王家の影一族に転生した僕にはどうやら才能があるらしい。(完結)

薄明 喰

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第4章

懐かしい友の名前

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一通り観察を終えたノヴァが僕達の所に戻ってきて、少し照れた様子で「悪い。興奮していた。」と謝る姿を見て胸をときめかせない夫がいるであろうか?

ついぎゅっと抱きしめてしまいたくなったけれど、人目があるので我慢。



「此処のことは国は知っているのですか?」


「当然報告はしてある。しかしこれだけの魔力晶が北にあることが公になれば国内だけでなく国外も荒れる。厳重な管理をハデス家は任されていて、有事の際など魔力晶の力がどうしても必要だと国王が判断した場合は此処からもちだされると聞いている。」


「つまり此処のことは他言無用ということですね。」



「あぁ。驚かせたかったので先に誓約書に署名してもらわなかった。後程頼む。」




テトラ君の言葉に僕達は大きく頷いた。


この豊富な魔力晶はどれも純度の高い強い力を持っている。
此処のことが公になれば、国の懸念通り戦争が起こるだろう。

そんな所へ何も言わずに連れて来るなんてっと言いたい気持ちはあるが、こんな貴重な場所に来れたことは素直に嬉しい。






そう言えば幼い頃に今は亡きお爺様達が僕の力を使って魔力晶を造り出せと騒いでいたなっと思い出す。

確かに保有魔力が多い者は力を一点に溜めて魔力晶を造ることで体内に蓄積される魔力を減らすことがあるが、お爺様達は僕のことを考えて言っていたわけじゃない。


僕の体内の魔力を全て絞りだしてって言ってたし、死ねばいいと思っていたことは間違いない。

と言うかそう言ってた。



あの一番危ない時期に誰も僕に魔力晶を造るように言わなかったのには理由があったようで、魔力が安定していないなかで魔力晶をひとつ造るのにはとんでもない集中力が必要になってくる。
僕の魔力量だったら一日に5個は造らないとならないけれど、あの時の僕にそんな力はなかった。

魔力晶を造るよりも近くに魔力の相性の良い者がいて、魔力を循環させることができるならば断然そちらの方法の方が安心安全だったわけだ。







「ルナイス。」


過去の出来事を思い返していると不意に耳元でノヴァの声が聞こえて驚いた。

どうやら何度か呼びかけたが僕が反応をしなかったから心配したようだ。


ぼーっとしていただけだと言って笑いかけてみたけど、納得していないノヴァにこれ以上深く話す気はないことを示す為、視線をテトラ君の方へと移す。





「ルナイス。最近珍しい空の魔力晶が見つかったんだ。やる。」


テトラ君がポケットをごそごそっとして取り出したのはケースに入った小さな魔力晶。

空っぽの魔力晶何て珍しいっと礼を言って受け取る。




「俺の魔力を入れても良かったんだが…ルナイスは何か結構な問題に巻き込まれやすいようだからお前が持っていたほうがいいのではないかとオスカルと話し合ってな。」


テトラ君の口から発せられた少し懐かしい名前にふと彼は今どうしているのかと思った。




「オスカル君は元気?」


「あぁ。今は暗躍が得意人に指南してもらっていると笑っていた。お前にも会いたいが新婚旅行でノルデンの領地に寄ってもらえるだろうかと言っていたから行ってやれ。」



テトラ君の言葉に頷く。


偶に手紙を送ったりはするのだけど、文官っぽい見た目をしているが魔法マニアで戦闘力の高い彼は卒業後とても忙しくしているようで気楽に誘っては迷惑かなっと思っていた。


しかし彼も会いたいと思ってくれているのならよろこんで伺う。





ちらっとノヴァに視線を向ければ笑って頷いてくれたので今夜辺りオスカル君へ伺いの手紙を書こう。










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