王家の影一族に転生した僕にはどうやら才能があるらしい。(完結)

薄明 喰

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第1章

番犬そして暗い部屋

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夜中に彼等の威嚇する鳴き声を耳にしたことは何度もある。

だけど、僕が初めて彼らの前に立った時から彼らはしっぽをちぎれんばかりに振り姿勢を低くして僕を倒さないように優しく身体中舐めてきた。


なんで?と疑問は今もあるけど、嬉しいので僕も地面に座って彼等を受け入れる。




黙って座り犬に舐められまくる3歳児と僕を囲って舐めまくる犬たち。

いつも犬達をお世話してる調教師は何とも言えない顔でそんな僕達を見ている。


ヨハネスも微妙なお顔してるけど、座る僕のお尻の下にさっとハンカチを引いてくれている。





犬達が満足するまで舐められる僕は、偶に止まらない犬達にべっちょべっちょにされ見かねたヨハネスに抱き上げられる。


それに満足してない犬達はヨハネスに向かって吠えまくる。



ワン!

グルルルル


この時の顔は少し番犬さが垣間見える。



「またくるね。」

でも僕が手を振るとさっきまでの顔が嘘の様に可愛い顔をしてキャンと鳴く。

そのあまりの変わり様が面白くて可愛い。


ヨハネスはうんざりしてるけど。





ヨハネスに抱かれたまま、犬小屋を出ようとした時急に空気が変わった。

ピリッとしてヨハネスも調教師も鋭い目をしている。


犬達も低く唸り、リードを外された瞬間犬小屋の外に飛び出して行った。




グゴォォォオォォオ


犬達が飛び出して行ってすぐに低い唸り声が聞こえてきた。

その声には魔力が混じっているのか地面が大きく揺れた。




「ルナイス様、避難室へ。」

ヨハネスはそう言って僕を抱えたまま走り出す。


屋敷の方へ向かう僕達とは逆に屋敷から外に出ていく使用人達とすれ違ったが、皆険しい表情をしていた。

チラリと見えた屋敷の門付近には大きな黒いドロドロとした何かと、それを囲い剣を使っての攻撃を仕掛ける者や魔法を使っている者などが居た。


その中には先ほど犬小屋の外へ飛び出していった犬達もいて、彼等も魔力を使ったりしながら大きな黒いドロドロした何かへ勇敢に挑んでいる。





「坊ちゃま!ご無事ですか!」

屋敷に入ってすぐにばぁやが僕達の所へ駆け寄ってきて、僕に怪我がないことを確認してすぐにスタスタと屋敷の奥へ歩き出す。

ヨハネスは避難室と言っていたが、僕は屋敷の中にそんな部屋があることを知らなかった。

ばぁやは普段は入ってはいけないと言っていた地下へ続く階段を降りていく。


そこは真っ暗で明かり一つないけど、ばぁやもヨハネスも明かりを灯すことなくズンズン進んでいく。

暗すぎてどこに何があるのか僕には分からないけれど、ばぁやもヨハネスもまるで見えているように歩いて行く。



しばらく歩いて辿り着いたのは、少しほこりっぽい部屋。

此処でもばぁやもヨハネスも明かりをつけることはないようだ。



「坊っちゃま、暗いですがすぐ側におりますので安心してくださいね。」

ばぁやの声がしてすぐ側にちゃんとばぁやが居ることが分かる。

暗いのは平気だ。
闇属性だし。


でも闇属性故に僕にはこの暗闇に不安があった。


それは不意に闇の中に体が沈んでしまいそうになることだ。





ヨハネスに抱えられているから何とか闇に沈まないでいられるけど、離されたら沈む自信が僕にはある。


「ヨハネス。」


ヨハネスに離さないで欲しくて、名前を呼びぎゅっと抱きつくと僕が怖がっていると思ったのか「大丈夫です」と声をかけられより強く抱きしめられた。


ヨハネ達が心配してるのとは違う理由で怖いんだけど、それは今言わなくてもいいだろう。




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