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第9話:迷惑な現状

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 後日、あの伯爵令嬢と子爵令嬢と男爵令嬢には、マーガレット様の公爵家とアイリス様の侯爵家から正式に抗議がいった。
 本の事もそうだが、『娘の友人にスープをかけておいて、一言も謝らず開き直るその性根が気に食わない。淑女教育が終わるまで、公の場には来ないでもらいたい』と、実質的な社交界追放を命じられたようだ。

 虎の威を借る狐?
 えぇ、否定はしませんし、何を言われようと構いません。
 敵を追い詰める為なら、友人の実家だろうが利用します。



「カーリーが私のお友達を学園から追い出したのよ」
 あのスープ事件の数日後、夕食の席でイザベラか大袈裟に嘆いた。
「なんて奴だ!姉を妬んで、そんな嫌がらせをするなんて!」
 父が馬鹿な事を言っている。
 大体、単なる伯爵家の次女の私に、一生徒でしかない私に、生徒をどうにかする力があると思っているのかしらね。

 そういえば、昔から何かがあっても最悪の事態になる前に、必ず何とかなるわね。
 本当は何も無いのが1番なのだけどね。


 私に対する3年生からの直接的な嫌がらせは無くなった。
 通りすがりに嫌味を言われたり、態と肩をぶつける位はあったけど、許容範囲かな。
 その分、噂話はかなり酷い物になったけど。


 問題は、頭の悪いアモローサの、頭の悪い取り巻き達。
 可愛い見た目に騙され、盲信しているタイプは、理屈が通じない。
 しかもイザベラの取り巻きと違って、殆どが男なのが問題だった。

 力で来られると、一応貴族のか弱い女性である私には、あらがいようがない。

 今日も今日とて、なぜか廊下でアモローサ一派に絡まれている私。
「おねえさま!また私のアクセサリーを壊したのね」
 瞳に涙をいっぱい溜めて、手には壊れたネックレスを持っている。

 それ、一昨日「飽きちゃった」と言って指に引っ掛けてクルクル回してたら、壁に飛んでいったヤツよね。
 犯人自分じゃない。

 そもそも学年が違うのに、学園内で会う事自体がおかしいのよね。
 2年生の中に、アモローサに頼まれて私を監視している馬鹿がいるのかもしれない。

「可哀想に。アモローサ、僕が新しいネックレスをプレゼントするよ」
 侯爵家次男がアモローサに騙されてる。
「それなら俺は、ネックレスとイヤリングを贈るよ」
 伯爵家の……次男だったか三男だったか。

 アモローサに侍る男に、嫡男は少ない。
 居ても下位貴族だ。
 上位貴族の嫁には選ばれないって事だね!
 その事にいつ気付くのかなぁ?
 気付いた時が楽しみだわ。


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