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第六章 【二つの世界】

6-242 別れ 出会い

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ステイビルたちはグラキアラムに数日間滞在し、大まかな取り決めの案と役割分担を決めていった。
そして、いよいよステイビルも王都へ戻らなければならない日がやってきた。



「よろしくお頼むぞ……キャスメル」


「あぁ、任せておいてくれ」


「そろそろ行こうか……キャスメル」



カステオは準備ができた馬車に乗り込むようにキャスメルに話しかける。
馬車は東の王国から借り受けたもので、移動手段の他に道中の物資なども譲り受けた。
そして、ディヴァイド山脈の入口まで行き、あとは自足で山を越えることになっていた。



「お兄様……ありがとうございました」


そう告げてニーナは、カステオに向かってお礼の言葉を告げた。
ニーナはここ数日、ステイビルに言われて食事を摂るようになってきた。
自分の近くにいるのならば、まずは健康な身体に戻してからにしてほしいと告げた。
当初は水分しか受け付けられなかったが、この数日間で水分に溶かした固形物や野菜が崩れるまで煮込んだスープなどを口にして、顔色や肌の状態が戻ってくるようになった。
まだ若い身体のため、ここから体力を取り戻していけば、充分に回復できる可能性はある。
なんといってもあの山脈の非正規ルートを通ってここまでやってこれたのだから。




「お前も幸せに……とはちがうな?俺ができるのはここまでだ、頑張れよ?」


「お任せください、カステオ様。私たちも、何かあればご協力いたします」


「エレーナ殿、ありがたい。よろしく頼みます……それではそろそろ行こうか、キャスメル」


「そうですね。今日中には森を抜けて、広い場所で宿を設置しないと危険ですからね」


「途中まで我々、エルフとドワーフが警護しますのでご安心を」


「おぉ、それは頼もしいな!ぜひよろしく頼む」


「お任せください、カステオ様」


「……では、行くか。ステイビル世話になったな」


「あぁ、また会おう」


「そうだな、次は婚姻式の時だな!」



カステオとしては祝福としてステイビルに向けた言葉だと思うが、ステイビルはその言葉で腹部に締め付けられるような痛みが走る。
ステイビルは気付かれないように笑顔だけしか、カステオに返すことができなかった。
カステオはその行動が、ステイビルの照れ隠しであると判断し、それ以上のことは追及しなかった。



「よし、いくぞ!」



そうして出発の合図を出そうとしたその時……



「……ださい!」


聞き覚えのある声に、エレーナは馬車の出発を止めてもらう。



「おまちください!お待ちください!」


「マーホンさん!」


ハルナがその姿を見つけ、自分の場所を示すために手を振る。
マーホンも駆け足の途中で手を振り、ハルナの行動に応えた。
その姿の後ろには数名……この姿もハルナに見覚えのある者たちばかりだった。



「ハァハァ……間に合った……ようですね」


「……?」


カステオは初めて見るマーホンの顔と、その後ろについてきた者たちの顔には見慣れた顔に視線が行く。


「何事だ?」


「カステオ様、ご無礼をお許しください……」



マーホンは短い間に息を整え、カステオに対して失礼なき対応で頭を下げる。


「実はカステオ様とキャスメル様の道中に、お付き添いしたい者たちがおります」



「ご無沙汰しております、カステオ様……それと、キャスメル様」


「……クリエ!?ど、どうしてここに!?」


「私たちもお手伝いいたしますよ、キャスメル様」


「シュクルス、ルーシー……アリルビートまで。お前たち、王宮の役職に就いていたのでは?」


「今回、長に相談しまして、長期出向のお願いしました」








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