二代目山本勘助 山本勘蔵立身出世伝

轟幻志郎

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第二章 当主編

第十三話 交易品

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 同年十月八日、浜松城下町では秋の収穫を祝う祭りが行われていた。

 山本勘蔵は、本多正信と協議し、幾つかの方策を立てた。

 まず、武田家の甲州法度こうしゅうはっと、(法律や規則)を書いた立て札を用意し、一文字でも加えた者に報奨を与えると告知した。

 驚いたのは民達である。

「何だ! 立て札に人だかりが出来てるぞ!」

「おい! ここに書かれているのは本当か?」

「字を書くと銭が貰えるだと!」

「おい! お主やってみろよ!」

 字の読める者が一文字変えて書くと、実際に報奨を貰ったので、民達は、懸命に文字を学んだり、相談し、立て札の文字に幾つか書き加えた。

 無論、ほとんどの者の加えた文字は役に立たないが、中には優れた加え方をした者が居て、その者は文官として雇い入れた。

 また、ある時は、新たなる交易品の知恵を出した者に報奨を与えると立て札を出すと、民達は競って立て札を見て新たなる交易品の知恵が多くでた。

 その交易品の知恵で売り出したのが、猪、犬、鹿、鳥、熊の食べにくい肉を葱、茸、韮、山菜、大蒜、麦等と磨り潰し、味噌を付けた味噌肉煎餅と魚の細かく食べにくい身の部分を乾燥させ、干物にし、味噌に丸め、お湯を入れるだけでできる味噌すまし汁団子、海老を砕き小麦と併せた海老煎餅、そして船で使う紐を作る山本紐、そして黄金や銀で作った箸や簪が交易品となった。

 また、一番の交易品は、蜂に和紙をくくり付けて逃がし、蜂の巣を探し出し、蜜や蜂の子を取り、酒にする物が特に売れた。

 これらを風魔間者衆に武田領内ばかりではなく、関東、東海、幾内、北陸、東北、四国、山陰、山陽、九州迄売買させた。

 無論、交易品を売買させるのは、副産物で本命は、幾内と九州からは硝石を買い集め、その他は、情報を集める、各地の交易品を集め浜松城下町を活性化させ、税を得る等である。

 山本勘蔵の軍師、本多正信は、牢人の時、南蛮人から、集めた銭を黄金や銀を得る方法を知っていたので、悪銭でも取引をした。

 税と銭から得た黄金、銀併せて年間二万貫を得る事になる。

 無論、交易品を売買させるのは、副産物で本命は、幾内と九州からは硝石を買い集め、その他は、情報を集める、各地の交易品を集め浜松城下町を活性化させ、税を得る等である。

 
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