そ、そうか? まあ、お前の事は信用も信頼もしていないけど、そこまで言われるなら、まあそうなんだろうな」
信用も信頼もしていない癖に、都合の良い所だけは信じるんだな。
そう言ってやりたい気持ちをグッと抑える。
そもそも人間みんなそうだ。
朝の星座占いで1位なら今日良いことあるかも? なんて思う反面、12位だった時はまあ占いなんて当たらないし、と思う様に、結局は都合良く信じたり信じなかったりする。
まあそれでもちょっと信じて貰えてるだけまだマシなのかもしれない。
マシになったのかもしれない所で俺のこいつに対する好感度なんぞ上がりはしないが。
こうして俺とジャックは屋敷に着いた。
「あら? ライラお姉様にジャック?
それにその栄養ドリンクは……?」
屋敷に着くと、すぐ様ルナが現れた。
こうもすぐ現れたのは、恐らく攻略対象のジャックが居るからであろう。
「あ、これは私が飲みたくなって買ったのよ」
このゲーム内に置いて栄養ドリンクは命の源だからな。
「それで、運ぶのをジャックが手伝ってくれたの」
ここですかさずジャックをヨイショしておく。
「ま、まあな! 偶然ショップで会って、帰り道が同じだから、持ってやっただけだからな!」
そう説明口調で言うと本当の事なのに嘘っぽく聞こえてしまうのだが。
「へぇ、そうなのね。
2人とも、前より仲良くなったの?」
おっと、これはまずいぞ。
俺の事を手伝って男前なところをアピールする筈が、逆にこちらの仲の良さ(仲良くない)を勘ぐられてしまった。
「え? いや、そこまでは」
「はぁ!?
俺がこいつと仲良くなんて別に……あ」
俺がやんわりと否定しようとしたらセリフを被せて全力でジャックが否定してきた。
いきなりジャックが大声を出したのでルナがびっくりしている。
「あ、すまねぇ、驚かせるつもりじゃなくて、俺は、その……」
「あ、こっちこそ変な事訊いてごめんね?
ただ、2人とも何だか仲が悪く見えていたから、仲良くなったら嬉しいなと思っただけで」
成る程、つまり私達の仲の悪さを心配していたという訳か。ルナってつくづく優しいんだなと感心する。
「ああ、なんだ、そんな事か。
まあ仲悪くまではねーよ、な!」
ジャックは笑顔でこちらに振ってきた。
笑顔なのに、否定したら殺されそうなくらい殺気に満ちていた。
「え? ああ、そうね」
仕方なく俺も同意する。
「そうなのね! 良かったわ」
ルナはニコリと微笑んだ。
相変わらず可愛いなおい。
それと横でジャックがものくそ照れてる。
お前は特に可愛くないなおい。
こうして3人で他愛もない会話をしてから、しばらくしてジャックは帰っていった。
俺は買った栄養ドリンクを部屋に持って行こうとしたところを、ルナに話しかけられた。
「あの、ライラお姉様」
「ん? 何かしら?」
ルナはおずおずと喋り出す。
「その、何だか最近のライラお姉様、変わられましたね?」
ルナもどうやらライラの変化に驚いている様だ。
それもそうだろう。何せ1番ライラの被害に遭っていたのは、紛れもないルナなのだから。
だから、俺はルナの事を絶対に虐めないと心に決めているのだ。
「そうかもしれないわね。
どうかした?」
俺は軽く返事をする。
「あ、いえ。その……。
やっぱり何でもないです。失礼します」
それだけ言い残してルナは去って行った。
「? 何だったんだ?」
何かを言いたげだったのだが、何だったのだろうか?
まさか、あのメイドに何かされて相談をしようとしていたとか!?
