王家の影一族に転生した僕にはどうやら才能があるらしい。(完結)

薄明 喰

文字の大きさ
246 / 427
第4章

なめてかかると痛い目を見るよ…ほんとごめん。

しおりを挟む

大体話がまとまったところで報告の為とーさまと辺境伯様は転移で王都へ行くこととなった。


その間僕達はハデス家に滞在することになったのだけど、にぃ様が警備要員として残られたのでお話しできるなーっと思って鼻歌を歌ってしまうほどご機嫌になった僕ですが…







只今にぃ様をテトラ君に取られています。









僕がにぃ様にくっつく前にテトラ君がにぃ様に稽古をつけてくれと言って訓練場へと連れて行ってしまったのだ。

僕も慌てて後を追ったけれど、訓練場へ着いた時には既に稽古が始まっていた。



「…にぃ様容赦ない。」


「昔テトラ様を稽古と言ってぼこぼこにしていたしな。」




仕方なく見学していた僕は、にぃ様のあまりに容赦のない攻撃にちょっとテトラ君へ同情した。

しかしそこはテトラ君なので、寧ろ容赦のない攻撃を躱したり、受け止めれた時なんかはすごく嬉しそうで楽しそうにしている。



隣で呟かれたノヴァの言葉に学生の頃、直球すぎる物言いでちょっとやばめな質問を僕にしてきたテトラ君をしばいたにぃ様とヒュー様を思い出す。

身内贔屓の目で見ても、ちょっと大人げない。





だけど、それでお互い良しとしているのだから外野がやいのやいの言う必要はない。









しばらく見ていたのだけど段々僕もやりたくなってきた。

人が楽しそうにやってるのを見ると興味湧くよね。


それに僕意外と剣術とか戦闘訓練好き。





近くでテトラ君達の訓練を見ていた騎士に木刀の予備を貰い、未だ打ち合いをしているにぃ様達へ近づくと二人は直ぐに気が付いてくれて動きを止めた。



「ルナイス、危険だ。」



顔を顰めたテトラ君が邪魔をするなと言うように声をあげるが無視。

にぃ様はぽんっと僕の頭にぽんっと手を置いて「やるか?」と聞いてくれたので強く頷く。





「テトラ。今から私の代わりにルナイスが相手をする。」


にぃ様がテトラ君にそう言うとあからさまに嫌そうな顔をする。
というか「えー」っと声に出して不満を表している。


だけど、にぃ様が相手になるとお互い怪我をさせたくない気持ちが勝ってあまり良い打ち合いが出来ないのだ。

ここはテトラ君に相手をしてもらわねば。




そして僕より先ににぃ様に相手をさせた恨みも晴らさねば。










今度はにぃ様とノヴァ他騎士達が見守る中、僕とテトラ君の戦いが開始された。


テトラ君は僕が学園を卒業した後にも訓練を重ねていることは知らないし、学生の頃も魔法や魔術を使った戦闘をよくしていた僕なので剣術の方はあまりできないと思われているのだろう。

相手してやるかって感じの態度が気に食わない。





手始めにって感じで振り下ろされた木刀をスッと払い、木刀の持ち手の方でみぞおちに思いっきり打撃するとぐぅっと苦しそうな声をあげてテトラ君はすぐさま距離を取った。

だけどそこを追尾して更に今度は木刀を横に振るい脇腹を殴打する。




が、それは反応したテトラ君の木刀によって防がれてしまったので今度は僕がすぐに距離を取った。






「っ…ルナイス、お前」


「僕が剣術もそこそこ出来るって知らなかったでしょ。」



悔しそうに僕を睨みつけるテトラ君に笑いかけてやれば、テトラ君の瞳に一層力が宿る。




「どぅら!」



びゅんっと飛んできて間合いを瞬時に詰めたテトラ君の木刀の先が目前に迫るのを体を捻って寸前で避ける。

戦闘には力も必要だけど、体を柔らかく動かすことも大切。
猫みたいに体を捻ることができ且つ軽やかに動けると戦術の幅も広がる。


避けられるとは思っていなかったようで一瞬の隙ができたテトラ君目掛けて木刀を振り上げた。









「ぐふっ!」


「「「「「あ」」」」」





僕の振り上げた木刀は見事テトラ君の股間に的中し、一瞬白目を向いたテトラ君が地面に叩きつけられるのを慌てて頭をキャッチする。

意識はあるようだけど激痛のあまり内股になって声も出せず悶えているテトラ君に流石に申し訳なさすぎてどうにかしてやりたいと思ったが、今下手に動くと余計に打撃を与えてしまいそうでどうすることもできずオロオロするばかり。




見かねたノヴァが凄く嫌そうな顔でテトラ君の股間に手を翳し治療を施してくれてやっとテトラ君の体から力が抜けた。

額には汗が滲んでいて、痛みが取れた今は軽い放心状態。





「誰かテトラを自室に運んでやれ。」


流石に可哀想だと思ったのかにぃ様が近くにいた騎士達にそう声をかけると、テトラ君は2人の騎士によって屋敷内へと運ばれていった。







しおりを挟む
感想 59

あなたにおすすめの小説

虚ろな檻と翡翠の魔石

篠雨
BL
「本来の寿命まで、悪役の身体に入ってやり過ごしてよ」 不慮の事故で死んだ僕は、いい加減な神様の身勝手な都合により、異世界の悪役・レリルの器へ転生させられてしまう。 待っていたのは、一生を塔で過ごし、魔力を搾取され続ける孤独な日々。だが、僕を管理する強面の辺境伯・ヨハンが運んでくる薪や食事、そして不器用な優しさが、凍てついた僕の心を次第に溶かしていく。 しかし、穏やかな時間は長くは続かない。魔力を捧げるたびに脳内に流れ込む本物のレリルの記憶と領地を襲う未曾有の魔物の群れ。 「僕が、この場所と彼を守る方法はこれしかない」 記憶に翻弄され頭は混乱する中、魔石化するという残酷な決断を下そうとするが――。

