君の横を歩きたい

渡良瀬 カンナ

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レギュラー選考

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 レギュラー選考当日いつも通りのルーティンで朝の用意も済ませ、家を出ようとすると千里が来た。
「学校まで一緒に行こ」
「部活の時は相変わらずはやいな、」
「だってレギュラー選考だよ、私も気を抜かずに行かなきゃ」
 学校に着くと1年生がすでに準備してくれていた。2、3年生も集まりいよいよ始まる。レギュラー選考は1年生1チーム、2年生2チーム、3年生2チームだ。僕はしばらく休んでたのもあって1年生チームで今日は試合する。試合前に山川が来て「俺が勝ったら千里を紹介しろ」と言ってきたが軽く流したら舌打ちをして去って行った。

 おかしい…何かがおかしい。プレーが全然噛み合わないもうすでに3試合が終わり全敗している、1年生の動きは悪くないむしろいいのに単純なミスで一気に負けまで持ってかれるどうしてだろう。1人悩んでいると、1年生がみんな寄って来て、
「翔先輩すみません負けてばっかりで」
「えっ。いや全然気にすんなよ、悪いところはないよ、まだ1年生だし先輩との差はあるよ」
「俺らで話し合ったんですけど、先輩もっと練習の時みたいに指示出してくださいよ俺ら頑張って動くんで自分も動きながらできついとは思うんですけど」
僕指示出してなかったんだと言われて初めて気づいた。
「ごめん、自分でも気づいてなかった」
「俺ら先輩にレギュラー取ってもらいたいです。いつも下手な俺たちを嫌な顔せず面倒見てくれて感謝してます。」
後輩には正直嫌われてると思っていた。選手でもないのに指示ばかりしている僕をウザいと感じていると思ってた。
 ちょっと先輩らしくしてみようと
「そんなこと後輩から言われたら頑張るしかないよな、最後の試合もお願いできるか?」
「もちろんです」
周りの人に恵まれてると思う今日この頃

 最後の試合は山川がいるチームだ。1年プラス僕のチームは僕が周りの状況を随時伝えて後輩たちが全力で動いてくれた、前半終えて3点差だった。上出来だ。そして、僕は後輩とっておきを教えた。後半はこっちのペースで試合が進むが最後は1点差で負けた。
 
 レギュラー発表が始まった1人またひとりと枠が減っていく…残り2人だ。
「残り2人だな、1人は…」
神様、仏様…とりあえず頼めるものには全部頼んだ。
「…大田 翔」
呼ばれた、呼ばれた!なんとか滑り込めた。そして最後の1人は山川だった。終わった後山川が来て
「後半から何をしたんだよ、お前ら全員の動きが良くなってた」
「あーあれは僕が普段みんなを観察してノートに取っておいた君達の弱点を教えただけだよ。例えば山川は自分の動く方向に目線が一瞬動くとかね」
「やっぱり気に食わねぇ奴だな」
「お互いな」
少し和解できたところで後輩たちが集まってきて
「おめでとうございますほんとよかった」
「ありがとうな」
「先輩のレギュラー祝いしましょう、先輩の奢りで」
「しょうがねぇな、今回は出血大サービスで好きなもの奢るよ」
「やったー」
明るい声が体育館に響いた。
「おめでとう」
帰るとき千里から言われありがとうと言った。
「約束のお祝いは明日するから後輩たちのと被せないでよ」
「わかってるけど何すんの?」
「それは明日のおたのしみ」
といたずらっぽい笑顔をして帰って行った。
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