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 ヤバい。さすがに初日でこれはダメだろ。
 
 冷静にそう思える自分を褒めてやりたい蓮を知ってか知らずか、紬は更に煽ってくる。
 ズボンの上から昂りに触れられて意図せず声が漏れた。
 
「うあっ……。ちょ、やめろって。俺、今めっちゃ我慢してんだけど」
「我慢しなくていいのに……、しよ?」
「お前な……。いくらなんでも……。それに、準備とか……ないし」
 
 経験はないけど、それでもセックスのリスクくらい当たり前に知ってる。
 無責任に手を出したくはない。めちゃくちゃしたいけども。
 それとこれとは別だと思えるくらいには、蓮は真面目だ。

 なのに紬はショートパンツのポケットから四角いビニールの薄いパッケージを取り出した。
 その独特のフォルムが何を示すのか知らないわけがない。蓮は思わず眉を顰める。
 
「蓮くん、真面目に考えてくれてるの嬉しいな……。準備ってこれ?」
「……そうだけど。いつも持ち歩いてんの?」

 嫌な疑惑に声が乾いた。固い蓮の声に紬は慌てて首を振る。

「ち、違うよ! 初めてだし! あの、今日ね……、実は、蓮くんのこと襲っちゃおうと思って……」

 語尾は小さく消えていってしまったが、それでも最後まで聞き取れるほどの近い距離だ。
 もじもじ目を逸らした紬は何度かきょろきょろ視線を動かし、再び蓮を伺うように見つめてくる。
 
「襲う? なんだそれ……」
「だって! 蓮くん、高校に入ってから背も伸びたし! どんどん格好よくなっていくんだもん! だから早く私のものにしなくっちゃって……」
「ぶっ飛びすぎだろ」
 
 紬は昔から思い込みが激しい。それは知っているけど、まずは告白からはじめるのが常識なのでは。

 呆れる蓮だが、それでもそんな紬を可愛いと思ってしまうくらいには重症だったりする。
 きっと夏の暑さにやられているんだ。
 蓮は自分にそんな言い訳をした。部屋の中は涼しく快適だけど。
 
「でも、いいよ。なってやるよ。だから紬も俺のになって」
「ん……」

 返事を言うために開いたくちびるをすかさず塞ぐ。さっきよりも粘膜の触れ合う面積が大きい。
 試しに舌を少しだけ差し込んでみたら、びくりと震える紬の舌と触れ合った。

 ザラつく感触も、くすぐったい刺激も、なにより紬の甘い声が最高に興奮を煽ってくる。
 長い間一緒にいるのに、彼女のこんな声を聞くのは初めてだ。
 顔を離せば、頬を紅潮させてうっとりした紬と視線が絡む。

 いつもより赤いくちびるが濡れている。染まる頬を撫でたら、そっと白い手が重ねられた。
 
「れん……」
「なに?」
「キス……きもち、いいね」
「うん……」

 ふにゃりとした笑顔は無防備で、無性に甘酸っぱい愛しさが溢れてくる。
 どう言えばいいのかわからない感情を紛らわすように抱きしめたら、思っていたよりずっと力が入ってしまったらしい。

 少し苦しそうな声に力を緩めるけど、それでも顔を上げられないまま蓮はボリュームのある胸に顔を埋めた。
 
 柔らかな感触と甘い紬の匂いは考える力を奪ってしまう。服の上から触っただけで細い首をのけ反らせるから、無防備な喉をべろりと舐めてみる。
 
「うひゃあっ!」
「変な声」
「うっ……。そんなこと言われても……」
「嘘、可愛い」

 布を隔てた感触がもどかしく、Tシャツの裾をめくり上げると紬は少し慌て出した。
 えっ、とか、わっ、とかあたふたする声は気にせず、蓮は抱きしめるように背中のホックへ手を伸ばす。

 薄いピンクのブラは紬によく似合ってるし、すごく「良い」と思う。
 だけど今それを堪能している余裕はない。
 それに初めて触る金具は思っていたより難解だ。
 
「これ、どうやって外すの?」
「あ、えっとね……」

 後ろに回した手で金具を外した紬は一瞬躊躇してからするりとブラを外す。
 想像よりずっと質量があって、しかもやわらかそうな乳房を思わず凝視してしまう。
 隠すように覆う片手を外せば白い肌に淡く色づいた乳首がツンとして、そっと包み込んだ手のひらに肌が吸い付くようだった。
 しかも思っていたより、もっとやわらかい。
 手に余るふくらみに指を沈ませ、蓮は初めての弾力を楽しむ。緩く揉みしだくだけで形を変える乳房は動画や画像で見たものより、ずっと綺麗だと思った。

「すげ……。めっちゃ柔らかい」
「ん……っ、蓮くん、おっぱい好きなの?」
「うん、好き」

 躊躇なく答えた蓮は、かぷりと頂を咥えて、ねっとりと舐める。早急さにびくりと快感とは違う震えを見せた紬だったが、緩く吸い付いたら催促するような甘い声を出した。
 与えられる快感から逃れるように頭を抱きしめてくる紬は、余計に密着することに気づいていないのだろうか。
 ふいに悪戯心がわいた蓮は白い肌にキツく吸いつく。そしたら赤い痕が残ったから、いくつか散らばせてみた。
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