140 / 414
第139話 [レイの修行Part1]
しおりを挟む
「やっぱり有名なのか?」
「・・・。」
サスケも流石に本人の目の前で言うのを躊躇っていたが、その沈黙が物語っていた。
「私も嫌という程、分かってるのでサスケさんもお気になさらずに。」
レンが少し悲しい表情でサスケに声を掛けているとルークが俺に話しかけてきた。
「しかし、どうすんだ?」
「それはこれから模索していくさ。っても幾つか案は有るけどな。」
「何をさせるんだ?」
「それは上手くいってからのお楽しみって事で。さぁさぁ時間も無い事だし、全員迷宮に行った行った。」
俺がそう言うと子供達は近くに居た精霊に頼んで初級に。ルークとツバキが中級に行くとサスケが声を掛けてきた。
「師匠、拙者は・・・。」
「そういえば言って無かったな。サスケは上級な。」
「中級がBランク上位という事はAランク上位という事でござるか。」
「多分な。サスケなら問題無いだろ?」
「それなら問題ないでござる。」
「まぁ、今日は慣らしで良いぞ。ダンジョンは久しぶりだろ?」
「そうでござるな。ただスタンピード状態が慣らしと言えるかは別でござるが・・・。」
「まぁ、大丈夫だろ。それとも感が戻るまで、俺と模擬戦するか?」
「は、早く上級に連れて行って欲しいでござる!」
俺の言葉に焦りの表情を浮かべながら言って来たので俺は笑いながら上級へ送ってやった。
「さてと、じゃあ始めるか。」
「本当に良いのか?」
俺がそう言うとレイは申し訳なさそうに返答してきた。
「まぁ、不安なのも分かるが俺に任せてみないか?もしダメだったとしても自分の身は守れる様になるはずだ。」
「分かった。シュウトに任せるよ。」
「よし!じゃあ先ずは準備体操をしようか。」
「体操?」
「そうだ、先ずは体操をして身体を解して身体を痛めない様にする必要があるからな。」
「・・・分かった。」
「じゃあ最初は俺の動きを真似してみてくれ。」
「分かった。」
暫く体操をしているとレイが話し掛けてきた。
「シュウト、かなりゆっくりやってるけど、俺に合わせてくれてるのか?」
「いや、慣れてきたらもう少しゆっくりやるぞ。」
「それで身体を解せるのか?」
「あぁ、動きも少しはましになってきたから今度は俺の呼吸も真似していってくれ。」
「わ、分かった。」
レイは不思議そうな顔をしながらも俺の真似をしてたので、俺はレイが汗だくになるまで行い、レイがふらつき始めたのを見て体操を止めた。
「・・・ふぅ~やっと止まった。・・・運動にもなるのか疑問だったけど、疲れるね。」
「まぁそうだろうな。一旦、水を飲みながら一寸休憩したら今度は1人でやってもらうからな。」
「え?これから戦闘訓練をするんじゃないの?」
「何言ってんだよ。今の体操でかなり凝り固まってるのが、分かったからそのまま今日は皆んなが戻ってくるまで、継続してもらうぞ。」
「そ、そんなに?」
「疲れるなら、ほらポーションを飲んで続ける!」
俺はそう言いながらポーションを渡すとレイは絶望的な顔をしながらもポーションを飲んでから続けた。
暫く続け、また休憩に入るとレイはまた話し掛けてきた。
「シュウトはさっきから何してるんだ?」
「レイの周りの気の密度を上げてるんだ。」
「何で?」
「体操の効果を上げる為だ。」
「へぇ~そうなのかぁ。」
「さっ、休憩は終わりだ。この後はもう少しゆっくり動いて呼吸も臍の下まで空気を行き渡せるイメージでやっていけ。因みに呼吸もゆっくりな。」
「分かった。」
その後、1時間程すると子供達が帰ってきた。
「どうだった?」
「大丈夫だよ。流石にこっちの子だね、魔物を倒す事に忌避感は無かったよ。」
「そうか、なら安心だな。とりあえず、この後は物を壊さない様に何か小物を作ったり、日常生活に支障が無い様に動きの練習に付き合ってあげなさい。危なかったら助けてあげるんだぞ。」
「「は~い。」」
