20 / 87
第二章 自重を知らない回り
巻き起こる暗雲
しおりを挟む
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
バンテリン親子の一騎打ちは壮絶を極め、血や汗が飛び肉を打つ音が大講堂に響く。
180cmを超える二人の殴り合いは迫力があり、際兵達はただ見ているしか出来なかった。
”重い、親父の拳がこんなに重いとは・・・”ジャマーは骨の芯にまで響く拳の重さに驚くと共に徐々に奪われて行く体力に焦りを覚えていた。
「ふん!軽い拳じゃな」
「年寄りは大人しく隠居でもしてやがれ!!」
ジャマーが右フックを放つと、バンテリンが受け流しその勢いのままボディーブロウーをキッチリ当ててくる。
さらに追撃を放つバンテリンに、ジャマーが隙を縫って蹴りをいれ距離を取る。
激しい応酬の中、確実にジャマーが押され始めていた。
「俺は際兵の長だ!負けるわけにはいかん」
「ぬるいのう、貴様の拳には護るものが見えぬ!!欲だけのぬるい拳じゃ!」
数分、いや数十分にも及ぶ激しい応酬の中、ついに決着の時が訪れる。
一瞬膝の力が抜けバランスを崩したジャマーのコメカミに、バンテリンの拳がヒットした。
白目をむいて仰向けに倒れるとそこでバンテリンの勝ちが決まり、老際兵達が勝ち鬨を上げる。
バンテリンはまだ熱が残る左拳を振ると。
「人を護ろうとした時こそ、際兵は力が出せるのじゃ」
歓声の中バンテリンの呟きは消えて行き、リーダーを失った際兵は老際兵達に捕縛されていった。
「間に合わなかったっすか」
その声の主に老際兵達は槍を向け牽制する。
「わわ、おいらは国王陛下の使者っす、ほ、ほらこれ」
蝋印で封をされた手紙を差し出し、一人の老際兵が受け取り中を確認する手を挙げ槍を下ろすように指示を出した。
「これには、王都内での争いは禁止であり、騒ぎを起こしたジャマー達の捕縛を我らに任せるとあるが」
「そうなんすよ、でも終っちゃってるっすし無駄になったっすけどね、あ一応勅命なんで王城の牢屋に連れて行ってほしいっす」
「勅命を一応などと・・・」
トッポは頬をポリポリと人差し指で掻くと「ははは」と笑い、ボロボロになっているバンテリンを見つけると、近づいて行き隣に腰を下ろした。
「そうそう、今回の首謀者財務枢機卿はすでに捕縛済みっす」
「なんじゃ?国王も影で動いておったのか?」
「ははは、あの人意外と耳が良いみたいっす」
「で、馬鹿息子共はどうなるんじゃ」
「そうっすね、財務枢機卿は悪質っすから、どうなるかはハインツしだいっすね。
息子さんは多分再教育をお願いすると思うっすよ。
ま、おいらが決めることじゃ無いっすから、予想っすけど」
バンテリンは小さくため息をつくと、後ろに手を付いて空を見上げると、
「わしもまだまだ休めぬか」
「そうっすね、こんだけ戦えるなら引退はまだ先っすね」
聖ガラパコス教の変革はここから始まって行くのだった。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
王国の西エイムラム帝国
「・・・以上の状況を見るにS級以上のモンスターの脅威は去ったと思われます」
「そうか・・・ついに王国に派兵するとするか」
7龍教を主体とするドラゴンと名がつく物は全て帝国の物であると主張する、隣国においてかなり異常な思想を持つ国であり、侵略の理由にドラゴンのドが付いていたと言う理由をのたまう、国の広さだけでは世界一の国である。
しかしながら、各国の鼻つまみ者であり国力は目に見えて衰退、逆転の一手としてドラゴニックメタルの産出地、龍天山を手に入れようと兵を派遣しようにもS級以上のモンスターを刺激することも恐れていたが、ついにS級以上が居なくなったのを確認し派兵する事を決めたのだった。
「ふふふ、ドラゴニックメタルを手に入れればこの国は発展できる」
「そうですな、豊富なドラゴニックメタルの武具を持って他国も支配に置ければ、我が国は世界一になりましょう」
大臣の言葉に帝王は鷹揚にうなずくと、ニヤニヤと笑い琥珀色の酒を傾けた。
この帝王、かつてはエイムラムの熊と呼ばれた獰猛な将軍であった。
父である先帝が崩御したのを期に瞬く間に兄弟を殺し帝王の座に着いた。
その後自分の言うことを聞かない貴族達も責め滅ぼし、人質として各貴族から姫を娶りと自分の体制を磐石にして各国に戦を仕掛け、国力を減らしていっていた。
今の宰相がそばに付き、戦を諌め国力を蓄えること10年、熊帝は我慢の限界だった。
今回の出兵も宰相が視察に出ている隙に決めたのだが、自分の勝利を疑わない帝王は愚かな夢を見ていた。
その夢が叶う事は無いのだが、神ならぬ人の身には判らぬことであった。
後にドラゴニア興国記に出てくる最初の戦争の始まりであった。
