いらないスキル買い取ります!スキル「買取」で異世界最強!

町島航太

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五章 魔獣人の根源

129話 最終防衛システム

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「あっ!待て!!」

「待って!!」

 追いかけようとする哲郎の服を掴んで静止させるトラコ。その目はうるんでおり、父性を刺激されてしまった哲郎は急ごうとする自分を諫めた。

「自分でも役立たずな事をしている事分かってる・・・でも行かないで!私を1人にしないで!!」

「・・・ごめん」

 話は聞かなくても何となくで察する事が出来る。彼女と出会う前に遺体として出会った2人の兵士の死が彼女の心に深い傷をつけたのだろう。

「2人共、国の為に・・・私を庇って死んだ。1人は寂しいの、辛いの・・・だからお願い。1人にしないで・・・!!」

「・・・分かった。けど、アイツは倒さなきゃだめだ。アイツが生きている限り、安全じゃない。安全地帯を作れる光の魔法を魔力がある限りしか使えない。だからここで倒さなきゃ」

「で、でも私。もう魔力も残ってないくせに魔法以外なにも攻撃手段をもって無い。貴方の役に立てない・・・」

「スキルは?」

「持ってるけど、魔法の威力を上げるものだから使えない・・・」

「分かった。役立たずでも良い。必ず君を守るし絶対に1人にしないから」

「本当?約束だからね?」

「ああ、約束するよ。俺は絶対に・・・ん?」

 オイルスライムが逃げた方向から金属が軋む音が聴こえてくる。まるで重い甲冑を身に纏った騎士のようだ。

 その音は俺達に向かってきていた。剣を構え待ち構えていると、俺達の前に現れたのは、美しい白色の鎧に身を包んだ大柄の男・・・否、ゴーレムだった。

 まるで甲冑を着た大柄の男のようなゴーレムが俺達の前に現れたのだ。勿論当然のごとく俺達に対しては明確な敵意を向けており、拳を振り下ろし、俺達を潰そうとしてきた。

 ただ中に人は入っていないのだろうか。動きがぎこちない上に人間らしくない。無理矢理人間の動きを再現しているかのようだった。

 オイルスライムが逃げていった方向から現れた事から察するにこのゴーレムを動かしているのはオイルスライムなのだろう。

「なるほど、つまりオイルスライムはこの遺跡の防衛システムだったって事か。でも、その防衛システムの弱点は把握済み!喰らえ!浄化の光だ!!」

 浄化属性が加わった光をゴーレムに浴びせる。しかし、ゴーレムは怯む事も無ければ、光に怯える様子もなく、真正面から光を受け止めて平気な様子。

「あれ?もしかして・・・効かない?」

 ゴーレムという装甲が浄化の光を遮断しているのか?いや普通に考えたらそうか。

 オイルスライムの状態でも、人を簡単に殺せる能力を持ってるのにただのパワーアップのためだけにゴーレムの中に入る必要はない。

 このゴーレムは万が一オイルスライムが窮地に立たされた時の最終防衛システムだったんだ。

「・・・もう少し人連れて来れば良かったかも」

 勝てるビジョンが想像できない。
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