「ボタンちゃんも急激なレベルアップの所為で大変だと思うけど、今日だけじゃないから頑張ってな。」
「うん♪」
俺はそう言うと恵美に薪にする様の木と三日月小刀を渡した。
子供達が離れて行ったのを確認すると再びレイの相手をしていき、数時間が経過すると今度はルーク達が帰ってきた。
「どうだった?」
「問題ねぇ。それより・・・」
ルークはそう言うと俺に耳打ちしてきた。
「レイの気が大きくなった気がするんだが何したんだ?」
聞かれた俺も小声で話した。
「お前と2週間掛けてする予定だった修行だよ。」
「え?仙気を習得させるのか?」
「出来るかは本人の努力次第だが、レイの戦闘時の失敗の原因の1つは気の滞りもあるんじゃないかと思って調べたら思った通り何故あそこまで固まった状態で生活出来るのか分からないレベルだったんだよ。」
「そんなにか!?・・・アレで治るのか?」
「問題ない。お前が気が大きくなった様に感じたのは実際、凝り固まった気の通りを良くしたからだからな。」
「なるほど。なら、普通に戦える様になったのか?」
「いや、分からない。明日もう一度、この体操をやってから1度武器を扱わせて、それで駄目なら別の方法を試すつもりだ。」
「なるほどな。昔から悩んでたから頼むな。」
「あぁ、出来るだけの事はするつもりだ。ところで、サスケを迎えに行ってくれないか?」
「分かった。」
ルークはそう言うとサスケを迎えに行った。
「レイ、そろそろ全員が揃うから今日のところは終了だ。」
俺がそう言うとレイはへたり込んでいた。俺はそんなレイを見ながら食事の準備をし始め、全員が揃ったところで食事を終わらせ、明日の予定を伝えた。
「子供達は今日と一緒で初級に行ってもらうつもりだけど、ボタンちゃん、大丈夫か?無理なら1日休みにしても大丈夫だぞ?」
「行く!」
「そうか、なら真司達は今日と同じでレベリングしてやってくれ。但し、何体倒しても良いけど、無理だけはさせない様にな。」
「「は~い。」」
「次にルークとツバキだけど、明日からは1人ずつ離れて戦闘する事は可能か?」
「俺もツバキも問題ねぇ。」
「そうか、ならルークは木製武器で、ツバキは全力でルークに負けない様に頑張れ。ルークは討伐数をツバキに負ける様な事が有れば、戻ってから俺との模擬戦な。」
「え!?マジかよ。」
「当たり前だろ。例え木製だとしても負けは許されないと思えよ。」
「わ、分かった。」
ルークはそう言うと肩を落としながらも木製武器に気を流して動きを確かめていた。
「最後にサスケだが、久しぶりの討伐はどうだった?」
「最初はアレでござったが、最後の方は感は取り戻せたと思うでござる。」
「なら、明日は踏破しろ。」
「分かったでござる。」
「レイは明日の朝食後、準備体操したら1度武器を持ったらどうなるか、見せてくれ。」
「・・・分かった。」
「心配するな。準備体操が終わる頃には皆んなは迷宮だ、それに俺がお前の攻撃如きで傷付くはずが無いだろ。」
「そうだな。分かった。」
「よし!じゃあとりあえず今日はもう寝るか・・・あっ!」
「どうした?」
俺が大事な事を思い出して声を上げるとルークが聞いてきたので、俺は話し始めた。
「いや、皆んなの寝床の事を忘れてた。」
「あぁ、それなら心配ないぞ。レイが移動式家屋を持ってるから。」
「そうなのか?」
「あぁ、師匠がシュウトと居るなら何れは必要になるだろうと何軒か移動式家屋が入った専用のマジックバッグを持たせてくれたからね。」
「そうなのか、流石ハロルドさんだな。」
レイがそう言いながらマジックバッグから2軒の移動式家屋を出したのを見て安心して就寝する事が出来た。
翌朝、俺はまだ皆んなが寝静まっている間に起きて、子供達が起きたら直ぐに俺の魔力を吸収する事が出来る様に魔力を放出してから世界樹の種の世話をして戻ると皆んなが起きて食事の用意を終わらせてくれていた。
