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第六章 【二つの世界】
6-421 無垢な暴露
しおりを挟む「……?」
サヤとハルナは、盾の創造者が見せたその一瞬の表情を見逃さなかった。
その表情は、何か新しいことを見付けて嬉しかったような表情だった。しかし、ハルナたちにとっては違和感しか感じなかった。だからこそ、サヤは盾の創造者にその真意を問い質す。
「ちょっと、アンタ……何がおかしいんだよ?」
『……そう……そうだったのね』
「……え?」
盾の創造者の言葉は、サヤの問い質した言葉が聞こえていたかどうかわからないような反応をみせた。
それに何か自分の中での思考が継続しているような感じがしたため、サヤは黙って続きを待つことにした。
それでも、出てきた言葉は待っていた言葉とは違う内容のものだった。
『私……ね……あの存在が邪魔だったのね……きっと』
「……邪魔?」
盾の創造者は、ここでようやく言葉を掛けたサヤに対して視線を向けた。
どうやら考えがまとまったようで、サヤの言葉に対しても答える余裕ができたようだった。
一度消した笑みを再びつくり、盾の創造者はサヤに言葉を返した。
『えぇ、そうよ……そうなのよ。私はなにを”勘違い”してたのかしらね?……元々は、私はこの世界のを自分だけのものにしたかっただけのよ……あの存在も私の役に立てれば問題なかったんだけど……今となっては……別に他の……そう、他の方法だってあるんだから!そ、それに……』
気持ちよく先を続けようとする盾の創造者の言葉は、ハルナのつぶやきによって遮られる。
そのつぶやきによって盾の創造者を含め、この場にいる全員の意識がハルナに向いた。
「……ったら」
『……?』
「だったら、どうして剣の創造者さんのこと想ってたんですか!?私、知ってるんですよ!あなたが剣の創造者さんのことを”好き”だったってことを!その人がいなくなってしまったんですよ?どうして、好きだった相手にそんなことを言えるんですか!?」
『……!?』
ハルナは好きだった相手に対し、暴言に近い言葉を掛けている盾の創造者に怒りの感情をぶつける。
ハルナは、盾の創造者に身体を乗っ取られている時に、盾の創造者が剣の創造者のことを常に考えていることを知っていた。
そして、何度かサヤを通して剣の創造者と話をしている時の感情が、嬉しいことがあったときの感情を抱いているのを感じていた。その感情は――自分では抱いたことは一度もないが、漫画や小説などで疑似的に感じたことのある――剣の創造者に対する好意的な感情であるとハルナは知っていた。
だが、先ほどの言葉はその感情を裏切るかのような言葉であったため、ハルナにはその急転させた感情に伴わない内容の言葉に怒りを感じた。
ハルナの言葉に、顔を真っ赤にして起こる盾の創造者を見て、サヤは必死に笑いをこらえる。
最終的には、我慢を通り越して笑いが口から漏れてしまっていた。
「ククク……はぁ……アンタ、結構酷いことするね……」
「え?……な、なに!?わ、私……な、何かした!?」
「その無意識なダメージの与え方……全然変わってないよね?自分にやられると嫌だけど、他人にやってるのを見るのは面白いよ」
自分の感情を暴露され、怒りに震えていた盾の創造者も我慢の限界が近づき、その対象に向けて感情を爆発させた。
『こ、このぉ!!ハルナぁぁっ!!!!』
その叫びと同時に、ハルナとサヤに大きな資源の波が二人に打ち付けられた。
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