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第六章 【二つの世界】
6-460 決戦32
しおりを挟む『……ま、まさか。これって!?』
ラファエルの姿を見て、この状況を悟った盾の創造者は、自分の行動が全て誘導されたものであると気付いてしまった。
その反応に機嫌を良くしたサヤは、剣をぐりぐりと盾の創造者が乗り移っているラファエルの身体をひっかきまわしている。
その行動から、盾の創造者の身体から多量の元素が漏れ出ており、それが空気中へと消えていくのが見える。
「あぁ、そうだよ。アンタは、まんまと仕掛けた罠にハマってくれたって訳よ……あ、逃げようとしても無駄だから。その入れ物からは離れられないようにしてあるよ?」
『――!?』
そう言われると同時に、盾の創造者はこの身体から意識を離脱させようと試みるも、世界を渡ることを禁じられた時と同じに、自分が望む行動の結果が得られなかった。
「いいよいいよ、その顔。自分の立場が上だからって油断してたことも、この結果につながったんだよね。アンタがもう少し慎重に行動してくれてたら、こうまでうまくいかなかもしれないけど……これがその結果ってやつだよ」
盾の創造者は、目の前の人間たちに弄ばれていることを知って怒りの感情が沸き起こる。だが、その感情は、今までのように力に還元されることなく空回りし、力となる資源はサヤに握られた剣によって刺された場所から漏れ出ているだけだった。
そして、その憤る感情を向ける先を二人から一旦外し、裏切られた自分が生み出した存在へと意識を向ける。
『ラファエル。あなた、創造主であるこの私のことを……裏切ったのね?』
『いいえ、裏切ったのではありません。わたくしは、初めから一つの存在としてこの世界に産み出されています。その目的はこの世界の監視であり、この世界を守ることのはずです。あなたのことに協力するというのは当初の命令にはございません』
返答を受けた盾の創造者は、サヤに忌々しい視線を向ける。
「あ?アタシのせいだっていうの?……うん、間違ってないけどね」
この状況でなんの悪びれることもなく、サヤはそう告げる。
「だけど、それはアンタの最初の”設定”が悪かったんじゃないの?そもそもそんなことを想定してなかったんだろう、そのまま放置してたアンタが悪いんじゃない?それをラファエルのせいにしたらよくないよ?」
この言葉からきっと、主人を裏切るための言葉で言いくるめたのだと、盾の創造者はサヤに対して更なる怒りの感情が沸き立ってくる。
「さて……そろそろ、アンタも長く生きすぎて疲れたろ?ここらで退場してもらおうかね」
そう告げると、ラファエルは真っ黒な瘴気でできた石を取り出しサヤに渡した。
「ちょ……ちょっと待ってサヤちゃん」
「あぁ?なんなんだよ、一体?」
サヤはハルナに止められつつも、言葉は悪いがそこまで悪意のこもっていない言葉で聞き返す。
「ゴメン……これだけだから。盾の創造者さん」
『……なんですか?』
今まで言葉を発してこなかったハルナに、盾の創造者が何かを探るような目で見ながら応える。
ハルナは、サヤから続きを語ることを許してもらえたと判断し、最後の質問を盾の創造者へ投げかける。
「今でも……この世界、壊そうと思っているんですか?」
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