「おぉ、戻ったな。」
「悪いな皆んな。明日からは俺が遅かったら先に食べてくれて良いからな。」
「気にすんな。皆んなもさっき起きて用意したばっかりだからな。」
「そうか、じゃあ食べるか。」
俺達はそう言うと食事を終わらせて各自今日の修行をする為に散り散りに迷宮に向かい、レイは準備体操を終わらせた。
「よし!じゃあ先ずは剣でこの丸太を斬りつけてみてくれ。」
「お、おう。」
レイはそう言うと剣を振り上げて構え、斬りつけ、丸太を切断した。
「お、おぉぉぉー。やった!やったぞ!シュウト斬れた!斬れたぞ!」
レイは丸太を切断した事にかなり喜んで俺の方に飛んできた。
「お、おう。良かったな。っていうかそれも出来なかったのか。」
俺がそう言うとレイは顔を真っ赤にしながら頷いていた。
「そ、そうか。なら次は投擲をしてみてくれ。」
俺がそう言いながら石を渡すとレイは先程と同様に気合いを入れて投げた。しかし、投げた石や別の武器は尽く外れ、どれだけ近づけても100%外していた。しかもそれは弓に変えて射っても同じだった。
「なるほどな。手から離れると駄目なのか。じゃあ次は剣術の稽古をしてみようか。」
俺はそう言うと気合いの入ったレイに指導していったが、どれだけ教えても剣を振ることは出来ても素人が振り回しているだけの動きしか出来なかった。しかもそれは他の武器に変えても同じだった。
「やっぱり駄目なのかなぁ。」
「武術はもう呪いに掛かってると思えるくらい駄目だな。」
「だろ。すまないなシュウト。」
レイはそう言いながら落ち込んでいたので俺は一旦、外の世界に出て弱い魔物を瀕死の状態にして、持って帰った。
「わっ!どこ行ったと思ったら何を持って来たんだよ!?」
「ん?適当に弱そうな魔物を瀕死状態にしてから持ってきた。」
「弱そうなって、それCランクのブラッドブルじゃないか!」
「ん?この牛って強いのか?」
「ブラッドブルの突進攻撃は同じCランクのオーガですら一撃なんだぞ。」
「そうなのか。倒した後に昼か晩飯になるかと思って持ってきたんだけどなぁ。」
「まぁ確かに美味しいけど・・・。」
「とりあえず瀕死だから斬り殺せるか試してくれ。」
「わ、分かった。」
レイはそう言うと剣を振り上げ、気合いを入れて振り下ろした。
「・・・。」
サスケも流石に本人の目の前で言うのを躊躇っていたが、その沈黙が物語っていた。
「私も嫌という程、分かってるのでサスケさんもお気になさらずに。」
レンが少し悲しい表情でサスケに声を掛けているとルークが俺に話しかけてきた。
「しかし、どうすんだ?」
「それはこれから模索していくさ。っても幾つか案は有るけどな。」
「何をさせるんだ?」
「それは上手くいってからのお楽しみって事で。さぁさぁ時間も無い事だし、全員迷宮に行った行った。」
俺がそう言うと子供達は近くに居た精霊に頼んで初級に。ルークとツバキが中級に行くとサスケが声を掛けてきた。
「師匠、拙者は・・・。」
「そういえば言って無かったな。サスケは上級な。」
「中級がBランク上位という事はAランク上位という事でござるか。」
「多分な。サスケなら問題無いだろ?」
「それなら問題ないでござる。」
「まぁ、今日は慣らしで良いぞ。ダンジョンは久しぶりだろ?」
「そうでござるな。ただスタンピード状態が慣らしと言えるかは別でござるが・・・。」
「まぁ、大丈夫だろ。それとも感が戻るまで、俺と模擬戦するか?」
「は、早く上級に連れて行って欲しいでござる!」
俺の言葉に焦りの表情を浮かべながら言って来たので俺は笑いながら上級へ送ってやった。
「さてと、じゃあ始めるか。」
「本当に良いのか?」
俺がそう言うとレイは申し訳なさそうに返答してきた。
「まぁ、不安なのも分かるが俺に任せてみないか?もしダメだったとしても自分の身は守れる様になるはずだ。」
「分かった。シュウトに任せるよ。」
「よし!じゃあ先ずは準備体操をしようか。」
