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29:よろしくお願いします
しおりを挟む全てこの宝の持ち腐れ殿下の掌の上で踊らされたような気もしますが……
「ふつつか者ですがよろしくお願いします」
学校という場は経験できませんでしたが、その分社交界では手広く人脈を作ってまいりました。
その中でも、この人を超える人物とはまだ会えておりません。
多分、この先も会えないでしょう。
そして、私の事をこれほど欲してくれる人にも。
帝国の伯爵家令嬢として、第三皇子の元へと嫁ぐ事になりました。
両親は大層喜び、前回の王国の王太子との結婚の時には前から使っていた家具や調度品を持って行く事に反対しなかったのに、今回は『嫁入り道具』を用意すると職人や商人を呼び集めています。
ドレスも、結婚の儀、披露パーティー、帝都内パレード用の最低でも3着は作るそうです。
勿論、それぞれのドレスに合う宝飾品もです。
お金の無駄遣いでは?と窘めたのですが「娘の一生に一度の晴れ舞台に金を使わず、どこで使う」と怒られてしまいました。
いや、そもそも既に2度目の結婚なのですけどね。
前回の結婚の儀でのドレスは、従兄弟が贈ってくださったものでした。
いえ、あのドレスは殿下が用意したものでしょう。なぜなら、使われていた色が殿下の瞳と同じ藤色でしたから。
もう一色使われていた水色は、殿下の髪色の銀色と私のイメージカラーの青を合わせた色だったのかもしれないと、今なら思います。
あら、そう考えると私も王太子や元側妃と同じように、異性のイメージカラーの洋服を身につけていたのですね。
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