そんなことも知らずにブラウンは異種格闘技戦を楽しみにノンビリと釣りをしているのであった。
バンテリン親子の一騎打ちは壮絶を極め、血や汗が飛び肉を打つ音が大講堂に響く。
180cmを超える二人の殴り合いは迫力があり、際兵達はただ見ているしか出来なかった。
”重い、親父の拳がこんなに重いとは・・・”ジャマーは骨の芯にまで響く拳の重さに驚くと共に徐々に奪われて行く体力に焦りを覚えていた。
「ふん!軽い拳じゃな」
「年寄りは大人しく隠居でもしてやがれ!!」
ジャマーが右フックを放つと、バンテリンが受け流しその勢いのままボディーブロウーをキッチリ当ててくる。
さらに追撃を放つバンテリンに、ジャマーが隙を縫って蹴りをいれ距離を取る。
激しい応酬の中、確実にジャマーが押され始めていた。
「俺は際兵の長だ!負けるわけにはいかん」
「ぬるいのう、貴様の拳には護るものが見えぬ!!欲だけのぬるい拳じゃ!」
数分、いや数十分にも及ぶ激しい応酬の中、ついに決着の時が訪れる。
一瞬膝の力が抜けバランスを崩したジャマーのコメカミに、バンテリンの拳がヒットした。
白目をむいて仰向けに倒れるとそこでバンテリンの勝ちが決まり、老際兵達が勝ち鬨を上げる。
バンテリンはまだ熱が残る左拳を振ると。
「人を護ろうとした時こそ、際兵は力が出せるのじゃ」
歓声の中バンテリンの呟きは消えて行き、リーダーを失った際兵は老際兵達に捕縛されていった。
「間に合わなかったっすか」
その声の主に老際兵達は槍を向け牽制する。
「わわ、おいらは国王陛下の使者っす、ほ、ほらこれ」
蝋印で封をされた手紙を差し出し、一人の老際兵が受け取り中を確認する手を挙げ槍を下ろすように指示を出した。
「これには、王都内での争いは禁止であり、騒ぎを起こしたジャマー達の捕縛を我らに任せるとあるが」
「そうなんすよ、でも終っちゃってるっすし無駄になったっすけどね、あ一応勅命なんで王城の牢屋に連れて行ってほしいっす」
「勅命を一応などと・・・」
トッポは頬をポリポリと人差し指で掻くと「ははは」と笑い、ボロボロになっているバンテリンを見つけると、近づいて行き隣に腰を下ろした。
「そうそう、今回の首謀者財務枢機卿はすでに捕縛済みっす」
「なんじゃ?国王も影で動いておったのか?」
「ははは、あの人意外と耳が良いみたいっす」
「で、馬鹿息子共はどうなるんじゃ」
「そうっすね、財務枢機卿は悪質っすから、どうなるかはハインツしだいっすね。
息子さんは多分再教育をお願いすると思うっすよ。
ま、おいらが決めることじゃ無いっすから、予想っすけど」
バンテリンは小さくため息をつくと、後ろに手を付いて空を見上げると、
「わしもまだまだ休めぬか」
「そうっすね、こんだけ戦えるなら引退はまだ先っすね」
聖ガラパコス教の変革はここから始まって行くのだった。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
王国の西エイムラム帝国
「・・・以上の状況を見るにS級以上のモンスターの脅威は去ったと思われます」
「そうか・・・ついに王国に派兵するとするか」
7龍教を主体とするドラゴンと名がつく物は全て帝国の物であると主張する、隣国においてかなり異常な思想を持つ国であり、侵略の理由にドラゴンのドが付いていたと言う理由をのたまう、国の広さだけでは世界一の国である。
しかしながら、各国の鼻つまみ者であり国力は目に見えて衰退、逆転の一手としてドラゴニックメタルの産出地、龍天山を手に入れようと兵を派遣しようにもS級以上のモンスターを刺激することも恐れていたが、ついにS級以上が居なくなったのを確認し派兵する事を決めたのだった。
「ふふふ、ドラゴニックメタルを手に入れればこの国は発展できる」
「そうですな、豊富なドラゴニックメタルの武具を持って他国も支配に置ければ、我が国は世界一になりましょう」
大臣の言葉に帝王は鷹揚にうなずくと、ニヤニヤと笑い琥珀色の酒を傾けた。
この帝王、かつてはエイムラムの熊と呼ばれた獰猛な将軍であった。
父である先帝が崩御したのを期に瞬く間に兄弟を殺し帝王の座に着いた。
その後自分の言うことを聞かない貴族達も責め滅ぼし、人質として各貴族から姫を娶りと自分の体制を磐石にして各国に戦を仕掛け、国力を減らしていっていた。
今の宰相がそばに付き、戦を諌め国力を蓄えること10年、熊帝は我慢の限界だった。
今回の出兵も宰相が視察に出ている隙に決めたのだが、自分の勝利を疑わない帝王は愚かな夢を見ていた。
その夢が叶う事は無いのだが、神ならぬ人の身には判らぬことであった。
後にドラゴニア興国記に出てくる最初の戦争の始まりであった。
そんなことも知らずにブラウンは異種格闘技戦を楽しみにノンビリと釣りをしているのであった。
37
あなたにおすすめの小説
