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4章 魔王の肩書きを持つ少女

63話 出だしから・・・

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「あ~~・・・昨日はすまなかった。少し体調が悪くてな。つい皆に当たってしまった。ここに正式な謝罪をする」

 後日、4人の幹部はまた会議室に呼ばれた。昨日の癇癪を謝罪したいらしい。

「そこでだが、皆には一週間程、この城に滞在してもらい、各々がしたい事を考えてほしい」

「えええぇぇぇぇぇぇ~~帰って研究がしたい~」

「こっちでもできるだろう。それに、研究費を出してるのは誰だ?」

「余も自分の領地の事が心配なのですが・・・」

「お前がいなくなった程度でつぶれるような貧弱な運営をしているのか?」

「いえ!!滅相もございません!!」

「2人とは別意見ですが、別に帰ってもよろしいのでは?自分の領地にて、他の部下と共に意見を出し合いたいのですが・・・」

「お前ら3人は集まりが悪いんだから、いつ解散したら、集まるか分からんだろう?この前集まったのはいつだ?」

「「「20年前」」」

「それみた事か!あれだけまたすぐ集まろうねとか言っておいてこのざまだ!!だから、今回は帰るのは禁止!!」

 嘘が下手な魔王様にしては、上手く嘘をついたな。事情を知らなかったら、納得してたと思う。

 その後、すぐに会議室から解散すると、バール様は暇つぶしの為に持ってきた研究道具を部屋で広げて、やや不機嫌な様子で研究を始めた。

「全く!ルシフェルはまるで分かっていない!研究と睡眠は自分の部屋が一番だというのを何故分からない!!」

「ははは・・・それじゃあ、必要になったら呼んで下さいね・・・」

「ああ!今回は持ってきた道具が少ないから呼ぶ機会は少ないだろうけどね!!」

 なるべく音を立てないようにバール様の部屋の扉を閉める。バール様の部屋の前では、シームさんとゴップが不安そうなまなざしでこちらを見つめていた。

「大丈夫。あの機嫌の悪さは12時間ぐらいで何とかなるから。なるべく話かけないようにね?」

「分かりました・・・」

「いざとなったら、眠らせればいいんだよね!?」

「僕が近くにいたら、呼んでね。それじゃあ、僕はバール様に頼まれた仕事があるから」

 2人には、バール様に頼まれた仕事があると嘘をついた。すぐにばれてしまう可能性があるが、これくらいしか、2人に怪しまれずに魔王城を自由に歩き回る方法が見つからなかったので許してほしい。

「それじゃあ、行ってくるね」

「行ってらっしゃいませ」「頑張ってね~~」

 2人の声援を受けて、僕は魔王城を歩き回り始める。まず、最初に幹部の中でも一番の新参であるスネイクさんから。はっきり言って、彼が一番裏切りそうだ。

 権力とか関係なしに、人が絶望した時にする顔を見るのが好きな彼は、いつ裏切ってもおかしくないからだ。実際に、僕らの出会いは裏切りが関係していたし。

「バール様は多分しないと見て良し。アスタロト様とミシェル様は微妙で、スネイクさんは危険・・・」

「へぇ・・・私ってそんなに危険視されてたのかぁ・・・」

「そうですよ。だって、イヴ領主の時だって・・・・え?」

 最初からこんなミスを犯してしまうだなんて・・・思いもよらなかった。

「やあ、アル君。調子はどうだい?」

 背後に立っていたのは、薄気味悪い笑みを浮かべたスネイクさんだった。
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