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第2章
僕の骨を粉砕しないために訓練をしてください
しおりを挟むいくら視線を送っても答えない僕にノヴァは溜息をついて、ガンナーに他に質問がないか聞く。
「此処に来る前に獣人の騎士から力をコントロールしないと人族は簡単に死ぬと聞きました。それが本当ならどれくらいの力なら死なないのですか?」
「んー…ノヴァ。」
「まず、護衛の従者が主に触れる機会はそうそうないことを先に言う。しかし主を守る為に触れる機会はこの先何度かはあるだろう。特にここ、アーバスノイヤー家では。…獣人や鬼族などは人間の通常で倍以上の腕力を持っているため、加減のないままに触れれば無防備な人族は簡単に骨が砕けるのは確かだ。力のコントロールは個々で違う。従者の人間を相手に早急に練習をした方がいい。」
次の質問について、他種族とあまり関わったことのない僕じゃ答えられなくてノヴァに丸投げ。
ノヴァの説明に確かに本で腕力すごいって書いてたなぁっと思い出す。
ガンナーの腕すっごい太くて筋肉質だし、あの手に鷲掴まれたら頭砕けそう。
「では、1週間下さい。」
「はーい。」
ヨハネスが少し考えてガンナーの腕力コントロールの期間を1週間くれと言うのでもちろんYESと答えた。
僕の骨バキバキに折られちゃ困るし、悪気なく色んな人の骨ボキボキ折りまくったらガンナー闇堕ちしちゃいそうだし…それに1週間って僕の予測より全然早い。
1ヶ月くらいいるかなぁって思ってたから1週間なんて問題なし。
ヨハネスが1週間って言うなら、必ず1週間でガンナーを仕上げてくる。
ガンナーはすっごく頑張らないといけないけど…偶に差し入れしようかな。
「他に疑問はある?」
「…いえ…今のところはこれ以上思いつきません。」
「ん。ならガンナーの勤務についてだけど、監視含めの護衛だとしてもきちんとお給料とお休みはあるから安心してね。お給料はとーさまが決めるから、問題があったらまずはヨハネスかワイアットに相談して。お休みは週に2日。特に決まった休みはないからヨハネスとご相談してね。」
僕が雇用条件を述べるとガンナーは目を丸くして、口を開いて固まってしまった。
ん?と首を傾げて見せると
「そ…そんな好条件でいいのか?」
「あ!でもお休みの日も監視はつけさせてもらうことになると思う。ね?」
「あぁ。一応監視対象だし。」
掌で小さな魔法を展開して遊んでいたお隣のノヴァにねっと話を振れば魔法を消してうんっと頷いてくれる。
「それは当然だ。給料や休暇があることに驚いてるんだ。」
「え…僕自分のお家がブラックなんて嫌だよ。ガンナーは監視対象てだけで、奴隷じゃないし給料はとーさまが出すし休暇はちゃんと与えるよ?ヨハネスはぜーんぜん休暇取ってくれなかったからガンナーが慣れてきたらちゃんと休暇取ってくれるよね?」
「…考えておきます。」
はいって答えてくれないヨハネスにもうっと怒って見せるが、視線を逸らして絶対休み取る気ない。
何でそんなに休暇取ってくれないの?
お休みってしっかり欲しくない!?
しかも護衛何て1日の勤務時間長いし。
「ま、そんなわけだから。分からないことができたらいつでも誰にでも聞いたらいいよ。基本ガンナーには監視がついてるから呼べばどこからでも人がでてくるよ」
僕がそう締めくくればガンナーは遠い目をしていたが、ヨハネスがガンナーを連れて部屋を出ていった。
たぶんさっそくコントロールの訓練を始めさせられるんだと思う。
ガンナーは待遇が良いって思ったのかもしれないけど、家はスパルタな奴が多いから、これから大変だと思う。
「逃げ出したりはしなさそうだけど…」
「逃げ出せないだろ。」
「確かに。」
2人でずずっとお茶を啜り、残っていたお菓子を食べてからノヴァに少し魔力循環してもらった。
夕飯にはとーさまもにぃ様も帰って来て、4人でお喋りしながらご飯を食べたあとにお家に帰るノヴァを見送った。
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