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30:王太子視点3
しおりを挟む「帝国に入るまで何日掛かるんだ?」
側近に問い掛けると、見ている書類から顔も上げずに答える。
「王宮からですと、7日程でしょうか」
「何でそんなに掛かるんだ?前は3日も有れば充分だっただろう」
俺の言葉に、やっと書類から目を離しこっちを見る。
「いつの話をしているんです?辺境伯領が在った頃ですか?」
何だ、その俺を馬鹿にしたような表情は!本来なら不敬罪で牢屋送りだぞ!
しかし、今はコイツがいなくなると仕事が回らなくなるので、我慢する。
「あんな小さな領地など無くなったからといって大した影響などないだろう!
トンネルがあるくらいで何の特産もない田舎領地が何であんなに偉そうだったのか不思議だ」
なんだその顔は!さっきより更に俺を馬鹿してる顔だぞ!?
「街に視察に行かれて、自国が資本の店以外が撤退しているのを確認したんでしょう?王都への直通路がなくなったから、搬入と売上を計算すると、赤字になるからですよ」
何を言ってるんだ?コイツは。
「さっき、御自分で聞いてきたじゃないですか。帝国に入るのに何で7日も掛かるんだって。前は3日だったと」
そうだ。そこから街の話になったんだ。
「王都から大きく迂回して橋まで3日、橋の在る領地内を3日、元辺境伯領内を1日、合計で7日です」
「何で領地内を3日も掛けるんだ。もっとあの田舎領地に近い所に橋を作れば良いだろう」
「橋が在るのは、川幅が狭くなっている所です。あの広い川に橋を作る技術は、我が国にはないのですよ、王太子殿下」
呆れているのか、諦めているのか、微妙な笑顔を向けられた。
「本当に、大した影響などないですね」
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