王家の影一族に転生した僕にはどうやら才能があるらしい。(完結)

薄明 喰

文字の大きさ
37 / 427
第1章

血桜

しおりを挟む
デスコラプションが家に出現してから1週間。


とーさまとにぃ様が不在の時に現れたこともあり僕の警護が強化された。

世話係は変わらずばぁや

護衛にヨハネスとコルダ

常にこの3人が僕に着いていてくれることになったのだ。




と言ってもパッと見は以前と変わらずばぁやとヨハネスが側にいて、コルダは何処にいるのかあんまり分からない。

暗躍するのが得意なコルダは陰ながら僕を護衛してくれている。



この状態になってから僕は密かに行っていた闇魔法の修行ができなくなってしまった。

コルダが何時どのように僕を見ているのかが分からないからだ。



別にバレても良いんだけど…今のタイミングではとーさまの胃に穴が空いてしまいそうで恐ろしい。

なので、まだしばらくは修行は止めておこうと思う。





デスコラプションは出現した翌々日には聖職者さん達によって浄化され跡形もなく消えた。

残された荒れた場は優秀な使用人達の手によって直され、今では桜の赤色バージョンの木が植えられている。



血桜ちざくらと言って美しいけど、散って地に落ちた桜の花びら達がまるで事故現場。

しかし夜に月明かりに照らされながら花弁を散らすその様はほぅっと息を零して見惚れてしまうほどに美しい。



とても珍しい植物で、とーさまが隣国に行った時に手に入れたのだとか。




昨日まではまだデスコラプションの腐敗臭が残っていて血桜の傍に行けなかったけど、今日からは近寄ってもいいとばぁやに言われさっそく血桜の元へやってきている。


遠くから見ても美しかったけど、近くで見ても美しい木だ。




近くで見て更に血桜が気に入った僕は、血桜の側にシートを敷いてもらって寝転がってぼーっと血桜を鑑賞している。






寝転がっている僕の傍にはばぁやが居て、ヨハネスが居て、たぶん何処かにコルダが居る。

途中でばぁやがランチにしようと言ったけど、どうしても動きたくなかった僕はランチを血桜の下で食べることにした。


急遽ピクニック風に変えてもらったお昼ご飯をシートの上で食す。
だけど、ついつい血桜に見とれて手が止まってしまってはばぁやに促されてまた食べる。


ランチが終わってもぼうっと血桜を眺めてゴロゴロする僕。 

そんな花見が終わったのは周りが暗くなってきて、とーさまが帰って来られるまで。




「血桜が気に入ったか。」

たぶんとーさまが帰ってきたことをばぁやが教えてくれていたのだと思うけど、聞く耳を持たなかった僕はとーさまに抱き上げられて、やっととーさまが帰ってきたことに気が付いた。

そして辺りが既に暗いことにもその時になって気が付いた。



「すき。」


「そうか。部屋に飾るか?」



とーさまに言われて考える。

枝を折ったりするのは嫌だけど、血桜を今日みたいに毎日見るのは難しいだろう。


僕は何時間でも眺めていられるけど、ばぁややヨハネス、コルダにはつまらない時間だろうし…。


でも…




「えだを折るのいやです。」

口を尖らせてとーさまの肩にすりすりと額を擦りつける。

今日はずっとまどろんでいたけど、お昼寝はしていない。
ちょっと眠たいのもあって、少し甘えん坊の気持ちになってしまう。



「大丈夫だ。部屋に置ける小さな血桜がある。」

僕の頭を撫でながらとーさまが言った言葉に嬉しい気持ちが湧き上がる。


「お願いします、ぜひ。」

「っふ…ではすぐに手配しよう。ルナイスはまず体を温めろ。」



とーさまに言われて僕の体が冷えていることに気が付く。




「ルナイス、一緒にお風呂に入ろう。」

屋敷の玄関でいつの間にか立っていたにぃ様が僕を抱えたとーさまから僕を受け取り、眉を下げて言う。


とーさまが帰ってくるよりも前ににぃ様は帰ってきているはずだから、たぶん僕はにぃ様にも気が付くことなく血桜に夢中になっていたんだ。



「にぃ様。」

「うん。やっと僕を見たね。」

僕が名前を呼ぶと、にぃ様は本当に嬉しそうにそして少しほっとした様子で笑う。


「にぃ様、ごめんなさい。」


「かまわない。」


にぃ様にきちんと謝って、僕はにぃ様と一緒にお風呂へ。




お風呂の中で何度もにぃ様の名前を呼ぶ。

何度呼んでもにぃ様は笑って嬉しそうに返事をしてくれた。




そして次の日の朝、目を覚ました僕の目には前世の世界にあった盆栽のように置かれた血桜があった。




しおりを挟む
感想 59

あなたにおすすめの小説

虚ろな檻と翡翠の魔石

篠雨
BL
「本来の寿命まで、悪役の身体に入ってやり過ごしてよ」 不慮の事故で死んだ僕は、いい加減な神様の身勝手な都合により、異世界の悪役・レリルの器へ転生させられてしまう。 待っていたのは、一生を塔で過ごし、魔力を搾取され続ける孤独な日々。だが、僕を管理する強面の辺境伯・ヨハンが運んでくる薪や食事、そして不器用な優しさが、凍てついた僕の心を次第に溶かしていく。 しかし、穏やかな時間は長くは続かない。魔力を捧げるたびに脳内に流れ込む本物のレリルの記憶と領地を襲う未曾有の魔物の群れ。 「僕が、この場所と彼を守る方法はこれしかない」 記憶に翻弄され頭は混乱する中、魔石化するという残酷な決断を下そうとするが――。

いらない子の悪役令息はラスボスになる前に消えます

日色
BL
「ぼく、あくやくれいそくだ」弟の誕生と同時に前世を思い出した七海は、悪役令息キルナ=フェルライトに転生していた。闇と水という典型的な悪役属性な上、肝心の魔力はほぼゼロに近い。雑魚キャラで死亡フラグ立ちまくりの中、なぜか第一王子に溺愛され!?

存在感のない聖女が姿を消した後 [完]

風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは 永く仕えた国を捨てた。 何故って? それは新たに現れた聖女が ヒロインだったから。 ディアターナは いつの日からか新聖女と比べられ 人々の心が離れていった事を悟った。 もう私の役目は終わったわ… 神託を受けたディアターナは 手紙を残して消えた。 残された国は天災に見舞われ てしまった。 しかし聖女は戻る事はなかった。 ディアターナは西帝国にて 初代聖女のコリーアンナに出会い 運命を切り開いて 自分自身の幸せをみつけるのだった。

婚約者の王子様に愛人がいるらしいが、ペットを探すのに忙しいので放っておいてくれ。

フジミサヤ
BL
「君を愛することはできない」  可愛らしい平民の愛人を膝の上に抱え上げたこの国の第二王子サミュエルに宣言され、王子の婚約者だった公爵令息ノア・オルコットは、傷心のあまり学園を飛び出してしまった……というのが学園の生徒たちの認識である。  だがノアの本当の目的は、行方不明の自分のペット(魔王の側近だったらしい)の捜索だった。通りすがりの魔族に道を尋ねて目的地へ向かう途中、ノアは完璧な変装をしていたにも関わらず、何故かノアを追ってきたらしい王子サミュエルに捕まってしまう。 ◇拙作「僕が勇者に殺された件。」に出てきたノアの話ですが、一応単体でも読めます。 ◇テキトー設定。細かいツッコミはご容赦ください。見切り発車なので不定期更新となります。

竜帝陛下の愛が重すぎて身代わりの落ちこぼれ薬師は今日も腰が砕けそうです 〜呪いを解いたら一生離さないと宣言されました〜

レイ
BL
「死ぬ覚悟はできています。でも、その前に……お口、あーんしてください」 魔力を持たない「無能」として実家で虐げられていた薬師のエリアン。 彼に下されたのは、触れるものすべてを焼き尽くす「死の竜帝」ヴァレリウスへの、身代わりの婚姻だった。