「体操?」
「そうだ、先ずは体操をして身体を解して身体を痛めない様にする必要があるからな。」
「・・・分かった。」
「じゃあ最初は俺の動きを真似してみてくれ。」
「分かった。」
暫く体操をしているとレイが話し掛けてきた。
「シュウト、かなりゆっくりやってるけど、俺に合わせてくれてるのか?」
「いや、慣れてきたらもう少しゆっくりやるぞ。」
「それで身体を解せるのか?」
「あぁ、動きも少しはましになってきたから今度は俺の呼吸も真似していってくれ。」
「わ、分かった。」
レイは不思議そうな顔をしながらも俺の真似をしてたので、俺はレイが汗だくになるまで行い、レイがふらつき始めたのを見て体操を止めた。
「・・・ふぅ~やっと止まった。・・・運動にもなるのか疑問だったけど、疲れるね。」
「まぁそうだろうな。一旦、水を飲みながら一寸休憩したら今度は1人でやってもらうからな。」
「え?これから戦闘訓練をするんじゃないの?」
「何言ってんだよ。今の体操でかなり凝り固まってるのが、分かったからそのまま今日は皆んなが戻ってくるまで、継続してもらうぞ。」
「そ、そんなに?」
「疲れるなら、ほらポーションを飲んで続ける!」
俺はそう言いながらポーションを渡すとレイは絶望的な顔をしながらもポーションを飲んでから続けた。
暫く続け、また休憩に入るとレイはまた話し掛けてきた。
「シュウトはさっきから何してるんだ?」
「レイの周りの気の密度を上げてるんだ。」
「何で?」
「体操の効果を上げる為だ。」
「へぇ~そうなのかぁ。」
「さっ、休憩は終わりだ。この後はもう少しゆっくり動いて呼吸も臍の下まで空気を行き渡せるイメージでやっていけ。因みに呼吸もゆっくりな。」
「分かった。」
その後、1時間程すると子供達が帰ってきた。
「どうだった?」
「大丈夫だよ。流石にこっちの子だね、魔物を倒す事に忌避感は無かったよ。」
「そうか、なら安心だな。とりあえず、この後は物を壊さない様に何か小物を作ったり、日常生活に支障が無い様に動きの練習に付き合ってあげなさい。危なかったら助けてあげるんだぞ。」
「「は~い。」」
「ボタンちゃんも急激なレベルアップの所為で大変だと思うけど、今日だけじゃないから頑張ってな。」
「うん♪」
俺はそう言うと恵美に薪にする様の木と三日月小刀を渡した。
子供達が離れて行ったのを確認すると再びレイの相手をしていき、数時間が経過すると今度はルーク達が帰ってきた。
「どうだった?」
「問題ねぇ。それより・・・」
ルークはそう言うと俺に耳打ちしてきた。
「レイの気が大きくなった気がするんだが何したんだ?」
聞かれた俺も小声で話した。
「お前と2週間掛けてする予定だった修行だよ。」
「え?仙気を習得させるのか?」
「出来るかは本人の努力次第だが、レイの戦闘時の失敗の原因の1つは気の滞りもあるんじゃないかと思って調べたら思った通り何故あそこまで固まった状態で生活出来るのか分からないレベルだったんだよ。」
「そんなにか!?・・・アレで治るのか?」
「問題ない。お前が気が大きくなった様に感じたのは実際、凝り固まった気の通りを良くしたからだからな。」
「なるほど。なら、普通に戦える様になったのか?」
「いや、分からない。明日もう一度、この体操をやってから1度武器を扱わせて、それで駄目なら別の方法を試すつもりだ。」
「なるほどな。昔から悩んでたから頼むな。」
「あぁ、出来るだけの事はするつもりだ。ところで、サスケを迎えに行ってくれないか?」
「分かった。」
ルークはそう言うとサスケを迎えに行った。
「レイ、そろそろ全員が揃うから今日のところは終了だ。」
俺がそう言うとレイはへたり込んでいた。俺はそんなレイを見ながら食事の準備をし始め、全員が揃ったところで食事を終わらせ、明日の予定を伝えた。
