39 / 425
第1章
僕のしるし
しおりを挟む
僕は部屋に置かれた小さな血桜をとても気に入って、庭師にアドバイスをもらいながら大切に育てている。
僕の持ち物に一目見て僕の!って分かるマークを付けるのもいいかもしれない、と思って紙にドラゴンと血桜の絵を描いてばぁやに見せた。
ばぁやはすぐに僕の小さな鞄にドラゴンと血桜の僕がデザインしたマークを刺繍してくれた。
嬉しくてどこにも出かける用事もないのに鞄をかけてユエ(ドラゴンのぬいぐるみ)も抱えて家中をうろちょろ歩いてしまう。
使用人達は微笑ましそうに僕を見守ってくれている。
ウロウロ ウロウロしているととーさまの書斎近くでワイアットに出会った。
「ワイアット、みて!」
ちょっと自慢するようにワイアットに刺繍をしてもらった鞄を見せる。
「ドラゴンと血桜ですか、とてもよい刺繍ですね。」
褒められてついつい胸をはっちゃう。
「当主様にもぜひ見せてあげてください。」
ワイアットに言われてとーさまが今日はお家でお仕事の日だと知る。
書斎の中に誘われてちょっと忍び足で中に足を踏み入れる。
とーさまは休憩中なのかソファの背凭れにのけぞって重たい溜息を吐き出していた。
この頃僕のこともあって忙しくしているとーさまの顔色は悪い日が多い。
…
罪悪感。
「ルナイス?」
とーさまのお疲れの原因になっている自分を改めて自覚して俯いていると優しい声に名前を呼ばれた。
「…とーさま。」
「どうした。」
小さい声でついとーさまを呼ぶととーさまはソファから立ち上がって僕の所まで来て、すっと僕を抱き上げた。
「…ルナイス、その鞄は?」
とーさまが僕が肩から斜めに下げている鞄に気が付いて聞いてきて、そう言えばワイアットにとーさまに見せてあげてっと言われていたのだったと思い出す。
「これ…ばぁやにぬってもらいました。」
何だか勝手に気まずい僕はそう言って控えめにとーさまに鞄に縫ってもらった刺繍を見せる。
「僕のってしるし、です。」
「なるほど。ドラゴンと血桜か。良い印を考えたな。」
とーさまはうむって大きく頷いて僕の考えたマークを褒めてくれた。
今まではニコニコ笑って微笑ましそうに褒められていたけど、とーさまは違う。
お顔が真剣だ。
とーさまは真剣にしるしを良いと褒めてくれている。
そのことが思いのほか嬉しくてとーさまにぎゅっと抱き着いてしまった。
「とーさま…ごめんなさい。」
「なにがだ。」
「僕のせい…忙しくさせて、ごめんなさい。」
僕の突然の謝罪にとーさまは困惑顔。
何でごめんなさいなのかを伝えるととーさまは「あぁ」とため息に似た声を漏らした。
「ルナイスのせいではない。私が疲れているのは害虫共のせいだ。」
「がいちゅー?」
僕が首を傾げると、とーさまは突然僕の首のところに顔を埋めてぐりぐりっとしてきた。
くすぐったくてついクスクスと笑い声が零れちゃう。
「もうすぐ休みがとれる予定だ。アドルファスとも一緒に少し出かけるか。」
ふぅっと僕の首元から顔を離したとーさまの言葉に強く頷いて見せた。
とーさまとにぃ様お二人一緒には滅多にない。
この機会を逃してしまえば、次があるかも分からない。
何度も頷く僕にとーさまは笑って「もういい、分かったから」と額にキスを送ってくれた。
その後は部屋で愛でている血桜のお話や僕のドラゴン、ユエがばぁやの手によって洗われてしまった悲劇のお話をした。
ある時、お昼寝から目が覚めた僕の腕の中にユエがいなくて探し回って部屋に入ってきたばぁやに半泣きでユエがいないと伝えると汚れが目立ってきたから洗ったと言われた衝撃たるや。
慌ててユエを返してと言う僕にばぁやは手洗いをしたから大丈夫だなんて見当違いなことを言うから、部屋を飛び出していつも使用人達が洗濯物をしている場所に走り、そして見つけたのは紐と紐の間の網の上に干されたユエの姿。
急いでユエを救出しようとしたけれど、悲しいことに身長が足りなくてぴょんぴょん跳ねて手を伸ばす僕をどこからか現れたコルダが抱き上げた。
ユエを救出するのを手伝ってくれるのだと思ったけど、コルダはユエと僕を引き離しユエは濡れているから日光浴をさせてあげないと、っと説得された。
冷静になった頭で考えればどんなに大切に扱っていてもユエは確かに汚れていたし、きちんと網の上に寝かされていて、吊るされていないのだから安心だし、手洗いをしてくれたばぁやにはきちんとお礼を言わないといけない。
寝起きに突然ユエがいなくなっていたことがショックで、つい取り乱してしまったけど僕は部屋に戻ってばぁやにユエが日光浴を終えたらすぐに僕のところに連れて帰ってきてねっと伝えて仲直りのぎゅっをした。
とーさまはそんな話をきちんと聞いてくれて、ワイアットがそろそろ仕事を再開しますよっと言いに来るまでとーさまと色んなお話をした。
僕の持ち物に一目見て僕の!って分かるマークを付けるのもいいかもしれない、と思って紙にドラゴンと血桜の絵を描いてばぁやに見せた。
ばぁやはすぐに僕の小さな鞄にドラゴンと血桜の僕がデザインしたマークを刺繍してくれた。
嬉しくてどこにも出かける用事もないのに鞄をかけてユエ(ドラゴンのぬいぐるみ)も抱えて家中をうろちょろ歩いてしまう。
使用人達は微笑ましそうに僕を見守ってくれている。
ウロウロ ウロウロしているととーさまの書斎近くでワイアットに出会った。
「ワイアット、みて!」
ちょっと自慢するようにワイアットに刺繍をしてもらった鞄を見せる。
「ドラゴンと血桜ですか、とてもよい刺繍ですね。」
褒められてついつい胸をはっちゃう。
「当主様にもぜひ見せてあげてください。」
ワイアットに言われてとーさまが今日はお家でお仕事の日だと知る。
書斎の中に誘われてちょっと忍び足で中に足を踏み入れる。
とーさまは休憩中なのかソファの背凭れにのけぞって重たい溜息を吐き出していた。
この頃僕のこともあって忙しくしているとーさまの顔色は悪い日が多い。
…
罪悪感。
「ルナイス?」
とーさまのお疲れの原因になっている自分を改めて自覚して俯いていると優しい声に名前を呼ばれた。
「…とーさま。」
「どうした。」
小さい声でついとーさまを呼ぶととーさまはソファから立ち上がって僕の所まで来て、すっと僕を抱き上げた。
「…ルナイス、その鞄は?」
とーさまが僕が肩から斜めに下げている鞄に気が付いて聞いてきて、そう言えばワイアットにとーさまに見せてあげてっと言われていたのだったと思い出す。
「これ…ばぁやにぬってもらいました。」
何だか勝手に気まずい僕はそう言って控えめにとーさまに鞄に縫ってもらった刺繍を見せる。
「僕のってしるし、です。」
「なるほど。ドラゴンと血桜か。良い印を考えたな。」
とーさまはうむって大きく頷いて僕の考えたマークを褒めてくれた。
今まではニコニコ笑って微笑ましそうに褒められていたけど、とーさまは違う。
お顔が真剣だ。
とーさまは真剣にしるしを良いと褒めてくれている。
そのことが思いのほか嬉しくてとーさまにぎゅっと抱き着いてしまった。
「とーさま…ごめんなさい。」
「なにがだ。」
「僕のせい…忙しくさせて、ごめんなさい。」
僕の突然の謝罪にとーさまは困惑顔。
何でごめんなさいなのかを伝えるととーさまは「あぁ」とため息に似た声を漏らした。
「ルナイスのせいではない。私が疲れているのは害虫共のせいだ。」
「がいちゅー?」
僕が首を傾げると、とーさまは突然僕の首のところに顔を埋めてぐりぐりっとしてきた。
くすぐったくてついクスクスと笑い声が零れちゃう。
「もうすぐ休みがとれる予定だ。アドルファスとも一緒に少し出かけるか。」
ふぅっと僕の首元から顔を離したとーさまの言葉に強く頷いて見せた。
とーさまとにぃ様お二人一緒には滅多にない。
この機会を逃してしまえば、次があるかも分からない。
何度も頷く僕にとーさまは笑って「もういい、分かったから」と額にキスを送ってくれた。
その後は部屋で愛でている血桜のお話や僕のドラゴン、ユエがばぁやの手によって洗われてしまった悲劇のお話をした。
ある時、お昼寝から目が覚めた僕の腕の中にユエがいなくて探し回って部屋に入ってきたばぁやに半泣きでユエがいないと伝えると汚れが目立ってきたから洗ったと言われた衝撃たるや。
慌ててユエを返してと言う僕にばぁやは手洗いをしたから大丈夫だなんて見当違いなことを言うから、部屋を飛び出していつも使用人達が洗濯物をしている場所に走り、そして見つけたのは紐と紐の間の網の上に干されたユエの姿。
急いでユエを救出しようとしたけれど、悲しいことに身長が足りなくてぴょんぴょん跳ねて手を伸ばす僕をどこからか現れたコルダが抱き上げた。
ユエを救出するのを手伝ってくれるのだと思ったけど、コルダはユエと僕を引き離しユエは濡れているから日光浴をさせてあげないと、っと説得された。
冷静になった頭で考えればどんなに大切に扱っていてもユエは確かに汚れていたし、きちんと網の上に寝かされていて、吊るされていないのだから安心だし、手洗いをしてくれたばぁやにはきちんとお礼を言わないといけない。
寝起きに突然ユエがいなくなっていたことがショックで、つい取り乱してしまったけど僕は部屋に戻ってばぁやにユエが日光浴を終えたらすぐに僕のところに連れて帰ってきてねっと伝えて仲直りのぎゅっをした。
とーさまはそんな話をきちんと聞いてくれて、ワイアットがそろそろ仕事を再開しますよっと言いに来るまでとーさまと色んなお話をした。
1,368
あなたにおすすめの小説
王子のこと大好きでした。僕が居なくてもこの国の平和、守ってくださいますよね?
人生2929回血迷った人
BL
Ωにしか見えない一途なαが婚約破棄され失恋する話。聖女となり、国を豊かにする為に一人苦しみと戦ってきた彼は性格の悪さを理由に婚約破棄を言い渡される。しかしそれは歴代最年少で聖女になった弊害で仕方のないことだった。
・五話完結予定です。
※オメガバースでαが受けっぽいです。
【完結】『妹の結婚の邪魔になる』と家族に殺されかけた妖精の愛し子の令嬢は、森の奥で引きこもり魔術師と出会いました。
夏灯みかん
恋愛
メリルはアジュール王国侯爵家の長女。幼いころから妖精の声が聞こえるということで、家族から気味悪がられ、屋敷から出ずにひっそりと暮らしていた。しかし、花の妖精の異名を持つ美しい妹アネッサが王太子と婚約したことで、両親はメリルを一族の恥と思い、人知れず殺そうとした。
妖精たちの助けで屋敷を出たメリルは、時間の止まったような不思議な森の奥の一軒家で暮らす魔術師のアルヴィンと出会い、一緒に暮らすことになった。
王太子殿下のやりなおし
3333(トリささみ)
BL
ざまぁモノでよくある『婚約破棄をして落ちぶれる王太子』が断罪前に改心し、第三の道を歩むお話です。
とある時代のとある異世界。
そこに王太子と、その婚約者の公爵令嬢と、男爵令嬢がいた。
公爵令嬢は周囲から尊敬され愛される素晴らしい女性だが、王太子はたいそう愚かな男だった。
王太子は学園で男爵令嬢と知り合い、ふたりはどんどん関係を深めていき、やがては愛し合う仲になった。
そんなあるとき、男爵令嬢が自身が受けている公爵令嬢のイジメを、王太子に打ち明けた。
王太子は驚いて激怒し、学園の卒業パーティーで公爵令嬢を断罪し婚約破棄することを、男爵令嬢に約束する。
王太子は喜び、舞い上がっていた。
これで公爵令嬢との縁を断ち切って、彼女と結ばれる!
僕はやっと幸せを手に入れられるんだ!
「いいやその幸せ、間違いなく破綻するぞ。」
あの男が現れるまでは。
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
誰よりも愛してるあなたのために
R(アール)
BL
公爵家の3男であるフィルは体にある痣のせいで生まれたときから家族に疎まれていた…。
ある日突然そんなフィルに騎士副団長ギルとの結婚話が舞い込む。
前に一度だけ会ったことがあり、彼だけが自分に優しくしてくれた。そのためフィルは嬉しく思っていた。
だが、彼との結婚生活初日に言われてしまったのだ。
「君と結婚したのは断れなかったからだ。好きにしていろ。俺には構うな」
それでも彼から愛される日を夢見ていたが、最後には殺害されてしまう。しかし、起きたら時間が巻き戻っていた!
すれ違いBLです。
初めて話を書くので、至らない点もあるとは思いますがよろしくお願いします。
(誤字脱字や話にズレがあってもまあ初心者だからなと温かい目で見ていただけると助かります)
秘匿された第十王子は悪態をつく
なこ
BL
ユーリアス帝国には十人の王子が存在する。
第一、第二、第三と王子が産まれるたびに国は湧いたが、第五、六と続くにつれ存在感は薄れ、第十までくるとその興味関心を得られることはほとんどなくなっていた。
第十王子の姿を知る者はほとんどいない。
後宮の奥深く、ひっそりと囲われていることを知る者はほんの一握り。
秘匿された第十王子のノア。黒髪、薄紫色の瞳、いわゆる綺麗可愛(きれかわ)。
ノアの護衛ユリウス。黒みかがった茶色の短髪、寡黙で堅物。塩顔。
少しずつユリウスへ想いを募らせるノアと、頑なにそれを否定するユリウス。
ノアが秘匿される理由。
十人の妃。
ユリウスを知る渡り人のマホ。
二人が想いを通じ合わせるまでの、長い話しです。
乙女ゲームのサポートメガネキャラに転生しました
西楓
BL
乙女ゲームのサポートキャラとして転生した俺は、ヒロインと攻略対象を無事くっつけることが出来るだろうか。どうやらヒロインの様子が違うような。距離の近いヒロインに徐々に不信感を抱く攻略対象。何故か攻略対象が接近してきて…
ほのほのです。
※有難いことに別サイトでその後の話をご希望されました(嬉しい😆)ので追加いたしました。
婚約破棄されて捨てられた精霊の愛し子は二度目の人生を謳歌する
135
BL
春波湯江には前世の記憶がある。といっても、日本とはまったく違う異世界の記憶。そこで湯江はその国の王子である婚約者を救世主の少女に奪われ捨てられた。
現代日本に転生した湯江は日々を謳歌して過ごしていた。しかし、ハロウィンの日、ゾンビの仮装をしていた湯江の足元に見覚えのある魔法陣が現れ、見覚えのある世界に召喚されてしまった。ゾンビの格好をした自分と、救世主の少女が隣に居て―…。
最後まで書き終わっているので、確認ができ次第更新していきます。7万字程の読み物です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる