千年恋物語~何度生まれ変わっても、また君に恋をする~【R18】

白夜

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34話 お月様

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 『おいていかないで…』



涙を流しながら…


ずっと、そう言ってーーー。


『…もう…泣かない…でよ…。』

籠った小さな声


『陽向が俺を泣かせてるから…』


陽向の手が俺の涙に触れて


『…もう…おいていったりしないよ…。』


優しい顔でそう言った。



『絶対だからなっ!!』


ゆっくりと瞬きをして、そのまま瞳を閉じた陽向。


陽向の手をずっと握って

その温度を確かめていた。


冷たくなることのない手をずっと握って


陽向の呼吸が一定のリズムに落ち着いて


陽向が眠りに就いた。


『…おやすみ…陽向……大好きだよ…。』

安心した、とても穏やかな気持ちで、心の奥から出た言葉だった。


『…う…ん…。』


その返事に…
俺は焦って陽向の顔を覗き込んだ。


確かに返事をしたと思ったけど…
陽向は眠っていた


寝言だったのかな…?


返事をした様に思えたのは、気のせいだったのかもしれない…。



陽向の高熱の原因は肺炎

1週間入院したが、無事に退院して

何事もなかったかのように、また、日常生活に戻った。



陽向の入院以来、俺はまた前世みたいに取り残されて、陽向が俺よりも先にこの世を去るなんてことがあれば…



きっと、俺は耐えられない…

きっと、壊れてしまう…


だから…


悔いのないように!
今を精一杯生きようと思う。


陽向とたくさん過ごして


たくさん思い出つくって


少しでも陽向の近くで


いっしょに笑って、未来を目指したいっ!



前世にばかり縛られていたら、何も進まない。


俺が生きてるのは、今だから!!





レッスンが終わって

『なぁ、今日これからメシ行かない?』

少しでも、一緒に居たいから誘える時は誘う!!



『おうっ!いいよ!ひーくんのおごり?』

ご機嫌な陽向


『しゃーないな!何食べたい?』


荷物をまとめて、レッスン場を後にする


歩きながら

『ん~ひーくんの好きな玉子焼きがある、美味しいお寿司やさん!!』


『高くついたわ!!まぁいっか!』


『よっしゃー!寿司!!』


寿司屋に向かって歩いてく

前世の事や、カラダを重ねてしまった事…


そんな事なにもかも胸にしまって

穏やかなふたりの時間が流れてた


カウンターで一緒にお寿司を食べる


当たり前のように玉子焼きを俺にくれて


たくさん食べる陽向をみて


幸せな時間を味わった



お腹いっぱいになって


心まで満たされたようなそんな気持ちだった




このままの関係を続けられるなら、それが一番いい!!


蕩けるような甘いセックスなんて、忘れてしまえばいいのかもしれない。


一度覚えてしまったカラダが、陽向を忘れるには、時間がかかるかもしれない


でも、いつか…

陽向とした甘い行為が、夢じゃなかったと思えるようになるまで


この穏やかな関係を続けられれば


それでいいのかもしれない…。



そう思える様になった





それなのに…



今日は、まん丸なお月様が帰る俺たちを照らしていた。


あの日みたいな…



大きなまん丸の月が…



頭の中は、遠い昔を思い出していた。


陽向が陽向じゃなかった頃

どれくらい前の前世だっただろうか?


今日みたいなまん丸の満月をふたりで見ていた



そして…


その時のセリフが思い出された



『…月が…綺麗…だね…』

俺が言うと



陽向はゆっくりと優しい表情になって

『君と見ているから綺麗なのかもね』


陽向は俺を見て、そう言った。


えっ?

えっーーーーっ?



もしかして?


陽向が言ったのは…


遠い昔のあの日のセリフ。

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