「あり得るかもな、よし! メイに少し状況を聞いてみよう」
そして俺は栄養ドリンクを担ぎながら自室へと向かった。
のだが。
「何でお前が居るんだよ」
それはこっちが言いたいセリフである。
ショップにて、何故かジャックと遭遇してしまった。
第一ショップではアラン王子が会いやすかったはずなのだが、ここまで当てが外れるとどうやら俺がゲームでやっていた時と確率が違うらしい。
まあぶっちゃけアラン王子とも会いたくはないが、前に好感度下げまくってしまった分を取り返したいと思っていたのだが。
よりによって特に好感度を上げる必要もない、ましてや俺の事を嫌いまくっていて攻略不可能なこいつにでくわすとは。
「ルナはいねーのか?」
「残念だけれど居ないわよ」
ジャックがチッと舌打ちする。
舌打ちしたいのはこっちだよ。
もうこいつはスルーして栄養ドリンク買ってさっさと帰ろ。
俺は一番量が多い24本入りの栄養ドリンクの箱を持つ。
「よいしょっと」
「お前、それ持って帰るのかよ?」
ジャックが物珍しそうに見てくる。
まあお嬢様が栄養ドリンク箱買いしてたら確かに物珍しいかもしれないが、これは俺にとって死活問題なのだ。
しかし、俺は箱を持ち上げてからとある事実に気付く。
筋力が、男の時より無い。
箱を持ってまだ数分なのに、もう腕がぷるぷるしてきた。
男の頃でも別に筋力があった方ではないが、ここまで貧弱ではなかったと思いたい。
すると、ジャックがヒョイと俺が持ってる箱を取り上げた。
「え? ちょっと、返してよ」
「うるせー、家が近いんだから、これくらい持ってやってもいいと思っただけだ!
勘違いすんな、お前の為じゃないからな!」
まさかこんなところでツンデレが発動するとは。
しかし俺は勘違いなどするつもりもない。
「ああ、確かにそれを運ぶ口実で家に来てルナに会おうって作戦ね!」
俺はすぐ様納得した。
「うっせぇ! 人の親切をなんだと思ってやがる!」
「でも素直に助かるわ、ありがとう」
「はぁ!? べ、別に礼を言われるまでもねーし!?」
何故だろう。
黒髪ツインテ美少女がツンデレだと萌えるのに、イケメンが言うと全く萌えない。
寧ろ軽く殺意が芽生える。
親切をなんだと思ってやがるなんて言うからこっちは素直に礼を言っただけなのにそれすら否定するとか何が正解なんだよ。
「ほら! とっとと帰るぞ!」
「まだ会計済ませてないんだけど」
「それを早く言え!」
こうして買い物を無事に終えて何故だかジャックと二人で帰る事になったのだが、正直気まずい。
何を話せばいいのか分からずお互い無言のまま無常にも時間だけが過ぎていく。
「……お前、ルナに何かしてねーだろーな?」
まだ訊いてくるのか、それ。
ライラの信用無さすぎるにも程があるだろ。
「何もしてないわよ。心配なら毎日家に来て見張ればいいんじゃない?」
「な、毎日なんて行ける訳ねーだろ馬鹿野郎」
「どうして? 幼馴染なら毎日来ても変ではないんじゃない?」
俺には幼馴染などいた事がないから分からないが、毎日来ても特におかしくないと思う。そんなラブコメを見た事もあるし。
「はぁ!? 用も無いのに毎日行ったらうざいだろ、流石に」
「そう? でもルナはそんな事思わないと思うけど」
俺としては絶対攻略不可能なお前とルナがくっついてくれるのが一番ありがたい。
なので不本意ながらにも全力で応援してやろう。
「そ、そりゃあ表向きにはルナがそんな事言わないのは分かってるけどよ……。
それに、最近ルナの周りに他の男がチラホラ居て、もしかしたらルナは他に誰か好きな人がいるかもって思うと、俺、邪魔したくないし……」
なんと、こんな時にツンデレ特有のたまに弱気になって意外な一面もあるんだアピールをされるとは。
いや、断じて俺にアピールはしていないだろうけど。
それに、ルナが一体誰を攻略しているのかいまいちまだ掴めてないんだよな……。
一度何処かで確認できたらいいのだが。
「分かった。それじゃあ私がさり気なくルナの気になっている人を訊きだしつつ、ジャックの事をアピールするわ」
「は!?」
ジャックは相当驚いたのか、眼を丸くして栄養ドリンクの入った箱を落としそうになる。
「危ないわね、そんなにびっくりすること?」
「いや、びっくりも何も、何でお前がそこまでするんだよ!?
