短編集【10話執筆中】

薄明 喰

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I can't stand myself

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兄上と乗馬をした日から、頻繁に兄上と馬の所へ行くようになった。

乗らない日もあるけど、その時は馬の体を洗ってあげたり、ブラシでといてあげたりしている。



そして馬はユピテルと名付けられ、正式に僕の愛馬として登録された。










そして18歳になった僕は今、本家の正門前で緊張のあまり嘔吐して気絶しそうである。

14歳から復学して、復学するまでに基礎知識を兄上が教えてくれたから休学する前のような悲惨な点数をテストでとることもなくなったし、問題の意味がよく分かるようになった。



父上と兄上の僕に対する態度から僕たちの関係性が変わったことは周りにも伝わったようで、以前のようにすれ違いざまに足を引っ掛けられたり、罵られることはほとんどなくなった。


それから弟レオレイルとも話す様になった。



嫌がるレオレイルを兄上が街の家に連れてきて、『強制、三兄弟の時間』という兄上しか笑わない時間を何度も繰り返した結果、レオレイルは突然うわーって叫びだして、兄上に「ゆっくり飲み込ませてくれよ!兄上と違って俺は最近までもう一人兄上が居るなんて知らなかったんだぞ!しかもこんなちっこくて触れたらすぐ壊れそうなのが!」と怒って、その後何故かすぐにすんなり僕を受け入れた。


突然受け入れられて、あの頃の僕はレオレイルの勢いに怯え今度は僕がレオレイルを避けるようになったのだけど…避けても兄上とレオレイルにすぐ捕獲されて、『強制、三兄弟の時間』は続いた。


尚、その時間は兄上が婚約者さんと結婚した今も続いている。







そして本家の門前で僕が吐きそうになっている理由なのだけど…今日僕は、母上と対面するのだ。

今日まで僕の持ち得る限りの知識と力で母上と会うこの日を無くそうと色々やってみたのだけど、その全てを父上、兄上、レオレイルに阻止された。



しかも最終的には今朝まで僕が逃げないように部屋に軟禁されてた。

僕は何度も説得を試みた。


母上が可哀想すぎる!って。
僕の事なんて忘れたまま、もう二度と思い出さなければいい。

そうして、僕のこと何て忘れ去って穏やかな毎日をおくって欲しいのだ。




もう今更、僕は母親や家族に憧れも期待もないのだから。





そう告げたら父上も兄上も、レオレイルも皆が泣いて、そう言えば少し前にも似たようなことを口にして泣かしてしまったなと思い出す。

どうやら、僕が家族に期待していないという発言がダメだったらしい。



でも誤解しないで欲しい。

傍から見たら今までの僕の扱いは酷いのかもしれないが、僕は父上達を含める周りの僕に対する扱いを酷いと思ったことはないし、責める気持ちも少しもないのだ。



小さい頃は彼等の近くに行きたい、僕もあの優しくて楽しそうな世界に入れて欲しいって思ってたけど…近くに行けなくても、僕は離れた所で身を隠し、優しい音を耳にする時間を楽しんでいたし、それで満足してた。


僕が居ない世界の何と優しく美しいことか…





きっとこの世で誰よりも僕が僕の存在を許せないのだ。
そして、誰よりも僕は僕に消えて欲しいって思ってる。



僕の居ない優しくて美しい世界が良い。





だから、父上達が僕のことで涙を流すのは間違っている。






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