「子供達は今日と一緒で初級に行ってもらうつもりだけど、ボタンちゃん、大丈夫か?無理なら1日休みにしても大丈夫だぞ?」
「行く!」
「そうか、なら真司達は今日と同じでレベリングしてやってくれ。但し、何体倒しても良いけど、無理だけはさせない様にな。」
「「は~い。」」
「次にルークとツバキだけど、明日からは1人ずつ離れて戦闘する事は可能か?」
「俺もツバキも問題ねぇ。」
「そうか、ならルークは木製武器で、ツバキは全力でルークに負けない様に頑張れ。ルークは討伐数をツバキに負ける様な事が有れば、戻ってから俺との模擬戦な。」
「え!?マジかよ。」
「当たり前だろ。例え木製だとしても負けは許されないと思えよ。」
「わ、分かった。」
ルークはそう言うと肩を落としながらも木製武器に気を流して動きを確かめていた。
「最後にサスケだが、久しぶりの討伐はどうだった?」
「最初はアレでござったが、最後の方は感は取り戻せたと思うでござる。」
「なら、明日は踏破しろ。」
「分かったでござる。」
「レイは明日の朝食後、準備体操したら1度武器を持ったらどうなるか、見せてくれ。」
「・・・分かった。」
「心配するな。準備体操が終わる頃には皆んなは迷宮だ、それに俺がお前の攻撃如きで傷付くはずが無いだろ。」
「そうだな。分かった。」
「よし!じゃあとりあえず今日はもう寝るか・・・あっ!」
「どうした?」
俺が大事な事を思い出して声を上げるとルークが聞いてきたので、俺は話し始めた。
「いや、皆んなの寝床の事を忘れてた。」
「あぁ、それなら心配ないぞ。レイが移動式家屋を持ってるから。」
「そうなのか?」
「あぁ、師匠がシュウトと居るなら何れは必要になるだろうと何軒か移動式家屋が入った専用のマジックバッグを持たせてくれたからね。」
「そうなのか、流石ハロルドさんだな。」
レイがそう言いながらマジックバッグから2軒の移動式家屋を出したのを見て安心して就寝する事が出来た。
翌朝、俺はまだ皆んなが寝静まっている間に起きて、子供達が起きたら直ぐに俺の魔力を吸収する事が出来る様に魔力を放出してから世界樹の種の世話をして戻ると皆んなが起きて食事の用意を終わらせてくれていた。
「おぉ、戻ったな。」
「悪いな皆んな。明日からは俺が遅かったら先に食べてくれて良いからな。」
「気にすんな。皆んなもさっき起きて用意したばっかりだからな。」
「そうか、じゃあ食べるか。」
俺達はそう言うと食事を終わらせて各自今日の修行をする為に散り散りに迷宮に向かい、レイは準備体操を終わらせた。
「よし!じゃあ先ずは剣でこの丸太を斬りつけてみてくれ。」
「お、おう。」
レイはそう言うと剣を振り上げて構え、斬りつけ、丸太を切断した。
「お、おぉぉぉー。やった!やったぞ!シュウト斬れた!斬れたぞ!」
レイは丸太を切断した事にかなり喜んで俺の方に飛んできた。
「お、おう。良かったな。っていうかそれも出来なかったのか。」
俺がそう言うとレイは顔を真っ赤にしながら頷いていた。
「そ、そうか。なら次は投擲をしてみてくれ。」
俺がそう言いながら石を渡すとレイは先程と同様に気合いを入れて投げた。しかし、投げた石や別の武器は尽く外れ、どれだけ近づけても100%外していた。しかもそれは弓に変えて射っても同じだった。
「なるほどな。手から離れると駄目なのか。じゃあ次は剣術の稽古をしてみようか。」
俺はそう言うと気合いの入ったレイに指導していったが、どれだけ教えても剣を振ることは出来ても素人が振り回しているだけの動きしか出来なかった。しかもそれは他の武器に変えても同じだった。
「やっぱり駄目なのかなぁ。」
「武術はもう呪いに掛かってると思えるくらい駄目だな。」
「だろ。すまないなシュウト。」
レイはそう言いながら落ち込んでいたので俺は一旦、外の世界に出て弱い魔物を瀕死の状態にして、持って帰った。
「わっ!どこ行ったと思ったら何を持って来たんだよ!?」