また何か企んでるだろ!?」
どうやら俺の善意は全く信じて貰えていない様だ。まあそうだと思ったけど。
「何も企んでないわよ。まあ私の事なんて信用してないでしょうし、別にいらない応援ならやらないけど」
俺がそう言うと、ジャックは何だかまるで大人のマネをしようとコーヒー飲んだ後苦いのを必死に我慢してる子供の様な顔をしながら、悔しそうに呟く。
「……お前本当に何も企んでないだろうな?」
「だから企んでないって。
それに私としてはルナとジャックが付き合ってくれた方が良いと思ってるし」
「……それは何故?」
何故と訊かれても、お前を攻略出来る気がしないとは言えないし。
「それは……他の男達よりもジャックが一番ルナに似合う男だと思うから」
大分脚色しているが、おおむね合っているであろう言葉を投げかける。
すると、ジャックは少し顔を赤らめた。
似合うと言われたのが嬉しかったのだろう。
「そ、そうか? まあ、お前の事は信用も信頼もしていないけど、そこまで言われるなら、まあそうなんだろうな」
信用も信頼もしていない癖に、都合の良い所だけは信じるんだな。
そう言ってやりたい気持ちをグッと抑える。
そもそも人間みんなそうだ。
朝の星座占いで1位なら今日良いことあるかも? なんて思う反面、12位だった時はまあ占いなんて当たらないし、と思う様に、結局は都合良く信じたり信じなかったりする。
まあそれでもちょっと信じて貰えてるだけまだマシなのかもしれない。
マシになったのかもしれない所で俺のこいつに対する好感度なんぞ上がりはしないが。
こうして俺とジャックは屋敷に着いた。
「あら? ライラお姉様にジャック?
それにその栄養ドリンクは……?」
屋敷に着くと、すぐ様ルナが現れた。
こうもすぐ現れたのは、恐らく攻略対象のジャックが居るからであろう。
「あ、これは私が飲みたくなって買ったのよ」
このゲーム内に置いて栄養ドリンクは命の源だからな。
「それで、運ぶのをジャックが手伝ってくれたの」
ここですかさずジャックをヨイショしておく。
「ま、まあな! 偶然ショップで会って、帰り道が同じだから、持ってやっただけだからな!」
そう説明口調で言うと本当の事なのに嘘っぽく聞こえてしまうのだが。
「へぇ、そうなのね。
2人とも、前より仲良くなったの?」
おっと、これはまずいぞ。
俺の事を手伝って男前なところをアピールする筈が、逆にこちらの仲の良さ(仲良くない)を勘ぐられてしまった。
「え? いや、そこまでは」
「はぁ!?
俺がこいつと仲良くなんて別に……あ」
俺がやんわりと否定しようとしたらセリフを被せて全力でジャックが否定してきた。
いきなりジャックが大声を出したのでルナがびっくりしている。
「あ、すまねぇ、驚かせるつもりじゃなくて、俺は、その……」
「あ、こっちこそ変な事訊いてごめんね?
ただ、2人とも何だか仲が悪く見えていたから、仲良くなったら嬉しいなと思っただけで」
成る程、つまり私達の仲の悪さを心配していたという訳か。ルナってつくづく優しいんだなと感心する。
「ああ、なんだ、そんな事か。
まあ仲悪くまではねーよ、な!」
ジャックは笑顔でこちらに振ってきた。
笑顔なのに、否定したら殺されそうなくらい殺気に満ちていた。
「え? ああ、そうね」
仕方なく俺も同意する。
「そうなのね! 良かったわ」
ルナはニコリと微笑んだ。
相変わらず可愛いなおい。
それと横でジャックがものくそ照れてる。
お前は特に可愛くないなおい。
こうして3人で他愛もない会話をしてから、しばらくしてジャックは帰っていった。
俺は買った栄養ドリンクを部屋に持って行こうとしたところを、ルナに話しかけられた。
「あの、ライラお姉様」
「ん? 何かしら?」
ルナはおずおずと喋り出す。
「その、何だか最近のライラお姉様、変わられましたね?」
ルナもどうやらライラの変化に驚いている様だ。
それもそうだろう。何せ1番ライラの被害に遭っていたのは、紛れもないルナなのだから。
だから、俺はルナの事を絶対に虐めないと心に決めているのだ。
「そうかもしれないわね。
どうかした?」
俺は軽く返事をする。
「あ、いえ。その……。
やっぱり何でもないです。失礼します」
それだけ言い残してルナは去って行った。
「? 何だったんだ?」
何かを言いたげだったのだが、何だったのだろうか?
まさか、あのメイドに何かされて相談をしようとしていたとか!?
「あり得るかもな、よし! メイに少し状況を聞いてみよう」
そして俺は栄養ドリンクを担ぎながら自室へと向かった。
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