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第2章
勝負開始!
しおりを挟む「戦闘準備!5分後立っている者の数が多かったグループを勝者とする!…始め!!」
先生の合図で攻撃グループvs支援グループの勝負が始まった。
攻撃グループはすぐさま攻撃態勢に入り、攻め入ってくる。
支援グループも結界を張れる者が集まって攻撃を防ぐ態勢をとった。
さっきのムアンマルに対する僕の態度で支援グループの空気は最悪だ。
しくじった。
あそこは気づかないふりして流すべきだったなぁ。
「きゃ!!」
「ぐぅ!」
でも、初対面でそんな顔されたら不愉快じゃない?
僕のこと気に食わないくせに頭下げて、でも心の中では僕のこと馬鹿にしてる。
それが分かって何で優しくしてやらないといけないの?
「も、もたないぞ!」
「こちらからも反撃しないと!」
それにさっきからさり気なく僕の方へ魔法向けてる奴が数人。
っんは!もしかして、よく家にくる暗殺者!?
…
いや、それはないか。
今はあんな事があって警備が強化されてるし、コルダも反応してない。
それに、暗殺者だったら雑魚すぎる。
つまりコレは同じ支援グループの生徒の中から向けられたものってこと。
「まずい!」
はぁ~…僕を傷つけようとする暇があるならこの状況をどうにかしてほしいんだけどな。
「暗視魔法」
「ぐぅわ!何だ!?目が!!」
「ど、どこ?誰が味方なの!?」
「一旦引け!」
「ぐぅ!」
「く、暗い!何も見えないぃぃぃ!!」
「なんだこれー!!」
攻め入って来ていた攻撃グループの生徒達だけでなく、鬱陶しい背後の奴らも纏めて視界を奪う。
彼らの周りの生徒は味方であるはずの生徒が敵と同じようにもがいている姿を見て困惑している。
「ルナイスだ!まずはるナイスを打ち取れ!」
うんざりして気分だだ下がり中の僕の耳に届いたテトラ君の声。
どうやら僕の暗視魔法の範囲外に居たらしい。
テトラ君の掛け声で攻撃グループの生徒達は一斉に僕の方へ向かってくる。
支援グループの生徒達は自分達が標的にされないと分かった瞬間結果を張るのを止めたり、力を弱めたせいで攻撃グループの生徒達は何の障害もないまま僕の方へ向かってくる。
あーあ。
つまんないの。
「拘束魔法」
「ぐわぁ!」
「「きゃーー!!」」
「くそっ!」
ご丁寧に纏まって向かってきてくれたので纏めて拘束してやれば、こちらへ向かってきていた生徒の半数以上を戦闘不能に出来た。
テトラ君も一緒に纏めあげるつもりだったのに躱されちゃった。
鎖に巻かれなかった生徒の中には何人か足を止めてしまった生徒がいるけど、テトラ君含めた5人ほどが構わず僕の方へやって来る。
「浮遊魔法」
ギリギリまで惹き付けて4人浮かせた。
そう4人。
「取った!」
キィーーーン
「なっ!無詠唱!?」
僕が動かない事に何かあると読んでいたんだろうテトラ君がすぐ側まで来てたけど、僕が咄嗟に展開した結界に目を見開いてすぐ様距離を取った。
結界苦手だからもう少しテトラ君が慢心せず本気できてたら終わってたな。
苦手だしやりたくないけど、結界は張れた方がいいよなぁ。
ノヴァにコツとか聞いてみよ。
ピーーーー
「はーい、そこまでぇ!!」
笛の音にはっと我に返る。
危ない!まだテトラ君が動ける状態で考え事してちゃ駄目だった!
幸いにも時間がきたようで、終了の合図が出され勝負が終わったけど、これはヤックルやばぁやに見られてたらすごく叱られたやつだ!
「ルナイス1人に全滅だな。もっと強くなる。」
剣を仕舞い、近づいてきたテトラ君にへらっと笑ってみせれば「何だその変な顔」とちょっと引かれた。
相変わらず。
「今回の勝負は支援グループの勝ち!…ではなく、攻撃グループの勝ちでーす。」
「「「「え!?」」」」
集まった生徒達に告げられた言葉に皆が驚いて先生を凝視。
「ふふ、アーバスノイヤー君。何故か分かるかな?」
「…さっきの勝負で支援グループはグループとして戦っていないから…ですか?」
「そう!その通り!まぁ、攻撃グループがアーバスノイヤー君に集中したから大勢対1人!になるのは仕様がないんだけどね…その後支援グループは誰1人勝負に参加せず見ているだけ。グループ戦として最悪の結果だね!」
ニコニコ明るい声で言う先生に気まづそうに俯く支援グループだった生徒達。
「何より僕が許せないのは、仲間を裏切り、危険な時は刃を向けた者の背に隠れるその醜悪さだ。分かっているな、ドゥヌ・ダンデ!アフ・サンコン!ムアンマル・トゥワイス!」
名指しされた3人はびくっと肩を揺らして体を小さくさせる。
ムアンマルはそうだろうと思ったけど、あとの2人は何だ?
関わりあったっけ?
「今回の件は厳しく指導する。家には必ず知らせるから覚悟しておきなさい。」
「そんな!」
「ま、待ってください!わざとじゃないんです!」
「たまたま!たまたま僕達が魔法を放った方向に彼が!僕達まだ未熟だから!」
家に知らせると言われた途端3人とも顔を青くさせ先生に泣きつく。
が、先生はもちろんそんな彼らに微笑むことはなく厳しい顔をするだけ。
授業は中止。
先生がそう言うと手を力いっぱい握りしめたムアンマルが声を上げた。
「先生は彼の叔父ですよね!?贔屓ですか!?教師である貴方が一人の生徒を贔屓していいんですか!」
何を言い出すのかと思えば、そんな面白くも為にもならないことでうんざり。
「他の生徒がアーバスノイヤー君と同じ立場にあったら僕は今と同じことを言っていたよ。甥っ子だからではない。この僕の言動を贔屓だと騒ぎ立てる君には今後僕の授業を受けてもらう必要は無い。お家で家庭教師でも雇ってもらうといい。」
先程まで明るい先生だっただけに、今の冷静で容赦のない言葉はムアンマルだけでなく僕達をも呆然とさせた。
「さて!君達はしばらく教室で待機ね!騎士さん達よろしくねー!」
先生はさっきまでの真剣さが嘘のようにニコーと笑うと周りにいた騎士さん達に僕たちを教室まで送るように告げて、魔法付与札で転移してしまった。
騎士さん達は文句を言うことも無く僕達を教室まで送ってくれる。
先程の様子を見ていたからなのか、支援グループと僕との間に騎士さんが挟まってくれていることに気がついてペコリと会釈すれば、それに気づいたら騎士さんもペコリ返ししてくれた。
お手数お掛けします。お疲れ様です。
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