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18a:アンダーソン子爵家
しおりを挟む「子爵?アンダーソン、子爵だと?」
フーリーが横のミアを今までとは違う視線で見る。
一方ミアの方は、フーリーの変化には気付いていない。
「いきなり叩くなんて、酷いです!私は王太子妃になるんですよ!?」
泣きながら文句を言っている為か、周りの様子には目が向いていない。
「アンダーソン子爵、いきなりではありません。公爵家に居た間も常に「私は兄では無い」と伝えていましたよね?」
言われて、ミアは思い出した。
ロバーツは「自分の妹はアメリアだけだ」と何度も言っていた事に。
「それに公爵家の庇護下から出たのに、さも公爵家の人間のように振る舞うのは詐称行為で、犯罪になりますよ」
「え?」
「私に叩かれた程度で済んで良かったですね。子爵が公爵家を詐称したら、極刑でもおかしくない罪ですからね」
ロバーツの言葉に、王宮の護衛も頷いた。
フーリーは、ようやく自分の行動の愚かさに気が付いた。
婚約者である公爵家令嬢のアメリアを蔑ろにし、子爵家令嬢だったミアと懇意にしていたのだ。
自分はアンダーソン公爵家に見限られたのだと。
舞台の上を見ると、王と側妃だけでなく、実の母である正妃もフーリーを見ていなかった。
第二王子であるアルフィーとアメリアが寄り添い、前を向いて立っている。
まるでここには誰も居ないかのように。
今の彼等にとって、フーリーは路傍の石と同じなのだと。
「アメリア!アメリアは俺の婚約者だろう!」
フーリーは思わず叫んでいた。
名前を呼ばれたからか、アメリアがフーリーを見た。
いつもと同じ優しい笑顔を浮かべて。
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