存在感のない聖女が姿を消した後 [完]

風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは 永く仕えた国を捨てた。 何故って? それは新たに現れた聖女が ヒロインだったから。 ディアターナは いつの日からか新聖女と比べられ 人々の心が離れていった事を悟った。 もう私の役目は終わったわ… 神託を受けたディアターナは 手紙を残して消えた。 残された国は天災に見舞われ てしまった。 しかし聖女は戻る事はなかった。 ディアターナは西帝国にて 初代聖女のコリーアンナに出会い 運命を切り開いて 自分自身の幸せをみつけるのだった。

いらない子の悪役令息はラスボスになる前に消えます

日色
BL
「ぼく、あくやくれいそくだ」弟の誕生と同時に前世を思い出した七海は、悪役令息キルナ=フェルライトに転生していた。闇と水という典型的な悪役属性な上、肝心の魔力はほぼゼロに近い。雑魚キャラで死亡フラグ立ちまくりの中、なぜか第一王子に溺愛され!?

竜帝陛下の愛が重すぎて身代わりの落ちこぼれ薬師は今日も腰が砕けそうです 〜呪いを解いたら一生離さないと宣言されました〜

レイ
BL
「死ぬ覚悟はできています。でも、その前に……お口、あーんしてください」 魔力を持たない「無能」として実家で虐げられていた薬師のエリアン。 彼に下されたのは、触れるものすべてを焼き尽くす「死の竜帝」ヴァレリウスへの、身代わりの婚姻だった。

秘匿された第十王子は悪態をつく

なこ
BL
ユーリアス帝国には十人の王子が存在する。 第一、第二、第三と王子が産まれるたびに国は湧いたが、第五、六と続くにつれ存在感は薄れ、第十までくるとその興味関心を得られることはほとんどなくなっていた。 第十王子の姿を知る者はほとんどいない。 後宮の奥深く、ひっそりと囲われていることを知る者はほんの一握り。 秘匿された第十王子のノア。黒髪、薄紫色の瞳、いわゆる綺麗可愛(きれかわ)。 ノアの護衛ユリウス。黒みかがった茶色の短髪、寡黙で堅物。塩顔。 少しずつユリウスへ想いを募らせるノアと、頑なにそれを否定するユリウス。 ノアが秘匿される理由。 十人の妃。 ユリウスを知る渡り人のマホ。 二人が想いを通じ合わせるまでの、長い話しです。

婚約者の王子様に愛人がいるらしいが、ペットを探すのに忙しいので放っておいてくれ。

フジミサヤ
BL
「君を愛することはできない」  可愛らしい平民の愛人を膝の上に抱え上げたこの国の第二王子サミュエルに宣言され、王子の婚約者だった公爵令息ノア・オルコットは、傷心のあまり学園を飛び出してしまった……というのが学園の生徒たちの認識である。  だがノアの本当の目的は、行方不明の自分のペット(魔王の側近だったらしい)の捜索だった。通りすがりの魔族に道を尋ねて目的地へ向かう途中、ノアは完璧な変装をしていたにも関わらず、何故かノアを追ってきたらしい王子サミュエルに捕まってしまう。 ◇拙作「僕が勇者に殺された件。」に出てきたノアの話ですが、一応単体でも読めます。 ◇テキトー設定。細かいツッコミはご容赦ください。見切り発車なので不定期更新となります。

捨てられ侯爵令嬢ですが、逃亡先で息子と幸せに過ごしていますので、邪魔しないでください。

蒼月柚希
恋愛
公爵様の呪いは解かれました。 これで、貴方も私も自由です。 ……だから、もういいですよね? 私も、自由にして……。 5年後。 私は、ある事情から生まれ育った祖国を離れ、 親切な冒険者パーティーと、その地を治める辺境伯様のご家族に守られながら、 今日も幸せに子育てをしています。 だから貴方も勝手に、お幸せになってくださいね。 私のことは忘れて……。 これは、すれ違いの末に離れ離れになった夫婦の物語。 再会したとき、二人が選ぶのは「離婚」か、それとも「再構築」か。 妻を一途に想い続ける夫と、 その想いを一ミリも知らない妻。 ――攻防戦の幕が、いま上がる。

逃げた弟のかわりに溺愛アルファに差し出されました。初夜で抱かれたら身代わりがばれてしまいます💦

雪代鞠絵/15分で萌えるBL小説
BL
逃げた弟の身代わりとなり、 隣国の国王である溺愛アルファに嫁いだオメガ。 しかし実は、我儘で結婚から逃げ出した双子の弟の身代わりなのです… オメガだからと王宮で冷遇されていたので、身代わり結婚にも拒否権が なかたのでした。 本当の花嫁じゃない。 だから何としても初夜は回避しなければと思うのですが、 だんだん王様に惹かれてしまい、苦しくなる…という お話です。よろしくお願いします<(_ _)>

処理中です...