「ん?適当に弱そうな魔物を瀕死状態にしてから持ってきた。」
「弱そうなって、それCランクのブラッドブルじゃないか!」
「ん?この牛って強いのか?」
「ブラッドブルの突進攻撃は同じCランクのオーガですら一撃なんだぞ。」
「そうなのか。倒した後に昼か晩飯になるかと思って持ってきたんだけどなぁ。」
「まぁ確かに美味しいけど・・・。」
「とりあえず瀕死だから斬り殺せるか試してくれ。」
「わ、分かった。」
レイはそう言うと剣を振り上げ、気合いを入れて振り下ろした。
89
あなたにおすすめの小説
異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました
雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。
気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。
剣も魔法も使えないユウにできるのは、
子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。
……のはずが、なぜか料理や家事といった
日常のことだけが、やたらとうまくいく。
無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。
個性豊かな子供たちに囲まれて、
ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。
やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、
孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。
戦わない、争わない。
ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。
ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、
やさしい異世界孤児院ファンタジー。
異世界転生したので森の中で静かに暮らしたい
ボナペティ鈴木
ファンタジー
異世界に転生することになったが勇者や賢者、チート能力なんて必要ない。
強靭な肉体さえあれば生きていくことができるはず。
ただただ森の中で静かに暮らしていきたい。
異世界でゆるゆるスローライフ!~小さな波乱とチートを添えて~
イノナかノかワズ
ファンタジー
助けて、刺されて、死亡した主人公。神様に会ったりなんやかんやあったけど、社畜だった前世から一転、ゆるいスローライフを送る……筈であるが、そこは知識チートと能力チートを持った主人公。波乱に巻き込まれたりしそうになるが、そこはのんびり暮らしたいと持っている主人公。波乱に逆らい、世界に名が知れ渡ることはなくなり、知る人ぞ知る感じに収まる。まぁ、それは置いといて、主人公の新たな人生は、温かな家族とのんびりした自然、そしてちょっとした研究生活が彩りを与え、幸せに溢れています。
*話はとてもゆっくりに進みます。また、序盤はややこしい設定が多々あるので、流しても構いません。
*他の小説や漫画、ゲームの影響が見え隠れします。作者の願望も見え隠れします。ご了承下さい。
*頑張って週一で投稿しますが、基本不定期です。
*本作の無断転載、無断翻訳、無断利用を禁止します。
小説家になろうにて先行公開中です。主にそっちを優先して投稿します。
カクヨムにても公開しています。
更新は不定期です。
ゲームちっくな異世界でゆるふわ箱庭スローライフを満喫します 〜私の作るアイテムはぜーんぶ特別らしいけどなんで?〜
ことりとりとん
ファンタジー
ゲームっぽいシステム満載の異世界に突然呼ばれたので、のんびり生産ライフを送るつもりが……
この世界の文明レベル、低すぎじゃない!?
