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第六章 【二つの世界】
6-480 ハルナの不安
しおりを挟む夜、ハルナたちはステイビルといつものように食事を採った。
その場の空気は重く、ハルナとサヤは会話の中でも簡単な言葉かわしていなかった。
それを気に掛けたステイビルとエレーナは、二人に対し会話を促すように話しかける。だが、それらはこの場の空気と二人の気持ちを変えるには至らなかった。
とうとうハルナとサヤは、ろくに言葉を交わさないまま食事を終え、ソフィーネたちがハルナの目の前にある食器が片付けられて行く。
その流れで、ソフィーネはハルナの前に食後のお茶を用意する。ポットの中から香りのよいお茶を注ぎ、皿の上に乗せた状態でハルナの前に置いた。
「……ハルナ様。皆が心配されていますよ?我々にできることはないるかもしれませんが、一緒に考えることは出来ます。今までの旅でもそういう時もありませんでしたか?私はあの旅にご一緒させていただいて、本当に良かったと思っております。そして、これからもハルナ様のお力になるつもりです。ですから、私……いえ、私たちに頼っていただけませんか?」
「ソフィーネさん……」
ソフィーネの言葉は、ステイビルとエレーナの気持ちを代弁してくれており、ハルナを見る目に頼ってもらえるようにと期待が込めていた。その言葉にハルナは、一緒に旅をしていた時のことを思い出し、仲間がいることへの安心感を思い出していた。
ハルナの視線はサヤの方へと動かし、その後ステイビルとエレーナへと向けられた。
その意図を感じたサヤは、口元を拭いた紙をテーブルの上に乗せてハルナに応えた。
「ハルナ……別に言っちゃいけないわけじゃないんだ。アンタから説明してやりなよ」
「う……うん」
ハルナは、三人に先ほど二人が話し合ったことを伝えた。
「……ってことは、サヤ……さん……さま?」
「どっちでもいいよ。なくったっていい」
「で、では。サヤさんはもう一つの空間に戻られて、もう行ってしまった後はこちらに戻れない……ってこと?」
エレーナがハルナが一番気にしている状況をまとめ、その認識で間違いないことをハルナに確認する。
そしてハルナは、いまエレーナが確認した内容で間違いがないと返事をする。
エレーナはハルナからの返事を聞き、正直なところホッとしていた。
一番問題と感じていたのは、ハルナ自身の身に何か起きることと、ハルナがこの世界から消えてしまうということだった。
エレーナたちは、ハルナが別の世界からやってきたことを知っている。
ハルナは神の能力を得てから、自分には手の届かない存在となってしまっていた。さらに元の世界の知人であるサヤと組んでから、大精霊たちをも超えるほどの存在となってしまった。
そんな二人が、元の世界へ帰る方法を見つけ出し、自分たちの目の前から消えてしまうことにエレーナ……エレーナたちは怯えていた。
だが、今回の話を聞きエレーナたちはホッとしていた。
サヤがどこかに行ってしまおうとも、エレーナたちには何の問題もなかった。その不安が解消されたエレーナは、あることが気になった。
「ねぇ……そのもう一つの世界には他に誰かいけないの?」
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