慈愛と復讐の間
レクフル
ファンタジー
とある国に二人の赤子が生まれた。
一人は慈愛の女神の生まれ変わりとされ、一人は復讐の女神の生まれ変わりとされた。
慈愛の女神の生まれ変わりがこの世に生を得た時、必ず復讐の女神の生まれ変わりは生を得る。この二人は対となっているが、決して相容れるものではない。
これは古より語り継がれている伝承であり、慈愛の女神の加護を得た者は絶大なる力を手にするのだと言う。
だが慈愛の女神の生まれ変わりとして生を亨けた娘が、別の赤子と取り換えられてしまった。
大切に育てられる筈の慈愛の女神の生まれ変わりの娘は、母親から虐げられながらも懸命に生きようとしていた。
そんな中、森で出会った迷い人の王子と娘は、互いにそれと知らずに想い合い、数奇な運命を歩んで行くこととなる。
そして、変わりに育てられた赤子は大切に育てられていたが、その暴虐ぶりは日をまして酷くなっていく。
慈愛に満ちた娘と復讐に駆られた娘に翻弄されながら、王子はあの日出会った想い人を探し続ける。
想い合う二人の運命は絡み合うことができるのか。その存在に気づくことができるのか……
私の生前がだいぶ不幸でカミサマにそれを話したら、何故かそれが役に立ったらしい
あとさん♪
ファンタジー
その瞬間を、何故かよく覚えている。
誰かに押されて、誰?と思って振り向いた。私の背を押したのはクラスメイトだった。私の背を押したままの、手を突き出した恰好で嘲笑っていた。
それが私の最後の記憶。
※わかっている、これはご都合主義!
※設定はゆるんゆるん
※実在しない
※全五話
巻き込まれ召喚・途中下車~幼女神の加護でチート?
サクラ近衛将監
ファンタジー
商社勤務の社会人一年生リューマが、偶然、勇者候補のヤンキーな連中の近くに居たことから、一緒に巻き込まれて異世界へ強制的に召喚された。万が一そのまま召喚されれば勇者候補ではないために何の力も与えられず悲惨な結末を迎える恐れが多分にあったのだが、その召喚に気づいた被召喚側世界(地球)の神様と召喚側世界(異世界)の神様である幼女神のお陰で助けられて、一旦狭間の世界に留め置かれ、改めて幼女神の加護等を貰ってから、異世界ではあるものの召喚場所とは異なる場所に無事に転移を果たすことができた。リューマは、幼女神の加護と付与された能力のおかげでチートな成長が促され、紆余曲折はありながらも異世界生活を満喫するために生きて行くことになる。
*この作品は「カクヨム」様にも投稿しています。
**週1(土曜日午後9時)の投稿を予定しています。**
逆行転生って胎児から!?
章槻雅希
ファンタジー
冤罪によって処刑されたログス公爵令嬢シャンセ。母の命と引き換えに生まれた彼女は冷遇され、その膨大な魔力を国のために有効に利用する目的で王太子の婚約者として王家に縛られていた。家族に冷遇され王家に酷使された彼女は言われるままに動くマリオネットと化していた。
そんな彼女を疎んだ王太子による冤罪で彼女は処刑されたのだが、気づけば時を遡っていた。
そう、胎児にまで。
別の連載ものを書いてる最中にふと思いついて書いた1時間クオリティ。
長編予定にしていたけど、プロローグ的な部分を書いているつもりで、これだけでも短編として成り立つかなと、一先ずショートショートで投稿。長編化するなら、後半の国王・王妃とのあれこれは無くなる予定。
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。
強制力がなくなった世界に残されたものは
りりん
ファンタジー
一人の令嬢が処刑によってこの世を去った
令嬢を虐げていた者達、処刑に狂喜乱舞した者達、そして最愛の娘であったはずの令嬢を冷たく切り捨てた家族達
世界の強制力が解けたその瞬間、その世界はどうなるのか
その世界を狂わせたものは
処刑された王女、時間を巻き戻して復讐を誓う
yukataka
ファンタジー
断頭台で首を刎ねられた王女セリーヌは、女神の加護により処刑の一年前へと時間を巻き戻された。信じていた者たちに裏切られ、民衆に石を投げられた記憶を胸に、彼女は証拠を集め、法を武器に、陰謀の網を逆手に取る。復讐か、赦しか——その選択が、リオネール王国の未来を決める。
これは、王弟の陰謀で処刑された王女が、一年前へと時間を巻き戻され、証拠と同盟と知略で玉座と尊厳を奪還する復讐と再生の物語です。彼女は二度と誰も失わないために、正義を手続きとして示し、赦すか裁くかの決断を自らの手で下します。舞台は剣と魔法の王国リオネール。法と証拠、裁判と契約が逆転の核となり、感情と理性の葛藤を経て、王女は新たな国の夜明けへと歩を進めます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる