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第2章
ヤックルの息子
しおりを挟むそれぞれの得意魔法の発表が終わり、次は先程の発表した魔法から支援グループと攻撃グループに分けられた。
どうやら支援グループvs攻撃グループで勝負をするみたい。
先程の発表でそれぞれの魔法の威力具合も先生はしっかり確認していたようで、危ない時は先生がしっかりフォローするので思う存分戦うように…とのこと。
そしてこの勝負では支援グループは支援系魔法を応用した攻撃は可能。
攻撃グループは攻撃系魔法を応用した防御は可能というルール。
なかなかない実戦の機会に皆ワクワクが隠せずにいる。
テトラ君と僕は同じ攻撃グループだった。
でも、僕は違う魔法も使えることと、先生が重力魔法をあまり把握してない為に重力魔法を使用することは禁止されたので、重力魔法以外で戦わないといけない。
得意な闇魔法も隠してる中でこの勝負にあまり僕が活躍出来る場はなさそうである。
攻撃系の魔法で使えるのは水、炎、風、雷の基礎的な攻撃魔法もちょっとした応用系のみ。
んー…
「先生。僕支援グループに移動してもいいですか?」
闇魔法も重力魔法も使えない今の僕は支援系の魔法の方が得意だ。
テトラ君と同じグループは心強いし、嬉しかったけど、戦ってみたい気持ちもあるし。
それなら支援グループに行っちゃえと思って提案すると少し考えた先生がどういった魔法を使うつもりかと聞いてきた。
「主には暗視魔法と拘束魔法が得意なのでそういった魔法を!」
「…うん。君にだけ制限があるのは不公平だしね!ではアーバスノイヤー君は支援グループに!」
言われて支援グループに近づけば、皆物凄く困惑した表情で僕を見ていた。
テトラ君以外のクラスメイトとは仲良くなれず、孤立気味の僕なので、皆の困ってる感じが凄く伝わってくるけど無視しますね。
心の中で密かに、これが友人を増やすチャンス!!
友人にはならずとも、クラスメイトとの微妙すぎる関係がマシになるのでは!と企んでいる。
「あの…相手の動きを制御できる魔法を使います。よろしくお願いします。」
あ、そうだ。
僕ちょっとした人見知りだった。
緊張して表情筋が動かない。
無表情な僕を皆が引き攣った顔で見ている。
「ムアンマル・トゥワイスです。ヤックル・トゥワイスの息子です。ルナイス様のお話は父から聞いた事があります。」
シーンとしてしまった空気の中、1人の男の子が僕の前に来てくれてびっくりな自己紹介をしてくれた。
ヤックル・トゥワイスといえば、アーバスノイヤー家の守衛部隊隊長を勤めていて、僕に鬼畜な訓練を施し叱られた事のある御仁だ。
あれからお互いの時間が合った時に偶に訓練をつけてくれる言わば師弟の様な関係だ。
そんなヤックルに僕は不満爆裂だ。
息子が僕とクラスメイトなんて聞いてない!!
友人が出来ないと呟いた時に「自然とできますよ」何て言っていたぞあの人!!
「あの…」
「はっ!ご、ごめんなさい。いつもおちちうえ、にはお世話になってます。」
お父上と言い慣れていないせいでたどたどしい言い方になったのが恥ずかしくて、ちょっと深めにお辞儀して顔を隠す。
「挨拶が遅くなり申し訳ありませんでした。」
そんな僕に彼は硬い表情でそう言って、今度は彼が深く頭を下げる。
「…別に気にしてません。貴方が何を思って、感じて僕に近づかないようにしていたのか知りたいと思いませんし、興味ありません。トゥワイス男爵と僕に関わるからと言って、此処では僕達は同じタダの学生ですし。…それよりも、これからの勝負ではよろしくお願いしますね。」
最初は頭を下げた彼に慌てたが、すぐにそれに気がついて感情が落ちた。
下げた頭で隠れた顔。
表情。
僕の事が気に入らないって顔。
ヤックル、残念だよ。
君の息子君とは仲良くなれそうもない。
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