秘匿された第十王子は悪態をつく

なこ
BL
ユーリアス帝国には十人の王子が存在する。 第一、第二、第三と王子が産まれるたびに国は湧いたが、第五、六と続くにつれ存在感は薄れ、第十までくるとその興味関心を得られることはほとんどなくなっていた。 第十王子の姿を知る者はほとんどいない。 後宮の奥深く、ひっそりと囲われていることを知る者はほんの一握り。 秘匿された第十王子のノア。黒髪、薄紫色の瞳、いわゆる綺麗可愛(きれかわ)。 ノアの護衛ユリウス。黒みかがった茶色の短髪、寡黙で堅物。塩顔。 少しずつユリウスへ想いを募らせるノアと、頑なにそれを否定するユリウス。 ノアが秘匿される理由。 十人の妃。 ユリウスを知る渡り人のマホ。 二人が想いを通じ合わせるまでの、長い話しです。

【完結】伴侶がいるので、溺愛ご遠慮いたします

  *  ゆるゆ
BL
3歳のノィユが、カビの生えてないご飯を求めて結ばれることになったのは、北の最果ての領主のおじいちゃん……え、おじいちゃん……!? しあわせの絶頂にいるのを知らない王子たちが、びっくりして憐れんで溺愛してくれそうなのですが、結構です! めちゃくちゃかっこよくて可愛い伴侶がいますので! ノィユとヴィルの動画を作ってみました!(笑)  インスタ @yuruyu0   Youtube @BL小説動画 です!  プロフのwebサイトから飛べるので、もしよかったらお話と一緒に楽しんでくださったら、とてもうれしいです! ヴィル×ノィユのお話です。 本編完結しました! 『もふもふ獣人転生』に遊びにゆく舞踏会編、完結しました! 時々おまけのお話を更新するかもです。 名前が  *   ゆるゆ  になりましたー! 中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!

転生したら、主人公の宿敵(でも俺の推し)の側近でした

リリーブルー
BL
「しごとより、いのち」厚労省の過労死等防止対策のスローガンです。過労死をゼロにし、健康で充実して働き続けることのできる社会へ。この小説の主人公は、仕事依存で過労死し異世界転生します。  仕事依存だった主人公(20代社畜)は、過労で倒れた拍子に異世界へ転生。目を覚ますと、そこは剣と魔法の世界——。愛読していた小説のラスボス貴族、すなわち原作主人公の宿敵(ライバル)レオナルト公爵に仕える側近の美青年貴族・シリル(20代)になっていた!  原作小説では悪役のレオナルト公爵。でも主人公はレオナルトに感情移入して読んでおり彼が推しだった! なので嬉しい!  だが問題は、そのラスボス貴族・レオナルト公爵(30代)が、物語の中では原作主人公にとっての宿敵ゆえに、原作小説では彼の冷酷な策略によって国家間の戦争へと突き進み、最終的にレオナルトと側近のシリルは処刑される運命だったことだ。 「俺、このままだと死ぬやつじゃん……」  死を回避するために、主人公、すなわち転生先の新しいシリルは、レオナルト公爵の信頼を得て歴史を変えようと決意。しかし、レオナルトは原作とは違い、どこか寂しげで孤独を抱えている様子。さらに、主人公が意外な才覚を発揮するたびに、公爵の態度が甘くなり、なぜか距離が近くなっていく。主人公は気づく。レオナルト公爵が悪に染まる原因は、彼の孤独と裏切られ続けた過去にあるのではないかと。そして彼を救おうと奔走するが、それは同時に、公爵からの執着を招くことになり——!?  原作主人公ラセル王太子も出てきて話は複雑に! 見どころ ・転生 ・主従  ・推しである原作悪役に溺愛される ・前世の経験と知識を活かす ・政治的な駆け引きとバトル要素(少し) ・ダークヒーロー(攻め)の変化(冷酷な公爵が愛を知り、主人公に執着・溺愛する過程) ・黒猫もふもふ 番外編では。 ・もふもふ獣人化 ・切ない裏側 ・少年時代 などなど 最初は、推しの信頼を得るために、ほのぼの日常スローライフ、かわいい黒猫が出てきます。中盤にバトルがあって、解決、という流れ。後日譚は、ほのぼのに戻るかも。本編は完結しましたが、後日譚や番外編、ifルートなど、続々更新中。

処理中です...