王家の影一族に転生した僕にはどうやら才能があるらしい。(完結)

薄明 喰

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第2章

今の僕が生きる理由


オーレさんと別れてすぐ奴は現れた。


「おいおいおいおいおい!!!なぁ~に抵抗してくれちゃってるの!?それに糞精霊がさっきまでここにいたよなぁ~あ?ふっざけんなよぉ!!!」


姿を現した夢魔はでかい声で叫び頭を掻きむしる。

むちゃくちゃキレてる姿にドン引きな僕。





お願い。

引いてますって顔、伝わるようにしてるんだから気づいて。



なんて、少しばかりふざけた気持ちはすぐに吹き飛ぶ。

ついでに僕の体も吹き飛んでいる。



「ぐはっ!」


果てないと思っていた夢の世界で、見えない何かに体が打ち付けられた。

夢の中だというのに中々の衝撃で呼吸が苦しくなる。


こんな凄まじい衝撃を受けたというのに目覚めないと言うことは…夢の中でいくら衝撃を受けてもここからは出られないってことか。



後は現実での衝撃か、同時にってことになる。



否…もしかしたら夢魔からの攻撃は無効ってことも…









「も~ちょっとなんだよぉ…もうちょっとで俺の計画が上手く行くんだよぉ~お…邪魔されちゃあ~困るんだよぉ!!」


中々体制を立て直せない僕の前に瞬時に移動してきた夢魔が僕の前髪を掴み、僕の顔を上に向けさせる。

ミチミチと毛根が悲鳴を上げているし、何本かブチブチと抜けた音がした。





「お前には俺の力になってもらうぜぇ?とびきりの悪夢を見せてやる!」


ニヤリと笑った夢魔はそう言うといつの間にか出来ていた真っ黒な沼の中へ僕を投げ入れた。






















トポン


水溜まりが波打つ音で意識が浮上する。



『どうして?どうして私が死ななければいけないの?お前は生きているのに…私はもっと旦那様と息子と一緒に居たかったのに…どうしてお前が生きて、私が死なないといけないの?』

恨みの籠った女性の声に目を開ければ、目の前には綺麗な女の人。


『お前何て産まなければよかった。』

しかし次の瞬間には二つの違う顔が重なった歪んだ顔となり、その人物が僕の首を絞めつける。



息苦しさに抵抗しようにも、小さな赤子の体の僕ではどうしようもなくてそのまま意識を失った。








トポン


また聞こえてきた音で目を覚ます。



『お前がいなければ彼女は生きていれたのに…どうしてお前はのうのうと生きて、彼女が死ななければいけなかったのだ。』

目の前には相変わらず綺麗なお顔をしたとーさまが居て、今まで聞いたことがないような低く嫌悪を含んだ声で僕をベットから持ち上げ、僕の体を窓の外へ放り投げた。

どうしようもできない僕はそのまま地面へ打ち付けられた。










トポン



『お前何か生まれなければかーさまは生きていたのに!!返せ!返せ!!』

小さい頃のにぃさまが泣き叫びながら僕のお腹をボコボコ叩く。




トポン


『こんないつ爆発するか分からない魔力を持つ人間は早いうちに始末しておいた方がいいかと。』

無表情なノヴァがそう言って放った魔法が僕の体を包んで、酷い激痛の後真っ白になった。




トポン


『魔力晶だ!魔力晶にしろ!人を傷つけることしかできないお前の唯一の有効活用方法だ!』

『お前の言葉は人を傷つける。』


お爺様の五月蠅い声と、低い男の人の声が重なって聞こえてきて、僕の体が指先からさらさらと砂のように落ちていく。

地に落ちた砂は一つに固まり、キラキラと輝く魔力晶となった。





トポン


『お前が生きていても不幸に思う人がいるだけで、お前が死んでも泣く人なんていないのに…どうしてお前はみっともなく生き続けているの?』


もう一人の僕が暗闇で膝を抱えて蹲りながらそんな言葉を僕に投げかけてくる。

何か言い返そうと思うのに口がパクパクと開閉するだけで、何も言い返せない。
それは彼に投げかけられた言葉が僕の心の片隅にあった思いだったから。





でもその思いは前世の僕の記憶の中にある感情で…前世の僕は生きている自分を見られるのが恥ずかしくて惨めに思っていた。

生きようと食事を口に運ぶ自分の姿を思い浮かべると吐き気と共に大きな嫌悪感を抱き、消えてなくなってしまいたいと思っていた。



でも




でもそれは前世の僕の思い。






ルナイス・アーバスノイヤーである今の僕は、疑いようもないほどにとーさまだけでなく沢山の人から大切にされていることを分かっている。

お話はできなかったけど…かーさまだって僕を大切に思ってくれていることを知っている。








そして僕はこれまで見せられてきた僕を詰る奴らが僕の大切な人達ではないこともはっきりと分かっている。





「…大切な人たちともっと一緒に居たいから生きてる。そう思わせてくれる人達を…何より僕を命を賭してこの世に産みおとしてくれたかーさまを冒涜するお前は…死んでしまえ。」


そう呟いて、目の前の自分とそっくりな姿をしているものを創造したアイアンメイデンに閉じ込めれば断末魔が響き渡った。






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