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第1章
血桜
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デスコラプションが家に出現してから1週間。
とーさまとにぃ様が不在の時に現れたこともあり僕の警護が強化された。
世話係は変わらずばぁや
護衛にヨハネスとコルダ
常にこの3人が僕に着いていてくれることになったのだ。
と言ってもパッと見は以前と変わらずばぁやとヨハネスが側にいて、コルダは何処にいるのかあんまり分からない。
暗躍するのが得意なコルダは陰ながら僕を護衛してくれている。
この状態になってから僕は密かに行っていた闇魔法の修行ができなくなってしまった。
コルダが何時どのように僕を見ているのかが分からないからだ。
別にバレても良いんだけど…今のタイミングではとーさまの胃に穴が空いてしまいそうで恐ろしい。
なので、まだしばらくは修行は止めておこうと思う。
デスコラプションは出現した翌々日には聖職者さん達によって浄化され跡形もなく消えた。
残された荒れた場は優秀な使用人達の手によって直され、今では桜の赤色バージョンの木が植えられている。
血桜と言って美しいけど、散って地に落ちた桜の花びら達がまるで事故現場。
しかし夜に月明かりに照らされながら花弁を散らすその様はほぅっと息を零して見惚れてしまうほどに美しい。
とても珍しい植物で、とーさまが隣国に行った時に手に入れたのだとか。
昨日まではまだデスコラプションの腐敗臭が残っていて血桜の傍に行けなかったけど、今日からは近寄ってもいいとばぁやに言われさっそく血桜の元へやってきている。
遠くから見ても美しかったけど、近くで見ても美しい木だ。
近くで見て更に血桜が気に入った僕は、血桜の側にシートを敷いてもらって寝転がってぼーっと血桜を鑑賞している。
寝転がっている僕の傍にはばぁやが居て、ヨハネスが居て、たぶん何処かにコルダが居る。
途中でばぁやがランチにしようと言ったけど、どうしても動きたくなかった僕はランチを血桜の下で食べることにした。
急遽ピクニック風に変えてもらったお昼ご飯をシートの上で食す。
だけど、ついつい血桜に見とれて手が止まってしまってはばぁやに促されてまた食べる。
ランチが終わってもぼうっと血桜を眺めてゴロゴロする僕。
そんな花見が終わったのは周りが暗くなってきて、とーさまが帰って来られるまで。
「血桜が気に入ったか。」
たぶんとーさまが帰ってきたことをばぁやが教えてくれていたのだと思うけど、聞く耳を持たなかった僕はとーさまに抱き上げられて、やっととーさまが帰ってきたことに気が付いた。
そして辺りが既に暗いことにもその時になって気が付いた。
「すき。」
「そうか。部屋に飾るか?」
とーさまに言われて考える。
枝を折ったりするのは嫌だけど、血桜を今日みたいに毎日見るのは難しいだろう。
僕は何時間でも眺めていられるけど、ばぁややヨハネス、コルダにはつまらない時間だろうし…。
でも…
「えだを折るのいやです。」
口を尖らせてとーさまの肩にすりすりと額を擦りつける。
今日はずっとまどろんでいたけど、お昼寝はしていない。
ちょっと眠たいのもあって、少し甘えん坊の気持ちになってしまう。
「大丈夫だ。部屋に置ける小さな血桜がある。」
僕の頭を撫でながらとーさまが言った言葉に嬉しい気持ちが湧き上がる。
「お願いします、ぜひ。」
「っふ…ではすぐに手配しよう。ルナイスはまず体を温めろ。」
とーさまに言われて僕の体が冷えていることに気が付く。
「ルナイス、一緒にお風呂に入ろう。」
屋敷の玄関でいつの間にか立っていたにぃ様が僕を抱えたとーさまから僕を受け取り、眉を下げて言う。
とーさまが帰ってくるよりも前ににぃ様は帰ってきているはずだから、たぶん僕はにぃ様にも気が付くことなく血桜に夢中になっていたんだ。
「にぃ様。」
「うん。やっと僕を見たね。」
僕が名前を呼ぶと、にぃ様は本当に嬉しそうにそして少しほっとした様子で笑う。
「にぃ様、ごめんなさい。」
「かまわない。」
にぃ様にきちんと謝って、僕はにぃ様と一緒にお風呂へ。
お風呂の中で何度もにぃ様の名前を呼ぶ。
何度呼んでもにぃ様は笑って嬉しそうに返事をしてくれた。
そして次の日の朝、目を覚ました僕の目には前世の世界にあった盆栽のように置かれた血桜があった。
とーさまとにぃ様が不在の時に現れたこともあり僕の警護が強化された。
世話係は変わらずばぁや
護衛にヨハネスとコルダ
常にこの3人が僕に着いていてくれることになったのだ。
と言ってもパッと見は以前と変わらずばぁやとヨハネスが側にいて、コルダは何処にいるのかあんまり分からない。
暗躍するのが得意なコルダは陰ながら僕を護衛してくれている。
この状態になってから僕は密かに行っていた闇魔法の修行ができなくなってしまった。
コルダが何時どのように僕を見ているのかが分からないからだ。
別にバレても良いんだけど…今のタイミングではとーさまの胃に穴が空いてしまいそうで恐ろしい。
なので、まだしばらくは修行は止めておこうと思う。
デスコラプションは出現した翌々日には聖職者さん達によって浄化され跡形もなく消えた。
残された荒れた場は優秀な使用人達の手によって直され、今では桜の赤色バージョンの木が植えられている。
血桜と言って美しいけど、散って地に落ちた桜の花びら達がまるで事故現場。
しかし夜に月明かりに照らされながら花弁を散らすその様はほぅっと息を零して見惚れてしまうほどに美しい。
とても珍しい植物で、とーさまが隣国に行った時に手に入れたのだとか。
昨日まではまだデスコラプションの腐敗臭が残っていて血桜の傍に行けなかったけど、今日からは近寄ってもいいとばぁやに言われさっそく血桜の元へやってきている。
遠くから見ても美しかったけど、近くで見ても美しい木だ。
近くで見て更に血桜が気に入った僕は、血桜の側にシートを敷いてもらって寝転がってぼーっと血桜を鑑賞している。
寝転がっている僕の傍にはばぁやが居て、ヨハネスが居て、たぶん何処かにコルダが居る。
途中でばぁやがランチにしようと言ったけど、どうしても動きたくなかった僕はランチを血桜の下で食べることにした。
急遽ピクニック風に変えてもらったお昼ご飯をシートの上で食す。
だけど、ついつい血桜に見とれて手が止まってしまってはばぁやに促されてまた食べる。
ランチが終わってもぼうっと血桜を眺めてゴロゴロする僕。
そんな花見が終わったのは周りが暗くなってきて、とーさまが帰って来られるまで。
「血桜が気に入ったか。」
たぶんとーさまが帰ってきたことをばぁやが教えてくれていたのだと思うけど、聞く耳を持たなかった僕はとーさまに抱き上げられて、やっととーさまが帰ってきたことに気が付いた。
そして辺りが既に暗いことにもその時になって気が付いた。
「すき。」
「そうか。部屋に飾るか?」
とーさまに言われて考える。
枝を折ったりするのは嫌だけど、血桜を今日みたいに毎日見るのは難しいだろう。
僕は何時間でも眺めていられるけど、ばぁややヨハネス、コルダにはつまらない時間だろうし…。
でも…
「えだを折るのいやです。」
口を尖らせてとーさまの肩にすりすりと額を擦りつける。
今日はずっとまどろんでいたけど、お昼寝はしていない。
ちょっと眠たいのもあって、少し甘えん坊の気持ちになってしまう。
「大丈夫だ。部屋に置ける小さな血桜がある。」
僕の頭を撫でながらとーさまが言った言葉に嬉しい気持ちが湧き上がる。
「お願いします、ぜひ。」
「っふ…ではすぐに手配しよう。ルナイスはまず体を温めろ。」
とーさまに言われて僕の体が冷えていることに気が付く。
「ルナイス、一緒にお風呂に入ろう。」
屋敷の玄関でいつの間にか立っていたにぃ様が僕を抱えたとーさまから僕を受け取り、眉を下げて言う。
とーさまが帰ってくるよりも前ににぃ様は帰ってきているはずだから、たぶん僕はにぃ様にも気が付くことなく血桜に夢中になっていたんだ。
「にぃ様。」
「うん。やっと僕を見たね。」
僕が名前を呼ぶと、にぃ様は本当に嬉しそうにそして少しほっとした様子で笑う。
「にぃ様、ごめんなさい。」
「かまわない。」
にぃ様にきちんと謝って、僕はにぃ様と一緒にお風呂へ。
お風呂の中で何度もにぃ様の名前を呼ぶ。
何度呼んでもにぃ様は笑って嬉しそうに返事をしてくれた。
そして次の日の朝、目を覚ました僕の目には前世の世界にあった盆栽のように置かれた血桜があった。
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