別れ道のツバサ

鏡恭二

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空っぽなツバサ

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 宗助「今日は、1限目からかぁ。」
 そんなこと呟いている時計はもう10時、
学校も目の前だというのに、堂々と遅刻していく。
  連日の酒による二日酔い、一人暮らしの寂しさ、青森という利便性のよくない陸の孤島みたいなところに取り残された閉塞感により、彼の中の時間感覚、倫理観も、自分の中の軸何もかもが壊れていた。
 顔の見慣れた同じ学部生の近くに座る。
「おい。お前。あのかわいい娘と車でドライブいったんだって」「えー。お前が?やっぱり青森だと、やることないからみさかいないなぁー」「で?どこまで、行ったんですか?」「スタイルもいいしなぁー」
続けられる下世話な会話に乗る宗助。
「(自主規制)」彼だけ一つ飛び抜けていた。
それを面白がり、持ち上げる周囲。
日本の大学生の現実だ。
これが、授業中に行われていた。
 教授「えー。日本の医療は、まず診断の前に評価が必要で・・・」
 宗助たちも、流石にやばいので教授の話に耳を傾けた。だが、内容がさっぱり理解できないので、意識が遠のいていて、気づけば机に突っ伏して眠っていた。
 授業が終わり、同じダンスサークルの優子、雄二、悟、で歩いて話していた。
 優子「近所の町内のお祭りでイベントがあったから、今日は練習しようか。」
 優子は雄二に話しかけた。その話しかけている顔のほおが赤く染まっていた。
 雄二「ああ。お前も今日も来るよな。学生ホールでみんなでやろうか。」
 宗助「ああ。やろうやろう。」
みんなで、学生ホールに向かう。

 優子「雄二、こんな感じかな?」
 雄二「ここは、もっと足を下げて、手は派手にあげたほうがいいんじゃない?」

 お互いに、目を輝かせながら、会話をする雄二と優子。側から見ても漏れ出てしまっている。
 悟「ああ。あの2人、付き合い始めたんだってよ。・・・」
ああ。そういうことか、と宗助も納得した。
 悟「俺らも、練習しようか。」
宗助は、振り付けの練習を始めた。
練習が終わって、雄二に話しかけられた。
雄二「今日、俺の家で鍋パーティーやるんだけど来ない?優子も来るんだけど・・・」
 宗助は家に帰っても、スマホで動画を見るか、ゲームしかやることがない、優子が来るなら女の子を紹介してくれるかもというしょうもない希望に縋り、言った。
 宗助「わかった。行くわ。」
サークルの帰りに、雄二の家に向かう。
 それは、宗助にとっては、地獄の始まりだった・・・。
 雄二の家に着く、ガスコンロを雄二が準備する。家に転がっている500mlのスーパードライのビールを手に取り机に乗せる。
 優子「お鍋できたよー。」
優子は、ガスコンロの上に、鍋を載せる。
3人で鍋を食べ始めた。
 優子「雄二。あーん。して?」
 雄二「・・・あ?今の顔可愛いずっと見ていたい」
 優子「ちょっと雄二からかわないでよ。」
宗助は、はたから見ていた。何を見せられているのかわからない。自分という存在はこの空間からは切り離されている。
 雄二が手で優子の顔を触りだす。
自然と
 雄二「やっぱり我慢できねぇわ。」
 優子「ちょっと・・・・」
 雄二は優子との、ラブラブなのをただ見せつけたいだけだったようだ。
 見れば見るほど宗助は胸の寂しさと、心をボーリングの機械でガリガリ削られていく・・・目の前の、鍋からとりあえず肉を取り出して一口食べた。
 500mlのスーパードライのビールを一気に飲んだ。優子と雄二の中はどんどん進展していく。お酒のせいもあり記憶もない、何かを喋っていたのかもしれない。けど覚えていない。
 気がつけば、家にいた。朝になっていた。ベッド周囲は汚物まみれになっていた。
 宗助「・・・何やってんだろな・・・」
気持ち悪くなり、トイレに駆け込んだ。
心の中に空いた穴が、自分の衝動性を掻き立て、気づけば握っていた拳でトイレの壁を殴っていた。
 宗助「・・・あ・・・・」
トイレに穴が空いた。自分の心と同じように。
 
 
 
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