私はそんなに凄い人じゃないんですけど!
スキルに頼りすぎて上手くいってない世界で、いつの間にか英雄扱いされてますが、気にせず自分のペースで生きようと思います!
神の手違い転生。悪と理不尽と運命を無双します!
yoshikazu
ファンタジー
橘 涼太。高校1年生。突然の交通事故で命を落としてしまう。
しかしそれは神のミスによるものだった。
神は橘 涼太の魂を神界に呼び謝罪する。その時、神は橘 涼太を気に入ってしまう。
そして橘 涼太に提案をする。
『魔法と剣の世界に転生してみないか?』と。
橘 涼太は快く承諾して記憶を消されて転生先へと旅立ちミハエルとなる。
しかし神は転生先のステータスの平均設定を勘違いして気付いた時には100倍の設定になっていた。
さらにミハエルは〈光の加護〉を受けておりステータスが合わせて1000倍になりスキルも数と質がパワーアップしていたのだ。
これは神の手違いでミハエルがとてつもないステータスとスキルを提げて世の中の悪と理不尽と運命に立ち向かう物語である。
なんでもアリな異世界は、なんだか楽しそうです!!
日向ぼっこ
ファンタジー
「異世界転生してみないか?」
見覚えのない部屋の中で神を自称する男は話を続ける。
神の暇つぶしに付き合う代わりに異世界チートしてみないか? ってことだよと。
特に悩むこともなくその話を受け入れたクロムは広大な草原の中で目を覚ます。
突如襲い掛かる魔物の群れに対してとっさに突き出した両手より光が輝き、この世界で生き抜くための力を自覚することとなる。
なんでもアリの世界として創造されたこの世界にて、様々な体験をすることとなる。
・魔物に襲われている女の子との出会い
・勇者との出会い
・魔王との出会い
・他の転生者との出会い
・波長の合う仲間との出会い etc.......
チート能力を駆使して異世界生活を楽しむ中、この世界の<異常性>に直面することとなる。
その時クロムは何を想い、何をするのか……
このお話は全てのキッカケとなった創造神の一言から始まることになる……
異世界に召喚されて2日目です。クズは要らないと追放され、激レアユニークスキルで危機回避したはずが、トラブル続きで泣きそうです。
もにゃむ
ファンタジー
父親に教師になる人生を強要され、父親が死ぬまで自分の望む人生を歩むことはできないと、人生を諦め淡々とした日々を送る清泉だったが、夏休みの補習中、突然4人の生徒と共に光に包まれ異世界に召喚されてしまう。
異世界召喚という非現実的な状況に、教師1年目の清泉が状況把握に努めていると、ステータスを確認したい召喚者と1人の生徒の間にトラブル発生。
ステータスではなく職業だけを鑑定することで落ち着くも、清泉と女子生徒の1人は職業がクズだから要らないと、王都追放を言い渡されてしまう。
残留組の2人の生徒にはクズな職業だと蔑みの目を向けられ、
同時に追放を言い渡された女子生徒は問題行動が多すぎて退学させるための監視対象で、
追加で追放を言い渡された男子生徒は言動に違和感ありまくりで、
清泉は1人で自由に生きるために、問題児たちからさっさと離れたいと思うのだが……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる