3 / 22
03:神の巫女と王太子
しおりを挟む国を揺るがすような災害を、カテリーナは必ず神からの御告げで聞いていた。
普通ならば、災害など予知出来ずに甘んじて受け入れるしかないものだ。
しかし、キメンティ王国では違った。
国は冷害を事前に告知し、育てる作物を寒さに強いものに変更した。
今までは一部地域でしか食べられていなかったその作物。
カテリーナの言葉がなかったら、絶対に育てる事はなかっただろう。
大雨で洪水が起きる事も予知され、その地域の住民は全員避難した。
その後、治水事業をする事になったのも、神の御告げを聞いたカテリーナの助言があったからだ。
カテリーナは国になくてはならない人物になり、まるでカテリーナ自身が女神であるかのように扱われるようになった。
それを面白く思わない人物が居た。
現国王の第一子。
アニョロ・アルノルド・コルレアーニである。
今年、成人である16歳になった時に次期国王として立太子し、王太子になった。
自分より年下のカテリーナが国民の支持を得ている。
それは、自分が王になった時にも、自分より神の巫女の方が求心力が有るであろう事は、凡庸と言われているアニョロにもすぐに予想出来た。
「俺の王としての地位を揺るぎ無い物にするには、あの女が必要だ!」
アニョロは自室で独り、天に向かって握り拳を掲げていた。
気分は敵陣に乗り込む指揮官だろうか。
翌日、アニョロは父である国王の所へ、カテリーナを妻に娶ると宣言しに行った。
絶対に賛成してくれると、むしろ「そこまで国の為に考えているのか」と褒められるとさえ思っていた。
しかし、返って来たのは蔑むような視線と、諦めたような溜め息だった。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
401
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる