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第2章
くそっ!油断した!
目を閉じて空間の中の気配を探る。
魔力を使っては相手にバレる危険があるので、地道に僕の感覚で探っている。
前世から人の気配には敏感なんだ。
しばらく残像に罵倒されながら気配を探っているとふと僕の近くに気配を感じた。
どうやら近い所から鑑賞することにしたらしい。
『な~んだ。泣いてないじゃん。』
目を瞑ったままでいれば、僕の顔を除きこんだのか悪夢を見始めてから初めて聞き慣れない第三者の声が聞こえてきた。
気づいてないふりで今晩は終わるはずだったのに、まさかの先手を打たれ向こうから接触されてしまった。
「…誰?」
「ここだよ。」
顔を上げて僕の周りをキョロキョロと見渡せば、真後ろから気配を感じ、振り返るよりも前に耳元で囁かれた甘い声にぞぞぞっと鳥肌が立つ。
どうして突然接触してきたのかっと思う気持ちの片隅で夢の中でも鳥肌ってたつんだなっと呑気なことを考えている自分が居る。
「…だ、れなの。ちょっと近すぎる。」
「ぶは!ぎゃはははは!!確かに近すぎたなぁ~。嫌そうな顔かぁわいいなぁ~。」
ゆっくり振り返ったところで、あまりに近い所に相手の顔があるもんだからついスンとしてしまって相手から距離を取れば、ピンク髪にピンク色の目をしたやんちゃ系イケメンが下品に笑い、頬を赤く染め涎を垂らした顔で僕を舐め回すように見てきた。
顔はイケメンだけど、だらしのないその顔は気持ちが悪い。
それに僕のタイプじゃない。
「お前の夢は美味しいなぁ~。こ~んな暗くて空っぽな夢にはなかなか出会えないからぁ久々に美味しい悪夢を味わえて俺は嬉しいよぉ。」
両手を頬にあて恍惚な表情でそういう変質者から更に距離を取ったところで、トンと背中に何かがあたった。
慌てて振り返ればそこには無表情に僕を見下ろす前世の母の顔が…
コレからも離れたくて体を動かそうとしたところで首に圧迫感を感じ途端に呼吸ができなくなった。
記憶の残像であるはずの存在が僕の首を物凄い力で絞めてきていたのだ。
「ぐぅ…っ…」
「ぎゃははははは!!こりゃ只の夢じゃ~ないんだぜぇ?夢の中で殺すこともぉできる!安心しろぉ。こ~んな美味い夢を見れる奴ぁなかなかいね~からなぁ。寿命が尽きるまで殺さず飼ってやるからよぉ。」
必死にもがきながらノヴァから貰ったネックレスに触れようとしたが、一向にそれらしきものを掴めない。
「あぁ~ん?もしかしてぇコレを探してるぅ?な~んか面倒くさそうな臭いがしたから没収だぜぇ?」
視界が狭まる中で夢魔を見れば、その手の中にノヴァから渡されたネックレスがあった。
油断したっと奥歯を噛み締めたあたりからどんどん意識が細切れになり、やがて真っ白になった視界に僕は意識を失った。
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